え?私、悪役令嬢だったんですか?まったく知りませんでした。

ゆずこしょう

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あの方

え?私が噂のネタだったんですか?

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急な爆弾発言を聞いてまさか噂のあの方が自分だったことに吃驚しながら今までのことを思い出してみる。
確かに、毎回聞く”あの方”の行いには必ずと言っていいほど”ドロシー”という人の名前が出てきた。確か先ほど外でトーマス様が読んでいた人も”ドロシー”という少女だ。そもそもドロシーという人が一体誰なのか私は分かっていない。でもデートなどに誘ったときに「幼馴染が体調悪い」「幼馴染が呼んでいる」など毎回幼馴染という単語が出てきていた。ということは、この幼馴染が”ドロシー”という少女なのだろう。

「え?ということは、私が今までの噂のネタだったということ!?」

図書室ということを忘れて思わず大きな声が出てしまった。周りからは「静かにしてください」という言葉が聞こえて恥ずかしくなる。
ずっと”あの方”は暇な方だなと思っていた。私って暇だったのね...と少し現実逃避してしまう。
でも全くドロシーという少女を知らないし、顔すらわからない。それなのにどうやっていじめたりできるのかが不思議だ。そもそもトーマス様と一緒にいるのがドロシーだと知ったのもついさっきだ。

「もしかして、私いつの間にか幽体離脱とかしていてドロシー様に悪さをしていたのかしら...」

「お嬢様。落ち着いてください。私がいつもお傍にいましたが、お嬢様はいたって普通でしたよ。」バーディーが落ち着かせようと紅茶を出してくれる。

「そ、そうよね。そしたら私に成りすました誰かが行ったのかもしれないわね。」何が何だかわからず私は現実逃避する。
「明日ミーナにも話を聞いてみましょう。」
このままいても頭に本の内容が入ってこなそうだったので、明日ミーナに話を聞いてみることにして今日は帰ってゆっくり休むことにした。

⟡.·*.··············································⟡.·*.

次の日貴族院につくとまた、”あの方”の話が入ってくる。昨日は教科書を破いて捨てたらしい。そしてまた足をかけて転ばされたそうだ。危なく階段から落ちそうになったとも聞こえてきた。これらがすべて私がやったことになっているのだから笑えてくる。

教室につくとミーナに声をかける。
「ミーナ。おはよう。実はミーナに聞きたいことがあって...」
「シア。おはよう。どうしたのかしら?私でわかることであれば聞いてちょうだい。」
ミーナに直接”あの方”は私のことなのか。私いつの間にかいじめをしていたのか聞いてみる。

「あぁ、聞いてしまったのね。確かに”あの方”とはシアのことよ。でも噂話のつじつまが合わないのよ。恐らくこのクラスの人はみんな分かっていると思うわ。そもそもシアはいじめなんかする人じゃないし、そんなことしているくらいなら本を読んでいたいと思うでしょ?だからこのクラスではその噂は一切聞かないはずよ。話しているのは他のクラスの方や、学年の違う人たちね。」
確かにクラスのみんなは友好的だったし、クラスに入るとぱたりとうわさが無くなっていた。それはみんなが噂を信じなかったからだったのね。

「このクラスの人たちは本当にいい人たちばかりね。」私は少し気持ちが楽になった。
「ありがとう」と伝えると、皆「気にしないでね!」と返してくれた。

それにしてもこの噂話。どうやったらなくなるか考えるのが大変そうだ。このままいくと学院にも着づらくなってしまうし、下手したらお父様、お母様の耳に入る可能性も高い。
「まずはドロシーという人と、トーマス様の関係から調べていきますか。」そう心に決めて動き出した。
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