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20看病します(3)
しおりを挟む翌朝薄日が差し込み部屋が薄っすらと見渡せる頃。
「ミーシャ?」
私は看病したままご主人のベッドに突っ伏して寝ていたらしい。
「はい!」
がばっと身体を起こしたせいで座っていた椅子から転がり落ちた。
「ダーン!…いっ、たぁぁぁぁ~い」
慌てたのは彼だった。
ベッドから下りて私を起こそうとしたが…
「だめだ…」
ご主人様はへにゃへにゃと腰を落とす。
高い熱のせいで身体がふらついたらしい。
「ご主人様!今、人を」
「だ、大丈夫だ。ベッドに寝転ぶだけならひとりで出来るから…」
そう言うとふらふらしながら立ち上がってベッドにごろんと横になった。
私は打ち付けた腰をさすりながら上掛を直す。
「ミーシャ大丈夫なのか?」
「え。ええ、少し痛みますがすぐに治ります。私これでも運動神経はいい方なんです。それにこんな所で寝てしまった私が悪かったんですから…それよりご気分はいかがです?」
「寝てしまったって?ずっとここで俺を?…俺の為に?」
ご主人の青白い顔に緩い笑みが浮かぶ。
よく考えればご主人様の部屋にふたりきり…
急に恥ずかしさが込み上げる。いや、違う。これは看病のためだ。
「まぁ…熱も高くて苦しそうでしたから‥いえ、お父様から頼まれたので」
「そうか」
今度は眉が下がりまるで捨て犬のような可愛い顔になる。
ぐはっ!いきなりときめいて胸キュンで心臓が痛い。
「あの、それで…熱は…」
「多分ある。身体が熱くて重だるい…ちょっとトイレに…」
彼がゆっくり起き上がりベッドから出て立ち上がるがとても一人では無理そうだ。
「私もお手伝いを」
言うより先に手が出た。彼の横で支えるように肩を貸す。ご主人様が「すまん。カッコ悪いよな…」そう言いながら腕を肩に回す。
「病気なんですから…身体熱いですね。まだ寝てなきゃだめです」
「ああ、そうだろうな。またそばにいてくれる?」
「もう、熱が下がるまでですよ」
「ずっと病気がいいな」
「そんな事!」
「おっ…」
扉を開けるとご主人がぐらっとして急いで人を呼ぶ。
「誰か来て下さ~い!」
使用人が気づいて慌てて助けに来てくれてトイレまで連れて行ってくれた。
「ご主人様、その間に食事の用意してきますから大人しく寝ててください」
ふらふらしながら歩いていたご主人がビシッと顔を振り向かせた。
「ミーシャが作るのか?」
「一応そのつもりですけど…いいんです。調理長に頼みます」
「いや、ミーシャのがいい」
「わかりました。でも、おとなしく寝ててくださいよ」
「わかった!」
彼が”わん!”と尻尾を振ったような気がした。
私はその間にベッドのシーツを取り替えるように頼んで食事の用意にキッチンに行く。
昨日と同じ薬湯を作ると先に届けるように頼む。その間にオレンジを絞りぱぱっとゼリーを作る。
料理長にはポタージュスープとパンがゆを頼んで私はとろふわオムレツ作りに取り掛かる。
(ご主人様気に入ってくれるといいな)
我が家の定番メニューで卵に生クリームを泡立てたものを入れて塩コショーで味付けする。
身体の弱った時には栄養満点の補助食にもなるし、食欲のない朝でもするするとお腹に入る優れものだと思っている。
「出来た!」
「ミーシャさんそれは何です?」
「とろふわオムレツよ。生クリームを泡立てて入れるの」
「へぇ~初めて見たな。すこし味見しても?」
「ええ、どうぞ」
「もぐもぐ…こりゃすごい。とろとろふわふわじゃないですか」
「でしょう?うまく出来て良かったわ。さあ、ポタージュは出来ました?」
「ええ、すぐにでも食べれます」
私がそれらをワゴンに乗せる。
「お待たせしました。朝食です」
私は意気揚々とご主人様の部屋に入った。
「ゴホッゴホッ…ミ‥ーシャ…」
「ご、ご主人様…誰か医者を呼んで」
彼は咳き込んで苦しそうで顔色は真っ青で触ると萌えるように熱かった。
まさか。肺炎?
肺炎は命の危険もある本当に恐い病気だ。
母も一度患ってすごく大変だった記憶が押し寄せた。
「ご主人様しっかり。すぐに医者が来ます」
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