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第七章 公家の政
第二百八十一話 姫路城と播磨の扱い
しおりを挟む一度みんなを集めての話し合いが必要なのだが、領地が増えた現在、昔のようには簡単にはいかない。
これも何かしらの対策が必要だ。
最近戦は確かに減っては来ているし、何より俺が戦場に出ることはほとんど無くなってきているが、かえって問題が根深くなってきているように思われてとにかく不気味でしかない。
誰か、どうにかしてくれ~。
とにかく姫路城も無事に接収できたことで、城主である職隆を一旦播磨に戻すが、ただ遊ばせておけるほど俺たちには余裕がない。
すぐに俺も姫路に入り、本多さんと孫一さんを姫路城に呼んで打ち合わせを持った。
播磨の地を抑えるのにここ姫路は非常に都合が良い。
何より良港に恵まれているので、堺から船ですぐにここまで来れるので、俺は姫路城が俺たちについたことで、ここに播磨攻略の拠点を置いた。
黒田家が俺たちにつく時に領地を俺たちが没収しているので、城の所有権は微妙になるが、播磨攻略の拠点を置くことには何ら問題はない。
流石に姫路から置塩城や志方城は飛び地になり、途中にいくつもの豪族たちの領地を挟むが、俺たちの移動については今のところそれら豪族たちは静観の構えだ。
尤も攻撃でもしてくれた方が俺としてはありがたいのだが、そのうちに何か考えよう。
今のところ方針は攻略の拠点を姫路に置いて、置塩城や志方城とも連絡を密にとり当面の政を行っていく。
その取りまとめを黒田の領主であった職隆にお願いをしている。
彼は朝廷についたわけではなく、俺についたので今後色々と面倒もあるが、とりあえず播磨ならば今までとそれほど変わらずに治められるだろう。
もっとも俺たちのやり方があまりにこの時代にそぐわないことくらいは俺でも自覚はあるので、姫路城周辺については当面そのまま治めてもらうことにしている。
すべては葵に付けた孝高が成長して独り立ちしてここに戻ってからになりそうだが、とにかく当分は人の自転車操業は続く。
職隆を姫路城に戻し、正信さんや孫一さんとの打ち合わせも済ませてから俺は京に戻る。
京の治安は俺がここの来た時から比べると格段の違いを見せ、かなり商いも盛んになってきている。
なので、治安責任者としては特別なことをする必要もなくルーチンだけで済むが、俺の仕事はそれだけではない。
ただでさえ、面倒な京での仕事を抱えているのに、要らないと言っても無理やり若狭と越前を押し付けられたので、そちらもどうにかしないとまずい。
先ほども出た話だが、京はとりあえず落ち着いたこともあり、俺は一度越前に入ることにした。
越前は完全に藤林さんと張さんに丸投げ状態で任せきりなので、いい加減そろそろ顔を出さないとまずいことになりそうだと最近しきりに報告されている。
ここ京からいつもの護衛たち数人だけを連れて船で琵琶湖北岸まで直接向かう。
いつもならば草津や安土で宿泊をしながら色々と打ち合わせなどをしていくのだが、正直最近色々とありすぎて、信長さんとは顔を合わせにくい。
確かに最近不義理をしているのは承知しているが、今顔を出すと鴨葱かもねぎになりかねない。
緊急などの用があれば信長さんは遠慮なく直接訪ねてくるので、放っておいても問題はない。
これはお市さんからの情報だ。
それに何かあれば信長さんは妹のお市さんを通して何かしら言ってくるから遠慮なく俺の仕事をしてほしいと俺は出発前にお市さんから聞かされている。
正直仕事のできる奥さんズの存在はありがたい。
内政に限っては今ではほとんど任せきりになっている。
朝廷関係は結さん、京の町衆や外交についてはお市さんが担当してくれているらしい。
俺は少数ながら無事に越前の一乗谷に到着した。
到着早々に不穏な知らせを受ける。
「空さん、ご苦労様です」
俺を出迎えてくれた藤林さんは少しばかり恨めしそうな目を向けながらも挨拶してくれる。
そう、俺にはわかっている。
越前を完全に藤林さんに任せきりな所に孫一さんを引き抜いているのだ。
恨まれたってしょうがないとは思うが、俺だって流石に悪いとは思っているので、張さんを派遣している。
しかし、仕事面では文句など一つも出るはずのない張さんの仕事だが、無能者には少々どころかかなりきつい。
その無能どもが張さんがらみであることないこと、いや、無いことばかりを藤林さんに告げ口してくるらしく、そちらの対応で忙しいらしい。
どうも俺はそれも含めて根に持たれているようだ。
酒の席で藤林さんが言うには葵殿か幸殿を派遣してくれればと言われるが、あの二人を派遣しようものならばかえってなめられて収拾がつかなくなりそうだ。
それくらいのことは藤林さんならばわかりそうなものだが、わかっていて俺に文句を言ってきているくらい忙しいらしい。
うん、丸投げは恨まれるらしい。
で、その席でもたらされた知らせで、石山の本願寺がやばいらしい。
この石山本願寺は摂津の海に面したかなり立地の良い場所にある砦だ。
そこが戦の準備を始めているらしいことを越前の一向宗の寺から聞いたと俺に知らせてくる。
ここ越前でも東は一向宗が幅を利かせている。
元の領主である朝倉はかなりの大大名であるにもかかわらず京の政に口を出さなかったのは一向宗徒との確執があったためで、名将であった朝倉宗滴が存命である時ならば領内を完全に統治できていたようだが、朝倉宗滴亡き後は越前からどんどん浸食されて、今ではかなりの勢力になっている。
俺たちはその一向宗を上人様のお力を借りて石山派から三蔵派に取り込むことで、収拾を付けている。
今はその過渡期で領内には石山派と三蔵派の二派があり、その関係で石山本願寺の戦準備の件を聞くことができたようだ。
せっかく畿内が落ち着きを取り戻してきたのに、ここで戦とは正直うれしくもなんともない。
まあ、石山本願寺からしたら近衛も逃げこんでいることもあるし、何より俺たちが越前を抑えていることで、完全に北陸との繋がりを絶たれるのを恐れたためのようだ。
そうでなくとも伊勢の一向宗は完全に三蔵派が抑えた状態で、どんどん影響力を落としている。
俺からしたら、そのままどんどん影響力を落として本来ある宗教の姿に戻ることを期待しているのに、人の欲には限りが無い。
今までさんざん贅沢をしていたのに、その基盤を俺たちに奪われていると思っている節がある。
まあ、逃げ込んでいる近衛辺りもたきつけてはいるのだろうが、それでも、坊主が贅沢をしてどうする。
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