いきなり騎士隊長の前にアナザーダイブなんて…これって病んでるの?もしかして運命とか言わないですよね?

はなまる

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  瑠衣は辛い体をゆっくり起こした。

 信じられないけどやってみる価値はあるかも‥‥

 半信半疑であの時のおまじないを自分のけがをしているところに向かって唱え始めた。

 「ヒィールウーンドウォート…ヒィールウーンドウォート…ヒィールウーンドウォート…」

 まず手の甲やひじのあたりにやってみた。すると見る見るうちに赤くなって腫れているところから痛みや赤みがひいて行く。

 うそ…女神さまが言った事は本当なの?自分でも信じられないことが目の前で起こっている。こっちもあっち元次々に痛むところにまじないをかけて行く。あばらも脚の腫れもあっという間に消えてなくなった。



 そして顔の痛むところに手を当ててまじないをしている時レオナルドたちが入って来たのだ。

 おまけにもう一人は頭に角まで生えている獣人まで…

 ジャックという獣人は聖女が現れたと驚いいてしばらくボー然としていた。そして何か叫びながら部屋を出て行った。
 

 そして今わたしはレオナルドの腕の中でオロオロしている。いつもの威厳のある彼の耳はくにゃりと折れていつもの頼もしい彼には見えない。

 「レオナルド?」

 「瑠衣?大丈夫か。痛みは?」

 「ええ、そう言えばすっかり痛みはなくなったわ」

 やっぱり夢じゃない。これって…じゃあ、女神が言ったことが本当の事なの?

 これって…絶対わたしどうかしてるんだ。


 「瑠衣、もうどこにも行かないでくれ、君がいなくなるたびに俺は心配で心配で生きた心地がしない。おまけに君は大けがをして…もしまた今度いなくなったらもう二度と君をこの腕に抱けなくなるかもしれないと思ってしまう。そう思うだけで気が狂いそうになるんだ。わかってくれるか瑠衣?」

 「レオナルド、どうしてそんなにわたしの事を?」

 「どうしてって…君を初めて見た時、俺は生まれて初めて恋に落ちた。君を愛している。こんな気持ちは初めてなんだ」



 瑠衣はまだ混乱していた。到底信じられる話じゃないわよ。

 女神の話も、ここが現実の別世界だと言うことも…それに一番信じられないのはレオナルドの事だ。彼は狼で人間で?まるでわたしを愛してるみたいに…‥嘘よ、わたしの事なんか…

 「やめてよ!いきなりそんな事‥‥あなたはわたしのあんな姿を見たからそう思うだけかも知れないじゃない…」男は女の裸を見たらどうなるかって事くらい良く知ってるんだから!要するに男ってやれるなら誰でもいいんだから。


 「最初はびっくりした。でも君に会うたびに君を忘れられなくなった。瑠衣、俺の言うことが信じられない?」

 彼の指がわたしの顎を上向かせる。彼の赤い瞳は真っ直ぐにわたしを見つめる。さっきまで倒れていた耳はピンと立ち上がり、確固たる自信に溢れているように見えてしまう。

 瑠衣は思わず彼の言うことを信じてしまいそうになる。

 いや、信じたいと思ってしまう。

 こんなに見つめられたら、わたしの心は焼き尽されそうになる。このまま狂おしいほど愛されたらどんなに幸せだろう…

 わたしは見えない糸でからめとられたように動けなくなる。

 「瑠衣…」

 「レ、オナルド……」


 レオナルドの顔が近づいてくる。唇に彼の唇が重なってくるとわたしは無意識に口を開いていた。彼の舌が口腔内に入って来ると、確かめるように歯列をなぞり、味わうように舌を絡めて来た。唇の隙間から吐息がこぼれ、わたしは彼の舌に自分の舌を絡め合わせる。

 「んっ‥‥レオ…」

 「るい…もっとだ」

 「あぁ‥やん‥‥ん‥‥」

 「もっと、欲しい…」

 甘く激しく情熱的にキスをかわす。レオナルドの舌はわたしの口の中を奪うようにむさぼる。獣人とはこんなにも激しく睦み合うのかと…

 瑠衣はそれに応えるように舌をからめて軽く歯を立てた。

 「ああ…るい…?」

 レオナルドが驚いたように目を見張る。


 瑠衣は心の奥底では彼を渇望していた。本能が彼をもっと欲しいと要求している。押し殺していた本心がボロボロ零れ落ちるように瑠衣をまる裸にしていく。

 瑠衣はそっと唇を近づけた。

 「もっとしてレオナルド…もっと」

 彼がむさぼるようにキスをし始めると瑠衣は彼の舌を求める。レオナルドはその舌を捕まえてさらに深くまで舌を絡める。

 ああ…なんて素敵なの…花芽が疼いてきて瑠衣はレオナルドに腰を擦り付ける。彼の熱いたぎりを感じると我慢できなくなる。


 こんなにレオナルドを求めるなんて信じられない……でも、もう…

 「ああ…もっと…レオナルド…」

 「うっ…るい…我慢できなくなる」

 瑠衣はまさに至福の時を味わっていた。

 ああ…わたし、レオナルドの事、ますます好きになっちゃうじゃない!

 「コホン!あの…隊長?」

 その声に驚いてぱっと離れる。

 そこにはさっきの角が生えた獣人が立っていた。 



 レオナルドはわたしから離れるとわたしの乱れた髪にそっとキスをして立ちあがった。

 「コホン!じゃあ、瑠衣はゆっくり休んでいてくれ、ジャック話を聞こう」

 そしてジャックの肩に手をかけると引きずり出すように隣の執務室に行った。

 「まさか隊長はあの聖女と恋仲なんですか?」

 「いや、わたしは彼女を好いてはいるが彼女の気持ちを確かめたわけではない。それに彼女はいつもすぐに消えてしまうから…」

 レオナルドは面白いほど動揺して顔を赤らめた。

 「百戦錬磨の隊長が赤くなるなんて…」ジャックがくすりと笑った。

 「わ、俺が人並みに女を好きになってはおかしいかジャック?」

 「あっ、いえ、そんなつもりでは…」

 ジャックはあんな隊長を見たのは初めてで、思い出すだけでこっちまで恥ずかしくなる。

 「あの…ですがさっき国王に聖女が見つかったと書面を早馬で送ったところですよ?国王が聖女を連れてこいと言うのは目に見えています。それに国王は聖女を自分のものにしようとするかもしれませんよ」

 「どうして?ジャック言い伝えを知ってるだろう?聖女は最初に出会った男と愛し合うようになるはずだっただろう?」

 「ええ、確かそうでした。でもその男は殺されるんですよ。そして聖女は自分の命を引き換えに男を生き帰らせる。そしてその男こそアディドラの支配者になった。確かそうでしたよね?」

 レオナルドは顔を真っ赤にしてジャックの胸ぐらをつかんだ。

 「ジャック今なんて言った?聖女が死ぬ?」

 「ええ、彼女は男を助けるために自らの命を捧げるんです。それにアディドラ国の最初の王と聖女が結ばれたなら、今度現れた聖女は国王を結ばれることになるんじゃないんですか?」

 「ばか、それじゃあ国王が死ぬことに。おい、そんなことを言ったなんて知れたら…」


 ふたりは息をのんで辺りを見回す。

 アディドラ国の国王イエルク・カレンベルクは、独裁者だ。政治の事はジャミル宰相や側近たちに任せて自分は女たちと遊興三昧の日々を送っているとのうわさだ。そして自分には限りなく甘く、人には冷酷で残忍なことで有名だった。

 もし国王の悪口でも知れたら、すぐに打ち首になるかもしれない。



 
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