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第七章 公家の政
第二百八十九話 最終話~永禄十四年 新たな政府
しおりを挟む早速、知らせて準備を始めよう。
俺はメンバーになる人たちに召集をかけるようにお手紙を書いた。
真剣に、次の受け入れ先を準備しているとあっという間に時間は経ち、本願寺が京に越してくるとなった。
俺たちが建設している寺はまだ完成には程遠い状況なのだが、先の豪族たちの一件もあり、相当に本願寺の穏健派と言われる連中からは信頼されているらしい。
もっとも、主戦派?と言う連中はまだ本願寺に残るらしいが、こちらに移ってくる本家?の穏健派たちは俺たちに残った彼らを排除してもいいとまで言っている始末だ。
そのうち排除もあるだろうが、今はあの地は必要としていないのでしばらく放置だ。
しかし、建設中の寺にわざわざ移ることもないだろうと思って聞いたら、本堂があればいいらしい。
それ以外については本願寺の方でも準備を始めるとかで、俺たちが用意した敷地のそばに付け城ならぬ付け寺をいくつか造るらしく用地の取得も済ませていた。
引っ越しに際しては本願寺からご本尊を動かすので、俺の方からも兵を出して道中の警備にあたる。
当然、引っ越しに横槍が入ったが、当然俺たちが武力で制圧している。
本願寺の方でもそれを望んでいた節すらあった。
俺は本願寺の顕如さんに良いようにあしらわれているような感じだ。
本願寺が洛中に来たことで、洛中ではいよいよ新たな幕府の誕生かという空気が流れている。
俺たちにはもともと幕府など作るつもりもないが、新たな政府を発足させないとまずい空気が流れている。
俺は、いつものメンバーを集めて政府発足に走る。
まずは合議で政をするメンバーを決める。
これは当初からの話し合い通り、俺と山科卿、信長さんと弾正の4人に加え、東宮からの推薦もあり皇族から一人を加えての5人となる。
大評定にあたる全体会議のメンバーとして太閤殿下から推薦を貰って公卿から5人、俺から強く求めて下級の公家たちからの5人を五宮に選んでもらい、京のお公家さんから合わせて10人を選出している。
後は武家からも10人選びだせばいいのだが、これがかなり厄介な作業となった。
何せ、畿内には有力武将は俺たち以外誰も残っていない。
まあ、大評定なんか当分事後承諾機関になることが予測されているので、いなければ俺たちの配下から選べばいいだけなのだが、悩んだ挙句摂津や播磨の豪族から俺たちに早くから合流してきた者たちを10人選びだした。
だが、俺はこれで終わりにはしない。
この後の選出はかなり無理があったのだが、一向宗から顕如と上人様を推薦したら、顕如さんは良くわからないが俺に協力してくれるとかで、素直に納得してくれたのだが、上人様は年齢を理由に玄奘様を推薦してきた。
玄奘様なら問題ないので、その方向で動き、仏教徒からだけだと、色々と面倒になりそうなので、お伊勢様から禰宜を一人推薦してもらった。
仏教勢力から二人も出している関係上、京周辺からもう一人神教関係者を出しておきたい。
俺の屋敷に近い下賀茂神社とは割と良好な関係を築いていたこともあり、今回は下賀茂神社からも禰宜を一人出してもらった。
後、試しに弾正様に大和の神社から人を出しませんかと聞いたら、興福寺をけん制する意味でも大賛成とのことで春日大社からも禰宜を出してもらうことになった。
もう十分かとは思うが、ここで俺の悪い癖とばかりに、やるなら今とばかりに京の町衆や大和の町衆、それに堺からも人を出してもらい、町衆からも10人ばかり用意した。
形は整った。
俺はこれを衆議員と呼んでいたら、そのまま定着してしまった。
なぜ、衆議員と言っていたかと言うと、実際に合議していく俺たちの官職を全員参議以上にしてもらっているので、俺は参議員と呼んでいた。
だからその対となるメンバーだからということで便宜上そう呼んでいただけなのだが、まあいいか。
そんな感じでバタバタしていたらあっという間に永禄13年も年末を迎え、正月に主な人が集まった時に、実際の政治運営についても相談しておいた。
俺の役職も近衛大将まで昇進していたが、此度の畿内に作る政府発足に伴い、検非違使を発展的に廃止して、警察府を置いた。
それで、この警察府は山城の国の治安を守ることにだけ置く組織として、摂津や播磨にも同様に警察府を作ってもらった。
今まで何となく武士たちが治安を守っていたが……本当に守っていたのかな……まあそんなことはいいか。
とにかく、各両国にも警察府を置いて領民の安全を守る仕組みを作った。
それで、その三つできた警察府をまとめる組織として近衛府を作った。
それ以外では両国内の交通の利便性を高めることを仕事として建設府を作り、これも警察同様に各両国にも置く、また、それらを取りまとめとして工部尚書を近衛府と同格で作り、畿内の道路行政を一本化していく。
俺の記憶がかなりでたらめなので、名前などがいい加減になるがとにかく形だけでも作っていった。
それと畿内の外からの脅威に対して、安全の確保のために軍部も造る。
と言っても、組織上だけで実際の兵などは各大名からの混成部隊を考えている。
その軍のトップに軍務尚書を置いて、その他に政府の財政を司る財政尚書も置くことが決まった。
それらの案をもって、正月の参内時に主上に御目通りを願い、勅命をもって律令内に明記してもらった。
これにより、政府の役職はどこをとっても令外官では無くなり、征夷大将軍や関白などが出てきても、無視できる。
いや、ただの建前だが、それでも律令に無い役職について無視できる体制だけは整った。
なんだかんだと言って、ここまでやっと整備が済む頃には厳しい京の冬も終わりをつげ各地から梅の便りも聞く。
そんな街の花も梅からサクラに代わる頃に新政府の発足式が執り行われた。
俺たちを前にして、主上が左大臣を伴い現れ、左大臣から主上のお言葉を代弁してもらった。
「これより、ここに政府なる役所を新設する。
政府は畿内の安寧と発展のために尽力を期待する」
左大臣からのお言葉の後、名目上の政府トップである東宮が現れて、政府の重要閣僚の任命式がそのまま執り行われた。
政府の議長に俺の義父である太閤殿下が条件付きだが、就任してくれ、実質的な長には執政官と言う名で松永弾正改め松永参事が就任した。
続いて安全を守る要の軍事尚書には信長さん、財政面では山科卿が就任した。
俺か、俺は先に上げた太閤殿下の条件で、近衛府と工部尚書の取りまとめ役として護民府が置かれて、初代護民府長に就任させられた。
これは執政官の次の役職となり、実質副執政官ともいえる面倒な役職だ。
下手をしなくとも一番働かされる役職に一番若い俺が就いた。
勘弁してほしいが、とにもかくにも、政府は始まった。
完全に掌握が済んでいない摂津や播磨に一番遅れている山城の国も掌握も始めないとまずいが、とにかく、仕事が始まる。
今までの延長戦ではあるが、今からは主上の命により東宮の監督の元での仕事なので、特に信長さんの率いる軍に至っては勅命とまではいかなくとも綸旨と同じ効果を持つ命令で起こされる軍となる。
そう、官軍の誕生だ。
尤も内容としては国連軍や多国籍軍と言った感じで、主上は穢れ多き軍は持たない。
なので、その穢れの部分を受け持つ武士がいるのだ。
建付けとしてはそんな感じで、新たな世が始まる。
今回の式典は京の町衆だけでなく、畿内のどこもお祝いムードで歓迎してくれていた。
俺たちの頑張りと言うよりもほとんどが松永さんの参議就任や信長さん、それに九鬼さんたちの頑張りなのだが、かなり前から機内では戦の話は聞かなくなっている。
だからなのだろうが、今回の式典で安全の宣言とでも取られたのだろうか。
最後に執政官となった松永さんから畿内全域及びその周辺に惣無事令も出され、主上がそれをお認めになられた。
庶民からしたら、松永さんの幕府が誕生した瞬間に思えたことだろう。
そうそう、大大名のうちで名の上がらなかった九鬼さんだが、当然俺の元で近衛府の長に治まっている。
俺が逃がすはずもない。
また、工部尚書の長官に半兵衛さん、そのサポートとして張さんまで就けている。
なので、俺のところは今までと何ら変わることもないが……あ、一つだけ変わることがあった。
京の警察府を俺の嫁であるお市さんがしてくれることになり、『京府警の女』第一号となる。
俺がこれをやりたいだけに、無理やり付けたのではないが、俺の中ではちょっとだけ楽しんでもいるのも事実だ。
式典も終わり、このまま世の中から戦が無くなればいいのだがと思っているが、どうなるのだろう。
式典後に俺は参議員議長の太閤殿下に呼ばれたので、殿下の元に向かうと、そうそうたるメンバーがそこに詰めており、太閤から至上命令を頂いた。
なんでこの場に東宮まで居るんだよ。
しかも命じられた内容は……
『早く子供を作れ』……とな。
なんだよ、それは。
こんな爺バカとも思える命令に東宮様までもが連名しているのだ。
そう、俺は子作りの綸旨を賜った第一号となった。
うん、世の中はすでに平和だ……こんなおわりかよ。
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