侯爵様に婚約破棄されたのですが、どうやら私と王太子が幼馴染だったことは知らなかったようですね?

ルイス

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36話 議会 その2

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 私とダンテ兄さまは議会に出廷した。といよりも、既に議会自体は始まっていた。私達の国の議会は、途中からの出廷もあり形式がその時に応じて変動する仕組みを採用しているらしい。私も詳しいことは分からないけれど。


 私とダンテ兄さまは近くの椅子に腰を掛けたが、現在、尋問を受けているのはエドモンド様だ。ビクティム侯爵の姿もあり、拘束された状態で端の方に待機していた。


「エドモンド・デューイ公爵、なにか言いたいことはございますかな?」

「ふむ……そうですな」


 議長を務めているのは、同じ公爵の立場である、アンリグ・ヴァトマ様ね。年齢はエドモンド様と同じくらいだけど、今は尋問する側とされる側という決定的な立場の違いがあった。ちなみに、フューリの姿もあるけど私達を一瞥しただけで、なにか動作を起こすことはなかった。


「ビクティム・クラウスの件については、非常に悲しい出来事でした。彼が起こした事件は紛れもない事実。それは、そちらに居らっしゃる王子殿下など、複数の証人がおりますゆえ」

「その通りだ。それがおっしゃりたいことですか?」

「いえいえ、これはあくまでも前置きに過ぎません」


 なんだかおかしな空気になっているような……エドモンド様はまるで、舞台の中央ステージに居る主人公のように大袈裟に身振り手振りをして見せている。そのせいで、議会全体の雰囲気がおかしなものになっている。


「私が申しあげたいことそれは……ビクティムが父親である、アーロンを殴り倒してしまったのは仕方がないという点にあります」

「仕方がない? それは聞き捨てなりませんな、エドモンド殿。議会での発言は後から取り消すことは出来ませんぞ?」

「もちろん、分かっておりますとも」


 議長の言葉に、エドモンド様は全く動じている気配はなかった。私は自然とフューリの方向に目をやる。彼も動じている様子はないけれど、これはフューリの想定の範囲内なのだろうか?

「では……ビクティム・クラウスの暴行事件について、なにか弁解があるというのならお聞きしましょうか」

 議長、アンリグ・ヴァトマ様の言葉は非常に心に突き刺さるものだった。迫力が違うというのか……。エドモンド様はそんなアンリグ様に向かって、怪しく笑いながら答える。


「ビクティムは当時、精神的に非常に追い詰められていました。だからこそ、暴力事件に至ったのです。そんな彼を追い詰めた張本人は……そこに居る、フューリ王太子やレオーネ・ルヴィンス伯爵令嬢たちになりますな」

「……!」


 この議会で名指しで呼ばれた、私とフューリ。不思議な空気を纏った議会の注目は、私達に一気に流れ込むことになった……。


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