12 / 45
12もう勝手な夫の言い分には負けません
しおりを挟むラウラが昼食を買って来て一緒に食べる。
簡単なサンドイッチと紅茶は茶葉を買って来てもらった。
皿やカップは借りて使う。
食べ終えるとラウラを帰らせることにした。
しばらくこちらで療養が必要になったと知らせるためもあるしラウラにも仕事があるからだ。
夕方テルヒが声をかけてくれて夕食の準備をして帰って行った。
夕食のメニューはサケのソテーとコーン、それにポテトに人参のスープだった。
味はとても美味しくミモザはすっかり平らげた。
食べ終えるとどたどた階段を上がる音が聞こえた。
いきなり扉が開いて夫であるライオスが入って来た。
「ミモザどういうことだ?なぜこんな所にいる?答えろ!」
「旦那様、申し訳ございません。昨日の怪我が少し悪いらしくて療養のためここに置いて抱くことになりました」
「貴族がこんな所で療養だと?ふざけるな!さあ、帰るぞ。馬車を待たせてある。今帰れば母も機嫌を直す」
ライオスはミモザを無理やり起こすと連れ出そうと身体を強く引っ張る。
ミモザはぐっと力を入れてそれを庇む。
「いいから大人しく帰るんだ。今なら誰も怒ったりしない。まったく俺を困らせる気か?」
ライオスは相当頭に来ているらしく。何度も舌打ちを繰り返す。
「いやです。申し訳ありませんが私はもう義理母様のご機嫌を取るつもりはありません。ご機嫌はあなたの愛人のヴィオラさんにでも取った貰えばいいのです。私はあなた達の犠牲になる気もありません。跡取りはヴィオラさんが産めばいい事です。あなたの愛するヴィオラさんが!そのほうがあなたにも都合がいいではありませんか。帰って下さい。あなたの顔など見たくもありません」
「そんなわがままが通用するとでも?」
ライオスの整った眉がいぶかしげに上がる。目は険しい様相を呈して唇はわなわな震えている。
こぶしを握り締め手を出しそうななるのを必死でこらえているようにも見える。
(ふん!殴れるものなら殴って見なさいよ)と言いかけたがそれはやめた。
「わがままではありません。私はけが人です。それもあなたの父親のせいです」
「今度は父のせいか?」
「まったくお前と言う女は。もういい!お前とは離縁する。二度と帰って来るな!」
「ええ、帰りません!」
「その代わりこの離縁はお前の有責だからな。お前の勝手なわがままで俺は迷惑をこうむるんだ。慰謝料は払ってもらうからな。覚えていろ!」
「旦那様は自分が愛人を持ち私とは一切の関係を持たず跡取りを強要されている私に責任があると?」
「ああ、そうだ。公爵家の跡取りを産むのはお前の仕事だろ!」
「それはあなたとの間の子供だと私は思いますが、あなたはそれは望まれないのですから私に責任はありません。それに迷惑をこうむっているのは私の方です。離縁と言われるなら慰謝料を払っていただくのは私です」
「なっ!クッソ。覚えていろ。二度と屋敷に入れないからな。お前など二度と見たくもない」
義理母と同じように人を脅して来る。(今さらそんな脅しが通用すると思ってるの?)
ミモザは黙っていた。するとよけい気を悪くしたらしい。
「大体お前なんか興奮もしないんだ。ったく。よくそれで俺の妻だと言えるな。」(あら、私だってあなたの妻でいたくありませんが)
「今言われた事は確かですね?」
「もちろんだ!」
「では、あなたがそう言われた事ここに書いて下さい。私は二度と騙されたくないんです」
「ああ、いいだろう」
興奮したライオスは苛立たし気に紙に書く。
○ミモザを二度とキャメリオット公爵家の屋敷に入れない。
○二度とミモザと関わらない。
○ミモザに性的興奮しないので妻と思っていない。
以上の事ライオス・キャメリオットは確約する。
ライオスは書いた紙をベッドにひらりと投げつける。ミモザはその紙を見る。
「これは誓約書と認識していいんですね?」
「当たり前だ。これでやっとせいせいする。帰ったら母にも報告しておく。もう取り返しはつかないんだからな」
「結構です!」
「ふん!せっかく迎えに来てやったのに可愛げのない女だ。勝手にしろ!言っておくがこれで離縁できると思うな。書類の上ではお前はずっと俺の妻だ。それで満足だろう?屋敷にも戻らず好きにすればいい。お前が出て行ってくれてせいせいするよ」
ライオスはなんだかんだと言いながら帰って行った。
まるで負け犬の遠吠えってやつ。
きっと離縁するとなると義理母にひどく叱られるのが嫌なのだろう。義理母がぐちぐち言い出すとそれはもうしつこいのだから…
でも、言いたいことを言ってすっとした。
生きて来て今が一番スッキリしたかもしれない。
こうなったら一刻の猶予もない。明日にでも王宮に行って離縁の手続きをしなくては。
ライオス甘いわよ。
妻を家に入れないなんてありえないから。
妻と関わらないっていうのもあり得ないから。
こっちには切り札もあるって言うのに。
もちろん慰謝料を貰うのは私に決まっている。
23
あなたにおすすめの小説
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
残念ですが、生贄になりたくないので逃げますね?
gacchi(がっち)
恋愛
名ばかり公爵令嬢のアリーは生贄になるために王宮で育てられていた。そのことはアリーには秘密で。ずっと周りに従順になるように育てられていたアリーだが、魔術で誓わされそうになり初めて反発した。「この国に心も身体もすべて捧げると誓いますね?」「いいえ、誓いません!」
たまたまそれを見ていた竜王の側近ラディに助けられ、竜王国に働きに行くことに。
アリーは名前をリディに変え、竜王国で魔術師として働く予定だったが、どうやら普通の人ではなかったようで?
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。
恋愛系
恋愛
屋敷が大っ嫌いだったミア。
そして、屋敷から出ると決め
計画を実行したら
皮肉にも失敗しそうになっていた。
そんな時彼に出会い。
王国の陛下を捨てて、村で元気に暮らす!
と、そんな時に聖騎士が来た
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる