貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット

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10話 野外実習の後で

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 最後を歩いていたバートン教官が急いで駆けつけて来て。

「ナナファ―ナ様、大丈夫でしたか? 警護の騎士たちがナナファ―ナ様を守らずに逃げ出してしまい、誠に申し訳ありません。まだ新米の騎士といえ厳しく処分いたします、リュウト、ナナファ―ナ様を助けてくれてありがとう、お陰で助かったよ」

「僕は当然の事をしただけですから」

 ダンライとサヨナァが息を切らして駆けつけて来て。

「リュウト、魔獣に襲われたと聞いたが大丈夫か?」

「ナナファ―ナ、怪我は無かったですか?」

「リュウトが私を守って、B級魔獣で鋼の猪を倒してくれたから無事だったわ。でも、死ぬかと思った」

 バートン教官が・・・・・・。

「それにしても、リュウトは凄いな、B級魔獣で鋼の猪を倒すとは、並みの騎士でも倒せないのに、それも魔法を使わず剣だけで倒すとは、驚いたよ」

 離れた所から様子を見ていたガクトイが、歯ぎしりして。

「クソ―! 鋼の猪を倒すとは、彼奴は何なんだ! 平民の癖に、次こそは絶対に殺してやる」

 バートン教官が思い出したように。
 
「リュウト、疲れている所で済まないがDクラスの班が戻らないので探しに行くが一緒に来てくれないか」

「はい、良いですよ」

 ダンライとサヨナァが。

「僕たちも一緒に探しに行きます」

「そうか、助かる」

 逃げた新米騎士たちも名誉挽回の為に付いて来る事になり、日が暮れ初めた森に入り探していると、血まみれの4人を見つけたが3人は死んでおり。

 1人だけが生きて居り、リュウトが抱き起そうとすると、気が付き口を震わして。

「ガク・・が・・・・魔獣をしょう・・・・」

 切れ切れの言葉を残して亡くなったのだ。

 その亡くなった生徒は、紙切れを握っていたので手から取って見て見ると、紙切れには血で汚れていた。

 見た事のない文字が書かれていたので、後で調べようと思い、ポケットに入れたのだ。

 見習い騎士たちが4人の遺体を運んで学園の基地に帰ると、流石に疲れていたので、テントの中に入り寝袋に潜り込み直ぐに眠りに落ちてしまった。



 朝早く、目を覚まし、皆はまだ寝ていたので静かに寝袋から出てテントの外に出ると、昨日の事が嘘のような綺麗な朝焼けで、見ていると暫くして皆も起きて来た。

 昨晩の残りのスープとパンの簡単な朝食を取りながらナナファ―ナが改めて。

「リュウト、昨日は本当にありがとう。あのままだったら私は死んでいたから、貴方は私の命の恩人だわ」

「それにしても、リュウトは凄いなB級魔獣の鋼の猪を倒すとは」

「火事場の馬鹿力だよ。自分でも信じられないよ」

 食事が終わる頃に全員が集まるように言われて、集まるとバートン教官が。

「昨日は、残念な事にDクラスの4人が予想もしない魔獣に襲われて亡くなり。野外実習は明日迄の予定だったが、打ち切って今から学園に帰るので準備をしてくれ」

 昨晩のうちに騎士二人が、馬を飛ばして王都の騎士団に報告に行き、普通の騎士より強い近衛騎士団がナナファ―ナ王女の護衛に来ている。

準備が終わると、あんな事件の後なのでナナファ―ナは王女なので特別な馬車に乗り近衛騎士団に守られて帰る事になった。

 ダンライとサヨナァは高貴な貴族なので分かるが、何故か平民の僕も同じ馬車に乗せられたのだ。

 馬車の中で死に際に残した生徒の言葉を思い出して何を言いたかったのか考えていると、サヨナァが。

「リュウト、何を考えているの? もしかしてエッチな事?」

「馬鹿な事を言わないでよ! 亡くなったDクラスの生徒の最後の言葉を考えていた」

 リュウトが聞いた切れ切れの言葉を言うと、ナナファ―ナが考え込み。

【ガクはガクトイ、・・・・・・しょうは召喚・・・・・・】

 それを聞いたダンライが。

「あの森に、B級魔獣が出た事が無いのに、そうか! ゾンダイ家は召喚魔法を使えるはずだ。ガクトイがD組の襲われた場所から、あの魔獣から逃げれたのもおかしいし・・・・・・もしかしたなら」

「ダンライもそう思う、でも証拠がないわ」

 証拠と言われてリュウトは、あの紙切れを思い出して、ポケットから取り出し。

「あのさ、此の紙切れは亡くなった生徒が握り締めていた物だが」

 ダンライが紙切れを見て驚いて。

「こ、此れは! 魔法陣に間違いない。破れているし、血で文字が完全に読めないが魔法陣に間違いない」

「魔獣を召喚するには、魔法言葉を唱えるだけでは無く魔法陣が必要だと、家庭教師から聞いたことがあるわ」

 2人の話から、ゾンダイ公爵家の長男のガクトイの仕業だと思ったが、裏付ける証拠が無いので黙っていたのだ。



 王都に付くと、生徒を乗せた馬車は学園に行き、ナナファ―ナ王女とリュウトたちを乗せた馬車は、近衛騎士たちに守られて王城に向かっている。

 王城に着き、馬車から降りて近くで見る王城は、前世のベルサイユ宮殿の様で見惚れていた。

 ダンライに注意されて、王城の中に入ると、ナナファ―ナたち3人と別れて僕だけ侍女に別室に案内されたのだ。

 案内された部屋は、王都を一望出来る豪華な部屋で、案内した侍女が。

「この部屋で暫くお待ち下さい」

 前世は大学の研究生で、此の世界でも貧民街で育ったために、初めての上流階級の豪華な部屋に落ち着かずに、何のために王城に連れて来られたのか分からず不安だったのだ。

暫くすると、中年の眼鏡をかけた貴族が部屋に来て。

「待たせてすまない。わしは、スマライ・ランキン公爵でオスガン王国の宰相をしている者だ。ダンライの父親で息子から君の噂は聞いておる。この度はナナファ―ナ王女様を助けてくれて礼を言う」

「初めてお目にかかります。希望孤児園の園長の息子のリュウトと言います。宜しくお願い致します」

「そんなに堅くならんでも良いから楽にしなさい。野外実習の件で騎士から報告は受けたが、君に直接話を聞きたいので呼んだのだ。詳しく話してくれるか」

「はい、分かりました」

 リュウトは野外実習で起きた事を詳しく話して、推測は話さないでDクラスの生徒の最後の言葉と紙切れはダンライに渡したと話した。

 話し終えると宰相は難しい顔をしていたが、最後に。

「君は、本当に平民か? それにしては話し方がその辺の貴族より綺麗な言葉使いで礼儀正しく教養があるから、わしには、唯の平民とは思えないが」

緊張して前世の言葉で話してしまい。苦しい言い訳をして。

「母上が、言葉使いに厳しいもので・・・・・・」

  宰相は、ニヤリと笑い。

「そういう事にしておこう。ナナファ―ナ王女を助けた礼を陛下が直接言いたいが、今日は外国の使者が来ており、日を改めて褒美を渡すと言っておるので今日は此れで帰りなさい」

 宰相が部屋を出ると、ナナファ―ナとダンライ、サヨナァが来てダンライが。

「リュウト、親父に会って、緊張したか」

「ダンライ、リュウトをからかうのは止めなさいよ」

「宰相がダンライのお父さんとは知らなかったから、驚いて焦ったよ」

 サヨナァがからかい。

「へぇー、リュウトでも緊張するんだ」

「そんな事よりも、帰るには、何処から出れば良いの?」

 ナナファ―ナが含み笑いをして。

「ウッフフ、付いてらっしゃい」

「王女様の直々の案内恐れ多いのですが」

「馬鹿を言わないで、来なさいよ」

ナナファ―ナに付いて行くと王城の玄関に行き、玄関の前には豪華な馬車が待っていた。

 馬車の前には、バートン教官がいて。

「リュウトを送るように宰相から言われた。此の馬車に乗れ」

  バートン教官に馬車に押し込まれて、自宅に戻り、王家の紋の付いた豪華な馬車から降りるとお母さんが目を見開き。

「リュウト、貴方何かあったの?」

「後で、話すから心配する様なことは無いから」

 送ってくれてバートン教官も馬車から降りて。

「リュウト君の母上ですか、始めてお目にかかります、私は王立学園の教官のバートンと申します。リュウト君はナナファ―ナ王女様を助けてくれたのですが、詳しい事はリュウト君からお聞き下さい。夜も遅いので、私は此れで失礼します」

 自宅の中に入り、お母さんに野外実習の出来事を話すと。

「やっぱり! 私の胸騒ぎは当たったのね」

 それから、ナナファ―ナ王女を助けたのに、貴族と仲良くなるな、とか説教をされて何とか母親からの説教を逃れて久しぶりにお風呂に浸かり、その晩は爆睡したのである。
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