意味不明小説集『羊の匣』

黑野羊

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誰だってそうなのです。

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 平日の昼下がり、男は公園のベンチでうなだれていた。
「とんだ失敗をしちゃったなぁ……」
 一人呟いては、溜息を吐き出す。

 会社のお得意さまの所で大失態をかました彼は、会社に戻れば上司にこっぴどく叱られる運命だ。

 ベンチの端に目線を遣ると、白と黒のブチ猫が気持ちよさげ昼寝をしていた。
「……猫はいいよな、のんびり出来てさ」
 すると、猫がぴくんと耳を動かして、男の方を見た。

「何言ってんのサ。猫だってこう見えて大変なんだぜ」

 猫がそう言った。
 すると男は反論する。
「どこが大変なんだい。毎日毎日ごろごろ眠って、餌だって猫好きな人間からはいくらでも貰えて、楽じゃないか」

すると、猫は「ふんっ」と鼻を鳴らした。

「どこが楽なもんか。野良は毎日喰うもん探して三千里、縄張りだって守る為には血を流す。好きなヤツに求愛する時なんて、たいがい別の雄との争奪戦。家猫は飼い主のご機嫌とりに大忙しで、飼い主が忘れたら飯だって食えない。それに、すぐ去勢されちまうから、好きなヤツが出来ても仔は孕めない」

 そう言い切ると、猫はふあぁと欠伸をした。

「その点、人間ってのはいいよな。だいたいが話し合いで解決するし、そこそこ頑張ってれば、衣食住は保証されんだろ? 常に命懸けな俺達からすりゃ羨ましい話だぜ」

 それを聞いて、男はぽつんと呟く。
「なるほど、他人の芝生は青いわけか」

 男の呟きを聞いているのかいないのか、猫はふあぁと欠伸を一つ、昼寝の続き。
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