31 / 53
ブルームーン国
別れ ジンニック視点
しおりを挟む
公爵と話をして次の日の朝、俺はメレナーデ嬢と一緒に庭を歩いていた。
今日の朝ここを出れば馬でなら本日の夜には辺境伯領に戻れる手はずとなっている。戻ったらすぐバイヤー侯爵家に行けるよう手紙も送ってもらった。
一番の難関であるギムレット公爵には昨日メレナーデ嬢と一緒になりたいことを伝え、許可をもらえたためこれからのことを踏まえて少しずつメレナーデ嬢と距離を縮めていきたいと思っていた。
「ジン様は本日ここを発たれるのですね。短い間でしたが大変お世話になりました。」
メレナーデ嬢はここまでの感謝を伝えくれた。ここで伝えなければいつメレナーデ嬢に気持ちを伝えられるかわからない。カルーア国に戻ったらおそらくいろいろなことが動き出すだろう。内戦が起きるという可能性はほとんどないだろうが、今のまま行くと国王が変わる可能性もある。そのためにも先に言葉を伝えておく必要がある。
そう、わかってはいるものの柄にもなく緊張しすぎて次の言葉が出てこない。俺が何も話さないことをメレナーデ嬢も不思議に思っているようだった。
「メレナーデ嬢。君に伝えておきたいことがあるんだ。その...なんだ...」
メレナーデ嬢は首をかしげて不思議そうにこちらを見ている。
「俺と手紙のやり取りをこれからしてくれないか?君と話すのはとても楽しかったんだ。できれば君のことも図々しいのは承知だが愛称などで呼ばせていただけると嬉しい。」
メレナーデ嬢の顔を見ながら言うことができず手で目を押さえながらそう伝えると、くすりと笑い声が聞こえた。
「私も手紙のやり取りをさせていただけないかとお話ししようと思っておりました。是非ともよろしくお願いいたします。私のことはメレナとお呼びくださいませ。少し家族と呼び方は違いますが、ジン様にはそのように呼んでいただきたく思っておりました。」
「あぁ、これからはメレナと呼ばせてもらおう。手紙のやり取り楽しみにしている。」
二人で色々話をしているとあっという間に帰る時間となった。
告白はできなかったものの、次の約束ができたことに少しだけ安堵しつつ、俺は馬に乗り辺境伯領を目指す。手紙を書くときはメレナにもらった万年筆を使って書こうと心に決めた。
辺境伯領につくと執事が迎え入れてくれる。
「おかえりなさいませ。旦那様。」
「あぁ、変わりはなかったか?」
そう聞くと、執事は少し渋い顔をしていた。
「辺境伯領は今まで通り特に問題はございませんでした。ただ、バイヤー侯爵領が少々大変なことになっているようです。」
俺はエドからの手紙を受け取った。
読んでいくと、メレナがいないことで領地全体を近衛兵たちが探し回っていること。その件を踏まえてエド、バイヤー夫妻が国王から呼び出されたりしていることなどが書かれていた。
今のところ呼びだされているだけで尋問などを受けているわけではないらしいが。
「思った以上に厄介なことになりそうだな。」
なるべく早く動かなければならないと思い、急いでエドに返事をおくった。まずは明日、こちらを出てバイヤー侯爵家に向かうことが先決だ。
侯爵家までは3日か。できれば馬で行って2日でたどり着きたいところだが...
そううまくはいかないだろうなと思うとため息が出た。
今日の朝ここを出れば馬でなら本日の夜には辺境伯領に戻れる手はずとなっている。戻ったらすぐバイヤー侯爵家に行けるよう手紙も送ってもらった。
一番の難関であるギムレット公爵には昨日メレナーデ嬢と一緒になりたいことを伝え、許可をもらえたためこれからのことを踏まえて少しずつメレナーデ嬢と距離を縮めていきたいと思っていた。
「ジン様は本日ここを発たれるのですね。短い間でしたが大変お世話になりました。」
メレナーデ嬢はここまでの感謝を伝えくれた。ここで伝えなければいつメレナーデ嬢に気持ちを伝えられるかわからない。カルーア国に戻ったらおそらくいろいろなことが動き出すだろう。内戦が起きるという可能性はほとんどないだろうが、今のまま行くと国王が変わる可能性もある。そのためにも先に言葉を伝えておく必要がある。
そう、わかってはいるものの柄にもなく緊張しすぎて次の言葉が出てこない。俺が何も話さないことをメレナーデ嬢も不思議に思っているようだった。
「メレナーデ嬢。君に伝えておきたいことがあるんだ。その...なんだ...」
メレナーデ嬢は首をかしげて不思議そうにこちらを見ている。
「俺と手紙のやり取りをこれからしてくれないか?君と話すのはとても楽しかったんだ。できれば君のことも図々しいのは承知だが愛称などで呼ばせていただけると嬉しい。」
メレナーデ嬢の顔を見ながら言うことができず手で目を押さえながらそう伝えると、くすりと笑い声が聞こえた。
「私も手紙のやり取りをさせていただけないかとお話ししようと思っておりました。是非ともよろしくお願いいたします。私のことはメレナとお呼びくださいませ。少し家族と呼び方は違いますが、ジン様にはそのように呼んでいただきたく思っておりました。」
「あぁ、これからはメレナと呼ばせてもらおう。手紙のやり取り楽しみにしている。」
二人で色々話をしているとあっという間に帰る時間となった。
告白はできなかったものの、次の約束ができたことに少しだけ安堵しつつ、俺は馬に乗り辺境伯領を目指す。手紙を書くときはメレナにもらった万年筆を使って書こうと心に決めた。
辺境伯領につくと執事が迎え入れてくれる。
「おかえりなさいませ。旦那様。」
「あぁ、変わりはなかったか?」
そう聞くと、執事は少し渋い顔をしていた。
「辺境伯領は今まで通り特に問題はございませんでした。ただ、バイヤー侯爵領が少々大変なことになっているようです。」
俺はエドからの手紙を受け取った。
読んでいくと、メレナがいないことで領地全体を近衛兵たちが探し回っていること。その件を踏まえてエド、バイヤー夫妻が国王から呼び出されたりしていることなどが書かれていた。
今のところ呼びだされているだけで尋問などを受けているわけではないらしいが。
「思った以上に厄介なことになりそうだな。」
なるべく早く動かなければならないと思い、急いでエドに返事をおくった。まずは明日、こちらを出てバイヤー侯爵家に向かうことが先決だ。
侯爵家までは3日か。できれば馬で行って2日でたどり着きたいところだが...
そううまくはいかないだろうなと思うとため息が出た。
889
あなたにおすすめの小説
【完結】王妃はもうここにいられません
なか
恋愛
「受け入れろ、ラツィア。側妃となって僕をこれからも支えてくれればいいだろう?」
長年王妃として支え続け、貴方の立場を守ってきた。
だけど国王であり、私の伴侶であるクドスは、私ではない女性を王妃とする。
私––ラツィアは、貴方を心から愛していた。
だからずっと、支えてきたのだ。
貴方に被せられた汚名も、寝る間も惜しんで捧げてきた苦労も全て無視をして……
もう振り向いてくれない貴方のため、人生を捧げていたのに。
「君は王妃に相応しくはない」と一蹴して、貴方は私を捨てる。
胸を穿つ悲しみ、耐え切れぬ悔しさ。
周囲の貴族は私を嘲笑している中で……私は思い出す。
自らの前世と、感覚を。
「うそでしょ…………」
取り戻した感覚が、全力でクドスを拒否する。
ある強烈な苦痛が……前世の感覚によって感じるのだ。
「むしろ、廃妃にしてください!」
長年の愛さえ潰えて、耐え切れず、そう言ってしまう程に…………
◇◇◇
強く、前世の知識を活かして成り上がっていく女性の物語です。
ぜひ読んでくださると嬉しいです!
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】キズモノになった私と婚約破棄ですか?別に構いませんがあなたが大丈夫ですか?
なか
恋愛
「キズモノのお前とは婚約破棄する」
顔にできた顔の傷も治らぬうちに第二王子のアルベルト様にそう宣告される
大きな傷跡は残るだろう
キズモノのとなった私はもう要らないようだ
そして彼が持ち出した条件は婚約破棄しても身体を寄越せと下卑た笑いで告げるのだ
そんな彼を殴りつけたのはとある人物だった
このキズの謎を知ったとき
アルベルト王子は永遠に後悔する事となる
永遠の後悔と
永遠の愛が生まれた日の物語
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
転生したけど平民でした!もふもふ達と楽しく暮らす予定です。
まゆら
ファンタジー
回収が出来ていないフラグがある中、一応完結しているというツッコミどころ満載な初めて書いたファンタジー小説です。
温かい気持ちでお読み頂けたら幸い至極であります。
異世界に転生したのはいいけど悪役令嬢とかヒロインとかになれなかった私。平民でチートもないらしい‥どうやったら楽しく異世界で暮らせますか?
魔力があるかはわかりませんが何故か神様から守護獣が遣わされたようです。
平民なんですがもしかして私って聖女候補?
脳筋美女と愛猫が繰り広げる行きあたりばったりファンタジー!なのか?
常に何処かで大食いバトルが開催中!
登場人物ほぼ甘党!
ファンタジー要素薄め!?かもしれない?
母ミレディアが実は隣国出身の聖女だとわかったので、私も聖女にならないか?とお誘いがくるとか、こないとか‥
◇◇◇◇
現在、ジュビア王国とアーライ神国のお話を見やすくなるよう改稿しております。
しばらくは、桜庵のお話が中心となりますが影の薄いヒロインを忘れないで下さい!
転生もふもふのスピンオフ!
アーライ神国のお話は、国外に追放された聖女は隣国で…
母ミレディアの娘時代のお話は、婚約破棄され国外追放になった姫は最強冒険者になり転生者の嫁になり溺愛される
こちらもよろしくお願いします。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
忘れられた幼な妻は泣くことを止めました
帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。
そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。
もちろん返済する目処もない。
「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」
フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。
嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。
「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」
そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。
厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。
それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。
「お幸せですか?」
アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。
世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。
古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。
ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。
※小説家になろう様にも投稿させていただいております。
婚約破棄で異世界転生を100倍楽しむ方法 ‐漫画喫茶は教育機関ではありません‐
ふわふわ
恋愛
王太子エランから、
「君は優秀すぎて可愛げがない」
――そう告げられ、あっさり婚約破棄された公爵令嬢アルフェッタ。
だが彼女は動揺しなかった。
なぜなら、その瞬間に前世の記憶を取り戻したからだ。
(これが噂の異世界転生・婚約破棄イベント……!)
(体験できる人は少ないんだし、全力で楽しんだほうが得ですわよね?)
復讐? ざまぁ?
そんなテンプレは後回し。
自由になったアルフェッタが始めたのは、
公爵邸ライフを百倍楽しむこと――
そして、なぜか異世界マンガ喫茶。
文字が読めなくても楽しめる本。
売らない、複製しない、教えない。
料金は「気兼ねなく使ってもらうため」だけ。
それは教育でも改革でもなく、
ただの趣味の延長だったはずなのに――
気づけば、世界の空気が少しずつ変わっていく。
ざまぁを忘れた公爵令嬢が、
幸運も不幸もひっくるめて味わい尽くす、
“楽しむこと”がすべての異世界転生スローライフ譚。
※漫画喫茶は教育機関ではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる