恋愛小説に踊らされている婚約者様へ。悪役令嬢になりますので早めの婚約破棄を所望します

ゆずこしょう

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卒業パーティ

訪れた2人

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デザインができてから私は刺繍に取り掛かった。
今回のドレスの色は薄めの水色だ。オレンジや黄色に水色はどうかと思ったが、レオナルド様が青系がいいと言うので仕方なく水色になった。


ドレスの裾の部分にはオレンジ、黄色、ピンクのキンセンカの花畑にした。お花の色を少し薄めにしたのでその分モルファ蝶の青がよく映えるだろう。
そこから飛び立つモルファ蝶はとても綺麗だと思う。


刺繍何も考えずに没頭できるし、今からどんな仕上がりになるのか楽しみでならない。


学院に持っていくのは卒業パーティーの前日だろうか。


皆がどのようなものを作ってくるのかとても楽しみだったりする。


「あいたっ。やはり刺繍は難しいな…」

そしてここ数日、不思議なことに何故かレオ様が邸に来ていた。

レオナルド様と呼んでいるともっと親しく読んで欲しいと言われたので、最近は「レオ様」と呼ぶようにしている。


「あの、ご自宅でやっても良いのですよ?」


「いや、折角ペアになったんだ。それにもっと君のことや君の家族のことを知りたい。だめ…だろうか?」

初めは留学してきていることもあり寮で作業をするのが大変という話だったのだが…最近はずっと入り浸っている。

お母様やお父様達も普通に受け入れているし、部屋まで用意されている状態だ。


私、一応アドルフという婚約者がいるのだけど…大丈夫だろうか…?


「その…ダメでは無いのですが…。一応婚約者がおりますので…」


「あぁ、そうだったな。アドルフか…まぁ、あいつはバカだし気づかないだろう。それに…」


確かにバカだけど、そんなハッキリ言うなんて。その後も何を考えているのかずっとブツブツ言っていたけど…もしかしたら聞いてはいけないことかもと思った私はそのまま聞かない振りをした。



そして刺繍を始めて1ヶ月…これまでエミーリエと出会ってから1度も来なかったアドルフがエミーリエを連れて家を訪れたのである。




「おい!ヴェロニカ。お前またエミーリエを虐めたらしいな!エミーリエが作っていた刺繍を盗んだと聞いたぞ。そんなに邪魔ばかりして何が楽しいんだ!」


「えっと…?」


家に着て早々、私がエミーリエのドレスを盗んだことになっている。

盗むも何も、エミーリエがどんなものを作るか聞いたこともないんだけど…どういうことだろうか。


「そんな惚けたって無駄だぞ!僕は全部知っているんだからな。そのドレスが盗んだやつだろう!さっさと返せ。」


私が作っていたドレスとレオ様が血まみれになりながら頑張って作ったスーツを持っていこうとする2人。あまりの横暴さに、私も等々堪忍袋の緒が切れた。


「はぁ。いい加減にしてくださいませ。そもそも刺繍を始めてからあなた達に会ってもいないのにどうやって盗むと言うんです?それに、盗む労力を考えれば刺繍をしている方がよっぽど利口です。本当にあなた達バカですね。自分たちができないからって人のせいにしないでくださいませ。」


ハンナに2人を外に連れていくように指示を出すと軽々と持ち上げて外に出ていった。


「この盗人め!いい加減にしろ!」
という声が聞こえたけどいつもの如く知らないフリをする。



そしてその日の夜、まさかのドレスとスーツが盗まれたのである…。






⟡.·*.··············································⟡.·*.


レオナルド視点。


ヴェロニカとデザインについて話し合いをするために待ち合わせをしていたが、初めは誰か気づかなかった。それだけ貴族院にいる時のヴェロニカとは違ったのだ。

ツリ気味の目に、真っ赤な口紅をつけていて、気の強そうな女性という印象が強かったが…その雰囲気とは真逆な姿に自然と心が吸い込まれた。


髪は同じ色だがストレートに整えられており、青いリボンがとても似合っている。さらに、大きな二重にタレ目、涙ボクロがとても色っぽく印象的だ。


少し見惚れてしまっていると、不思議そうにこちらを覗き込んでくるヴェロニカ。

その姿もまた可愛い。このヴェロニカをジーグにもあまり見せたくないと思った私は、急いでこの場を離れた。


そして、カフェに着くとデザインについて話を進めてくヴェロニカをみて、思っていた以上に芯がしっかりしている女性なのだということがわかった。


それに、刺繍もオレンハウアー国の国花を入れようと考えてくれていて周りをよく見ているんだということがわかった。


「ジーグ…私は、ヴェロニカと話して1ヶ月くらいしか経っていないが、どうやら好きになってしまったようだ…。」


「それは噴水で待ち合わせした時に気づいていたぞ。それで?一応アドルフという婚約者がいるはずだが…」


もしヴェロニカとこれから一緒にいるとなるとアドルフが邪魔になってくる。勿論エミーリエもだ…。


「まぁ、その辺はヴェロニカの姉、イザベラ嬢が色々動いていると思うがな…」


「確かにそうだな。素直な気持ちをあの一家に伝えて、懐から攻めていくことにするさ。」


ロンベルク家を1度訪ねてから、刺繍を一緒に行うことを名目に少しづつ距離を縮めできたが…


まさかこのタイミングでドレスとスーツを盗まれるとは思ってもみなかった…



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