【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都

文字の大きさ
30 / 66
与えられた光

しおりを挟む
 一人で食事を済ませ、湯浴みをした後、ルチアは寝室へ入った。

 クロード様……まだ戻られていらっしゃらない……

 ルチアはまだ温もりの残るクロードのジャケットを夜着の上に羽織ると、バルコニーへと続く扉を開けた。バルコニーの下には湖が広がっているはずだが、今は漆黒の闇に包まれていて見ることができない。

 先ほどまでクロード様とあちらで、まるで二人きりの世界のようでしたのに……

 脳裏にクロードの謳に耳を傾けたり、星空の下、蛍を眺めながら過ごした幸せな時間が蘇る。ルチアは、クロードが強大な王国の国王であることを改めて実感した。

 国家を背負って立つ以上、休暇であってもご公務が入ることは仕方のないこと……

 寂しさを振り払うように、自分に言い聞かせる。

 私が愛したのは、シュタート王国の国王である、クロード様……これからも、こういうことが続いていくんですわ。

 考えながら俯いていた顔をぐっと上げ、真っ直ぐ前を見つめる。

 これからはもっと……頼るだけではなく、私もクロード様をお支えできるようにならなくては。私とて、グレートブルタン国のプリンセスであると同時に、シュタート王国の国王の后でもあるのですから。

 いきなり、バサバサっと大きな羽音がして、白い梟がバルコニーの欄干に止まった。

 あ、れ?

 少し近づいて、よく見てみる。

「ブラン!?」

 それは、クロードの飼っている白い梟、ブランだった。

 もしかして、シュタート王国からの伝令って、ブランのことでしたのかしら……

 考えてみれば、シュタート王国の本城から灯りのない暗い森を抜けて、この城へと来ることは普通では不可能だった。

 ブランは少し離れたところから、ルチアをじっと凝視している。

「ブラン。クロード様がいなくて寂しい私を、慰めに来てくれたのですか?」

 ブランは何も言わず、ただルチアを真ん丸な目でじっと見つめた後、ギュッと目を瞑り、まるで頷くかのように嘴を首元へと埋めこんだ。

「ふふっ」

 それを見て微笑んだルチアを確認すると、ブランは再び漆黒の闇へと羽ばたいて行った。

 ルチアはそっとバルコニーの扉を閉め、テーブルの上に置かれたクロードが湖で読んでくれた本を手に取ると、ジャケットを羽織ったまま冷たいベッドへと脚を差し入れた。

 せめて、クロード様の温もりに包まれているかのように感じたい……

 ルチアは頭の横に本を置き、ジャケットを脱ぐと躰の上に掛けた。

 クロード様がお戻りになられるまで、ご本を眺めていようかしら。

 頭の横に置いてあった本を手に取り、美しい挿絵を眺めていくものの、理解出来ない言語を目にしていくうちに、次第にルチアの瞼が重くなっていく。

 ジャケットに残る僅かなクロードの匂いと温もりに包まれて、ルチアの瞼はゆっくりと落ちていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!

奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。 ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。 ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end**

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

処理中です...