4 / 65
〈4〉見届け人の少女2
しおりを挟む
「は? え? えええええええええええ????????」
魔の森にこんな優雅な空間なんてなかったはず。
それもこんな浅い場所になんて、ないはず。
そんな思いが、叫び声となって飛び出していく。
有り得ない!
こんなの、有り得ない!!
「大きな声ねー。どうしたのかしら?」
「どうしたのかしら、じゃないですよ! 何ですかこれ!!」
1歩、2歩と近付いて、柵の2段目をバシバシ叩く。
早起きをして整えた髪が乱れるけど、気にはしない。
「なに、って。柵よ?」
「知ってますよ、そのくらい!!」
ぐわっ、と目を開いた少女が、より強く、バシバシ叩く。
意味がわからないけど、どれから聞こうか。
「何でこの辺、木がないんですか!」
まずそれが有り得ない!
「え? なんでって、邪魔だから切ったわよ? ダメだったかしら?」
法律違反、ではないわよね?
なんて言葉が聞こえるけど、そんなことはどうでも良い。
「切った!? ここの木を!???」
もっと有り得ない!!
魔物を生み出す森の木は真っ黒で、誰も切れない。
ノコギリも剣も、魔法だって弾き返す。
だからここは、罪人を処分する以外に価値がないと、放置されていた。
「大黒柱に良さそうな大木もあるのだけど、欲しいならあげるわよ?」
そんな一般常識をあざ笑うかのようにメアリが指差した場所には、巨大な木々が横たわっている。
その中には、樹齢が千年を越えそうな大物まであるように見える。
「わっ、ほんとに大きな木」
ゆっくりと近付いた少女が、木の表面をコンコン叩いてみる。
返ってくるのは、引き締まった弾力と、詰まりの良い音。
「すごいですね。これなら立派な家が建てれまーー、じゃなくて!!」
思わぬ物的証拠に流されそうになった少女が、もう一度柵の2段目をバシバシ叩く。
そして不意に手を止めた。
「あっ……、よく見るとこれも魔の森の木……」
黒い幹は魔の証。
所々に黒い表皮が残る柵から手を離した少女が、半身に成りながら、ビシッ! と人差し指を突き立てる。
「切り株はどこやったんですかー、とか色々ありますが、ズバリ聞きます! なんで生きてるんですか!!!!」
それが最大の疑問。
一般常識の1番外側。
それなのに、ゆったりとした椅子に平然と座り直したメアリは、何故かキョトンと首を傾げていた。
「え? 生きてたらおかしいの?」
「おかしいです! すっごくおかしいです!! 普通、死ぬでしょ! 魔の森ですよ!!」
フンス、と鼻息荒らく言葉を飛ばすも、メアリにはどこ吹く風。
んーー? などと可愛らしく顎に人差し指を当てながら、
「私、死んだ方が良かったかしら?」
なんて言葉を口にした。
その視線はただ真っ直ぐに、少女の姿をとらえている。
少女の肩がピクンと震えて、視線がゆっくり落ちていく。
「そっ、それは……」
目の前にいる女性は、死んでいた方が良かったのか。
「……ぃ、ぃぇ。死ぬと悲しいです。良く、ないです」
それが少女の正直な気持ちだった。
確かに死んでなきゃおかしい。でも、死んでたら悲しい。
「でもでも!!」
うう~~……、なんて声を漏らすも、次の言葉が見付からない。
答えのでない何かが、グルグルと頭の中を巡っていく。
ーーそんな矢先、
「柵を飛び越えなさい! 早く!!」
「へ?」
優雅に微笑んでいたメアリが、なぜか焦りを滲ませながら立ち上がっていた。
ふと感じたのは、身に迫る殺気。
「りゅ、竜……」
振り向いた先に、喰い殺そうと迫る暗殺者の姿が見えいた。
魔の森にこんな優雅な空間なんてなかったはず。
それもこんな浅い場所になんて、ないはず。
そんな思いが、叫び声となって飛び出していく。
有り得ない!
こんなの、有り得ない!!
「大きな声ねー。どうしたのかしら?」
「どうしたのかしら、じゃないですよ! 何ですかこれ!!」
1歩、2歩と近付いて、柵の2段目をバシバシ叩く。
早起きをして整えた髪が乱れるけど、気にはしない。
「なに、って。柵よ?」
「知ってますよ、そのくらい!!」
ぐわっ、と目を開いた少女が、より強く、バシバシ叩く。
意味がわからないけど、どれから聞こうか。
「何でこの辺、木がないんですか!」
まずそれが有り得ない!
「え? なんでって、邪魔だから切ったわよ? ダメだったかしら?」
法律違反、ではないわよね?
なんて言葉が聞こえるけど、そんなことはどうでも良い。
「切った!? ここの木を!???」
もっと有り得ない!!
魔物を生み出す森の木は真っ黒で、誰も切れない。
ノコギリも剣も、魔法だって弾き返す。
だからここは、罪人を処分する以外に価値がないと、放置されていた。
「大黒柱に良さそうな大木もあるのだけど、欲しいならあげるわよ?」
そんな一般常識をあざ笑うかのようにメアリが指差した場所には、巨大な木々が横たわっている。
その中には、樹齢が千年を越えそうな大物まであるように見える。
「わっ、ほんとに大きな木」
ゆっくりと近付いた少女が、木の表面をコンコン叩いてみる。
返ってくるのは、引き締まった弾力と、詰まりの良い音。
「すごいですね。これなら立派な家が建てれまーー、じゃなくて!!」
思わぬ物的証拠に流されそうになった少女が、もう一度柵の2段目をバシバシ叩く。
そして不意に手を止めた。
「あっ……、よく見るとこれも魔の森の木……」
黒い幹は魔の証。
所々に黒い表皮が残る柵から手を離した少女が、半身に成りながら、ビシッ! と人差し指を突き立てる。
「切り株はどこやったんですかー、とか色々ありますが、ズバリ聞きます! なんで生きてるんですか!!!!」
それが最大の疑問。
一般常識の1番外側。
それなのに、ゆったりとした椅子に平然と座り直したメアリは、何故かキョトンと首を傾げていた。
「え? 生きてたらおかしいの?」
「おかしいです! すっごくおかしいです!! 普通、死ぬでしょ! 魔の森ですよ!!」
フンス、と鼻息荒らく言葉を飛ばすも、メアリにはどこ吹く風。
んーー? などと可愛らしく顎に人差し指を当てながら、
「私、死んだ方が良かったかしら?」
なんて言葉を口にした。
その視線はただ真っ直ぐに、少女の姿をとらえている。
少女の肩がピクンと震えて、視線がゆっくり落ちていく。
「そっ、それは……」
目の前にいる女性は、死んでいた方が良かったのか。
「……ぃ、ぃぇ。死ぬと悲しいです。良く、ないです」
それが少女の正直な気持ちだった。
確かに死んでなきゃおかしい。でも、死んでたら悲しい。
「でもでも!!」
うう~~……、なんて声を漏らすも、次の言葉が見付からない。
答えのでない何かが、グルグルと頭の中を巡っていく。
ーーそんな矢先、
「柵を飛び越えなさい! 早く!!」
「へ?」
優雅に微笑んでいたメアリが、なぜか焦りを滲ませながら立ち上がっていた。
ふと感じたのは、身に迫る殺気。
「りゅ、竜……」
振り向いた先に、喰い殺そうと迫る暗殺者の姿が見えいた。
41
あなたにおすすめの小説
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~
白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」
枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。
土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。
「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」
あなた誰!?
やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!
虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました
Karamimi
恋愛
2年前に両親を亡くしたスカーレットは、1年前幼馴染で3つ年上のデビッドと結婚した。両親が亡くなった時もずっと寄り添ってくれていたデビッドの為に、毎日家事や仕事をこなすスカーレット。
そんな中迎えた結婚1年記念の日。この日はデビッドの為に、沢山のご馳走を作って待っていた。そしていつもの様に帰ってくるデビッド。でもデビッドの隣には、美しい女性の姿が。
「俺は彼女の事を心から愛している。悪いがスカーレット、どうか俺と離縁して欲しい。そして今すぐ、この家から出て行ってくれるか?」
そうスカーレットに言い放ったのだ。何とか考え直して欲しいと訴えたが、全く聞く耳を持たないデビッド。それどころか、スカーレットに数々の暴言を吐き、ついにはスカーレットの荷物と共に、彼女を追い出してしまった。
荷物を持ち、泣きながら街を歩くスカーレットに声をかけて来たのは、この街の騎士団長だ。一旦騎士団長の家に保護してもらったスカーレットは、さっき起こった出来事を騎士団長に話した。
「なんてひどい男だ!とにかく落ち着くまで、ここにいるといい」
行く当てもないスカーレットは結局騎士団長の家にお世話になる事に
※他サイトにも投稿しています
よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる