妾に恋をした

はなまる

文字の大きさ
13 / 44

13離縁したい(ネイト)

しおりを挟む

 
 俺はメリンダが出て行くと父に話があると言って父の書斎を訪れた。

 「父さん話があります」

 「ああ、何だ。まあ、座れ」

 父は書斎の机の前に椅子を置いた。

 俺はその椅子に座るとすぐに話を切り出した。

 「父さん、実は…メリンダと離縁したい。俺達は…メリンダとは身体の関係はないんです。彼女は純潔のままです。このまま結婚生活はとてもやって行けません。あのわがままな性格といい潔癖すぎるところもすべてが俺には煩わしいんです。もう俺は我慢の限界です。いいですよね?メリンダと離縁しても?」

 「お前は政略結婚の意味が分かっているのか?ローリッシュ公爵家は宰相もしているしうちと取引もあるんだ。離縁すれば我が侯爵家も無事ではいられなくなる。かなりの損害と王宮内での仕事も差しさわりがあるだろう」

 「でも、メリンダのせいで跡取りが出来ないんですよ」

 「そのための妾だろう。そう言えばどうだったんだ?やはり無理だったのか。だからこんな話が?」

 「父さんは母一筋で浮気もしたこともないでしょう。妻がいるのに他の女性を抱くことがどれほどの罪の意識を強いられるか。わかりますか?」

 「じゃあ、抱いたのか?」

 「そ、それは…一度だけ…でも、もう嫌なんです。こんな気持ちになってメリンダと話をしました。何とか協力できないかって。それでもメリンダは協力しようともしてくれない。どうすればいいんです俺は!」

 「仕方がないだろう。妾を抱け」

 「父さん。そんな事出来る訳ないだろう」

 ネイトは声を荒げ真っ赤になった。


 それを見た父のリックは何かを感じる。

 「お前…まさかミーシャを好きになったのか?」

 「ば、ばかな事を言わないで下さい。俺は結婚してるんです。そんな事出来るはず…」

 完全にばれた。

 「すまない。お前には無理を強いた。でも、どうすることも出来ん。メリンダには気持ちを気づかれないようミーシャと逢瀬を交わせ。ただしミーシャにも気持ちを悟られてもいかん。お互い辛くなるだけだ。そうだろう?」

 「そんなの無茶苦茶ですよ。俺にはそんな自信はありません。ミーシャとの契約はなかった事にして下さい。彼女とはもう二度と会いません。二度と妾も入れません。その代り子供は諦めて下さい。俺にはもうそれしかありませんから」

 ネイトは言いようのない寂しさに襲われながら父の書斎を後にした。


 父にはあんな事を言っておきながらぐだぐだとメリンダの事やミーシャの事を考えた。

 最悪な気分だ。

 それに苦しかった。頭痛がして身体も気だるい。

 何だか疲れた。

 俺はそのまま自室のベッドに転がり込んだ。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様

オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。

【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?

氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。 しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。 夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。 小説家なろうにも投稿中

【完結】あなたに抱きしめられたくてー。

彩華(あやはな)
恋愛
細い指が私の首を絞めた。泣く母の顔に、私は自分が生まれてきたことを後悔したー。 そして、母の言われるままに言われ孤児院にお世話になることになる。 やがて学園にいくことになるが、王子殿下にからまれるようになり・・・。 大きな秘密を抱えた私は、彼から逃げるのだった。 同時に母の事実も知ることになってゆく・・・。    *ヤバめの男あり。ヒーローの出現は遅め。  もやもや(いつもながら・・・)、ポロポロありになると思います。初めから重めです。

【完結】初夜の晩からすれ違う夫婦は、ある雨の晩に心を交わす

春風由実
恋愛
公爵令嬢のリーナは、半年前に侯爵であるアーネストの元に嫁いできた。 所謂、政略結婚で、結婚式の後の義務的な初夜を終えてからは、二人は同じ邸内にありながらも顔も合わせない日々を過ごしていたのだが── ある雨の晩に、それが一変する。 ※六話で完結します。一万字に足りない短いお話。ざまぁとかありません。ただただ愛し合う夫婦の話となります。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中です。

【完結】恋が終わる、その隙に

七瀬菜々
恋愛
 秋。黄褐色に光るススキの花穂が畦道を彩る頃。  伯爵令嬢クロエ・ロレーヌは5年の婚約期間を経て、名門シルヴェスター公爵家に嫁いだ。  愛しい彼の、弟の妻としてーーー。  

どなたか私の旦那様、貰って下さいませんか?

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
私の旦那様は毎夜、私の部屋の前で見知らぬ女性と情事に勤しんでいる、だらしなく恥ずかしい人です。わざとしているのは分かってます。私への嫌がらせです……。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 政略結婚で、離縁出来ないけど離縁したい。 無類の女好きの従兄の侯爵令息フェルナンドと伯爵令嬢のロゼッタは、結婚をした。毎晩の様に違う女性を屋敷に連れ込む彼。政略結婚故、愛妾を作るなとは思わないが、せめて本邸に連れ込むのはやめて欲しい……気分が悪い。 彼は所謂美青年で、若くして騎士団副長であり兎に角モテる。結婚してもそれは変わらず……。 ロゼッタが夜会に出れば見知らぬ女から「今直ぐフェルナンド様と別れて‼︎」とワインをかけられ、ただ立っているだけなのに女性達からは終始凄い形相で睨まれる。 居た堪れなくなり、広間の外へ逃げれば元凶の彼が見知らぬ女とお楽しみ中……。 こんな旦那様、いりません! 誰か、私の旦那様を貰って下さい……。

処理中です...