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第七章 公家の政
第二百七十八話 皇軍の初仕事
しおりを挟むで、さっそく俺の方から播磨に向け勅使を出してみたけど、赤松に小寺、それに三木に別所が離合集散を繰り返して戦が無くなりそうにない。
これは狙った状況なので、かまわないが、一応勅使だけはどの家もきちんとお迎えをしたので、すぐに兵は出せない。
まあ、返事はどの家もまともにくれなかったが、これも想定の範囲だ。
俺らとしてもすぐには軍を出せないので、正直助かるが、一応軍を出すことで弾正とも話し合いを持った。
うちからは若狭から兵を借りて孫一さんに率いてもらうつもりだ。
尤も若狭の兵は後詰程度しか使えないだろうが、こっちも想定しており、圧倒的な火力で城ごと吹き飛ばすつもりだ。
大和からの弾正の兵も同じようだ。
こちらから大筒を貸し出す算段も付いている。
勅令の効果があったのかこの年の初めはおとなしかった。
しばらく様子見だろうか。
その後は比較的穏やかな時間が過ぎていく。
やはりというか、夏前には播磨で小規模ながら戦が始まった。
赤松氏の一部らしいが志方城の櫛橋氏に対してちょっかいをかけているようだ。
一応、俺の方から再度勅命の惣無事令を守れと手紙を出しているが、効果はなさそうだ。
まだ討伐軍を出すまでにはいっていないようだが、赤松氏と櫛橋氏が家同士でぶつかるようならば当初の計画通りに討伐軍を出すしかない。
俺は大和の弾正に対して軍を出す準備の依頼をしておいた。
それと同時に越前にいる孫一さんを京に呼び出した。
この年の八月には京の屋敷に主力となる兵が集まった。
これと同時に大和の弾正のところにも砲兵を一部貸し出してある。
「空さんよ。
この後どうするね」
孫一さんが俺に聞いてくるので、俺は山科卿と話し合い、もう一度今度は東宮から手紙を出してもらうことになっている。
もっとも、東宮からの手紙って言っても、俺たちが書いた……ごめん、見栄を張った。
五宮に書いてもらい、印字だけをもらった手紙を出してある。
内容についてはきちんと写しを東宮にも渡しているが、この件には東宮は実際には関与していない。
これが大事。
結果責任は俺たちが負う。
当然、戦をしている両者は手紙の受け取りも拒否している。
まあ、当然だわな。
手紙を受け取った上で無視するようならば朝敵認定されても文句は出せない。
でも、受け取らなかったからと言っても結果は同じなのだが。
俺たちはこれで遠慮なく両者を完全に排除できる。
俺の屋敷は検非違使の庁舎にもなっているので、馬ぞろえのための待機所にも使えるように広い場所がある。
そこに集まった兵を前に出陣の号令をかけた。
きちんと整列をしている兵士たちの士気は高い。
賢島で専門に訓練されている連中だ。
いわば俺の虎の子の兵たちだ。
出陣式を太閤殿下や山科卿を前に行った後、俺たちは整列をしながら京の町中を行進して播磨に向かった。
俺たちの行動に慌てたのが播磨の豪族たちだ。
しきりに俺たちに接触をかけてくるが、俺は全く相手にしていない。
俺たちは皇軍なのだ。
不要な合力はいらないし、後々面倒にもなる。
驚いたのは、手紙の受け取りを拒否していた赤松と櫛橋の両家からの弁明の使者が俺のところにも京の山科卿のところにも来ているらしいが、当然両方とも相手にしない。
俺は当然だが、山科卿にも相手をしないようにお願いをしているので、ややこしいことにはならないだろう。
何せ弁明に来ている両家は戦を止める気配がない。
両家とも俺からの和睦の使者を待って、俺の仲裁で戦を止めると考えているようだが、俺はそんな甘い処置はしない。
戦場に着くとすぐに俺たちは行動を始めた。
俺たちとタイミングを合わせるように弾正軍を率いている本多さんも赤松の居城である置塩城の攻撃を始めたようだ。
俺たちは、すぐに志方城を囲んでいる赤松氏に対して砲撃を始め、簡単に赤松氏を撃破した。
囲んでいた赤松氏たちの兵は砲撃が始まるとちりじりなって逃げだしていく。
ほとんど戦らしい戦をしていなくともこの戦場は簡単に方が付いたが、この後が問題だ。
櫛橋氏はそうでなくとも京の公家を甘く見ている節がある。
昔からだそうだが俺たち朝廷からの命を聞くつもりがないのだ。
なので、今回の件でお取り潰しが決まっているので、そのまま城門を砲撃で壊したのちに櫛橋側に対して降伏勧告を行う。
慌てた櫛橋の当主本人が俺の陣まで来て説明を求めてきた。
「朝敵であるそなたに口を利くのも本意ではないが、この地を以後朝廷が直接管理する。
そこの者をひっとらえ、京に護送する」
俺はそう言ってから櫛橋の当主を拘禁してすぐに京に罪人として護送を命じた。
その後うちの兵たちが志方城の武装解除を進めていく。
その際、護送されていく当主を城内にいる連中に見せつけるように運んだので、簡単に場城内の兵たちは戦意をくじかれて、俺たちが求める武装解除に応じた。
同様に赤松の本拠地を攻撃していた本多さんからも連絡が入る。
置塩城は山城であるため、若干攻略に手間はかかったようだが、兵たちの多くが志方城攻めに出向いていたので、ほとんど犠牲なく落とすことができたと報告を受けている。
かねてからの打ち合わせの通り、一旦両家の領地は朝廷が没収する。
これは配下の地頭たちも例外なく行われるので、地頭たちの領地没収時には若干の混乱は予想されるが、それはのちの話で、今は両家の当主を勅命無視しての戦に対しての罪で処理されていく。
播磨一国全てならばやりようもあるが、俺たちが本拠を置いている山城の国からは丹波や摂津の国があり、しかも赤松、櫛橋両者の城も三木や明石城などの城がある飛び地になるので、朝廷直轄となったはいいが、少なくとも俺はいらない。
多分弾正も遠慮したいだろう。
なので、朝廷が管理となるがどうしよう。
当分は使える公家を現地に送り任せるが、他の播磨の勢力も、いや、摂津の池田や丹波の波多野も落とした後に処理されることになる。
すぐには無理だが、俺も三国の領主となっている……か?
山城は俺が管理しているが、朝廷の物だろう。
そこで、朝廷としては直轄地として山城、摂津、播磨、丹波の4か国を任せることになるだろう。
尤も、俺たちが指導をして、公家と武士とで、共同で管理する羽目になるだろうが、そこまですれば他の大名も少しは朝廷の話を聞くだろう。
そうなれば全国に惣無事令を出せる。
そこまで行けばもう大丈夫だ。
あと少し、まずは播磨だ。
赤松、櫛橋の両家をお取り潰しにしたことで他の播磨の勢力には激震が走っているようだ。
俺たちが簡単な戦後処理を済ませてから京に戻ると罪人としてとらえた二人は、そのまま隠岐に島流しとなった。
俺が抑えている小浜から船で隠岐まで孫一さんの配下が連れて行った。
まあ、隠岐から逃げてもあのクラスならばたいしたことはできないだろうが、一応記憶の隅にとらえておく。
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