皆さんは呪われました

禰津エソラ

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4 呪いの起源

呪いと真実

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「関係ねぇよ」

 長野はヤケになりキスをしようと強引に真理の体を引き寄せようとした。

「嫌っ」

 拒むように必死で暴れる真理だったが、小柄な真理が長野に敵うはずもなく、長野に抱きしめられるような体勢になった。

 その時、ガチャン、という音とともに用具庫の中の空気が一変した。

「なっ、何、今の音」

 真理は用具庫の空気が一気に変わったことを、敏感に感じ取り、それは恐怖に繋がっていった。

「あん、何でもないだろ。そんなことよりキスぐらい、いいだろう」

「いや、やめて」

 長野の体を思い切り両手で押して、キスを躱したが勢いよく押した反動で真理は後方にバランスを崩した。

 ザンッ、真理が倒れ込んだまさにその位置に横倒しに並べてある雪かき用の幾つものスコップ。不運にも倒れ込んだ真理の喉元にスコップの側面があたり、衣服に覆われておらず、細く脆い真理の首はいとも簡単にその半分を切り開かれた。それと同時に吹き出す鮮血。

 長野は見ていることしかできなかった。目の前で起きた惨劇に思考が追いついていなかった。

 しかし、そんな長野にも異変が起きていた。足元から真っ黒い髪の毛が長野の足を巻き上げ始めていたのだ。

「うわっ、なんだ、これ」

 長野が自分に起こっている異変を理解した時、髪の毛はすでに長野の腰の位置まで巻き上げていた。逃げようにも両足は巻き上げられているため動かせない。助けを呼ぼうにも、目の前には吹き出す血液も残っていない血塗れの真理しかいない状況。

「ぐべぁ」

 勢いを落とさない髪の毛は、長野の口、耳、鼻、目などあらゆるところから体の中に入り込んでいく。声を上げることもできずに、激痛と何が起きているのかわからないという恐怖に支配されていく長野。体内に入った髪の毛は、気道、食道、血管、あらゆる経路を通り、長野の体内を埋め尽くす。わずかに残った思考を駆使して思ったのは、これは呪いなのか……ということだった。





「なんかさ、2人が用具庫に入ってから結構経ってない」


クラウさんが心配そうに用具庫に目を向けた。確かに2人が入ってからすでに15分は経過している。大丈夫かな、真理さん。


「僕ちょっと様子を見てくるよ」


江藤君がそう言い、用具庫のドアを開けに行った。


ガチャッ


「あれ?おかしいな。鍵が掛かっているよ」


「ちょっとヤバイんじゃない。先生呼んできた方がいいよね」


クラウさんがそう言って、職員室に向けて走っていった。やがてマスターキーで用具庫を開けた教員が中を確認するや否や、救急車を呼んだ。


その後、職員室に呼ばれた僕たちオカルト研究会のメンバーは2人の死亡を聞かされた。2人とも目を見開いて、悔やみの残りそうな表情で亡くなっていたらしい。
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