地上の楽園 ~この道のつづく先に~

奥野森路

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第四章 それぞれの道

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秋。
うろこ雲をたたえた空が、高く高く澄み渡る秋。
一面の夕焼け色の中、すすきの穂が白く映える秋。
そして、あちこちの田んぼにたくさんの人が出て、忙しく、でもいそいそと収穫作業をする秋。
少年は、そんな収穫作業の人々の中にいました。春に家を出た時よりも、少し大人びたように見えます。
「おーい、ワク、こっちはもういいでよぉ、おめえは、あっちへ行って手伝って来てくれ。」
「よっしゃ、おっちゃん!」
ワクと呼ばれた少年は、目をキラキラさせて、駆け出します。農作業用にあてがわれた、粗い麻の着物がよく似合います。
この農家には、春の終わりから、かれこれ四か月ほど寝泊りしています。もうすっかり家族の一員のような気分でした。

父親の家を出発してすぐに連れのジロウを亡くした彼は、ひとりで旅路を行くうち、ほどなく、ひとつの看板を見つけました。広い広い田んぼ沿いの道端に立てられた、素朴な看板です。
【求ム。農作業ノ手伝人。住込。飯付。スグソコ⇒】
(ふうん、農作業か。やったことはないが、やれないことはないだろう。いっぺん行ってみるか。)
軽い気持ちで、彼はそのお屋敷の門を叩きました。家を出るときに持たされたお金はまだ十分残っていますが、機会があれば働いて、資金を増やしておくに越したことはないだろうと思ったのです。同時に彼は、人の中に混じって何らかの仕事をして報酬を得る、という体験をしてみたかったのです。大人としては、やはりそれは欠かせない要素でしょう。
大きなお屋敷でした。
石ころの転がったあぜ道をかなり歩き、木でできた立派な門の前に立つと、玄関はそこからさらに遥か向こうに見えました。鶏が何羽も歩きまわる広い庭を突っ切り、ようやく玄関前に立って、
「こんにちはー!」
と、大きな声で呼んでみます。
誰も出てきません。
頭上でとんびが、ぴーひょろろと鳴きました。
二回目に呼んでみて、三回目に呼んだその直後に、玄関に人影が現れました。
「なんだー、おめえ?」
ワクと同じくらいの年恰好の少年でした。
「こんにちは! 農作業の手伝いを探していると書いてあったから。看板に。」
すると相手の少年は、ワクをからかうように見て、
「あー? おめえが? 子供じゃねえか。」
「お前だって子供じゃねえか。」
むっとしたワクは、思わず言い返しました。
とんびがまた、ぴーひょろろと鳴きました。
「俺はここんちのものだもの。小さい頃からずっと農作業をやっているんだぞ。」
「お前にできるもんなら、俺にだってできるさ。」
ワクは胸を反らして答えます。
「なんだとぉ!」
そんな同士の言い争いを聞きつけて、奥からが出て来ました。
「何をしてるんだ?」
頭に手ぬぐいをかぶった小父さんでした。
「あ、父ちゃん。こいつが、農作業の手伝いをやりたいんだと。」
「ほう、そうか。…うーん、まだ子供のようだが、家はどこだ?」
「家はねえ。それと、俺はもう子供じゃねえ。」
「ほう、そうか。それは失礼した。それで、家がねえ、とは?」
「この春に、父ちゃんの家から旅に出たんだ。」
「ほう、そうか。なるほどな。流行りの旅立ちというやつか。で、農作業の経験はあるのか?」
「ねえ。」
「ほ、ほう、そうか。」
「ねえけど、できると思う。」
「ほう、そうか…。」
「父ちゃん、さっきから『ほうそうか』ばっかりだよ。」
と、息子が横から口を出しました。
「だって、珍しい子供だもの。」
「だから、俺、子供じゃねえよ。」
「それだけど、おめえ、いくつだ?」
「十七。」
「ほうらみろ。うちのこいつと同い年だ。そういうのを世間では子供というんだぞ。」
「…分かった。じゃ、俺、子供だけど働く。働かせてください。」
小父さんは笑い出しました。こんなにぐいぐいと勢いよく押してくる少年は初めてだ、と思いました。少なくとも、この近辺にはいない玉だな。面白そうだ。いちど使ってみるか。
「ようし、分かった。いっぺんやってみろ。」
「ほんと? ありがとう、おっちゃん!」
キラキラしたワク少年の目を見て、こいつは意外とやりよるかもしれんな、と小父さんは思いました。
そんなやりとりがあって、ワク少年はこの農家で働き始めたのでした。
「おめえ、秋の刈り入れまではおってもええぞ。それまでは何かしら仕事があるからの。まあ、途中で嫌になったら辞めてもええがな。農業はそんなにあめえ仕事じゃねえからな。」
「うん! 大丈夫さ!」
「他人の家に来たら、うん、じゃねえ。はい、と言え。それが大人っちゅうもんだ。」
「は、はい。」
小父さんは、優しく目尻を下げて笑いました。

最初に会った同い年の少年は、サブロウといいました。広い母屋と離れに、サブロウの両親と小さな双子の妹たち、三人の雇い人、そして数匹ずつの犬と猫が住んでいました。
ワクは、先輩の雇い人たちと同じ離れに、小さな一部屋をあてがわれました。サブロウは豪農の跡取り息子。ワクはそこの雇い人です。本来ならば、対等に接したり、仲良くなったりする立場ではないのかもしれません。が、ワクはそんなことには無頓着です。サブロウのことを「サブ」と呼び、兄弟のような気持ちで接しました。サブロウの両親もそのことを咎めず――いえ、むしろ好ましいと感じている様子でした。本来ならば定期的な休日などない農業の仕事において、サブロウとワクだけは特別扱いで、週一日の休みを与えてくれていました。それは、二人がまだ一人前の大人に満たない年齢だったためですが、同時に、ワクとの交流が、息子に良い影響を与えると考えたのでしょう。
そもそもワクは、農家の仕事なんて何も知りません。彼の生まれ育った家は農家ではありませんでしたから。それでもあっさりとワクを雇った小父さんの意図、それはやはり、半分はサブロウのため、ということだったのでしょう。
ただ、ワクは教えられたことは興味津々ですぐに身に着けるし、何より、力仕事ならば誰にも負けません。何にでも、ワクワクした顔で楽しそうに取り組む彼の性格を評して、周りの皆は、
「なるほど、ワクとは良く言ったもんだ。」
などと言いました。
ですから、小父さんからすれば、サブロウの友達としてだけではなく、農作業においてもそこそこの働きをするワクは、思いがけなく良いだったのです。
春は田植え、夏は稲やその他の作物の世話、と、次々に新しいことを習い覚えながら労働するうちに、ワクはすっかり一家に溶け込みました。
一方で、週一回はサブロウと一緒に遊びに出かけ、終日、自然の中で過ごしました。
サブロウの家の裏手を少し行ったところに、小山があります。その山もサブロウの家の土地なのですが、そこも二人がよく訪れる場所でした。
ある休日、二人がいつものように、何か楽しいことはないかとその山道を分け入って行くと、前方に、一匹のイノシシの子供を見つけました。
「ウリ坊だ!」
何やら地面を嗅いでいます。ワクたちには気づいていない様子です。
「しっ! そーっとな。」
ワクは戯れに近づこうとします。
「や、やめておけ。母親が来たら大変だぞ! 俺たち、ぶっとばされちまう。」
「大丈夫!」
そーっと近づいたつもりが、ワクの足が小枝を踏んだ音で、ウリ坊が二人に気付きました。駆け出して逃げて行きます。
「待てーい!」
ワクも駆け出します。
次の瞬間。
ウリ坊は目の前の泥沼の中にいました。勢い余って飛び込んでしまったのです。そのままズブズブ、ゆっくりとですが沈み込んでいきます。
ブヒーッ!
「ああっ!」
ワクは焦りました。なんとかしなきゃ。
「お、おい、どうしよう。も、もう帰ろうぜ。」
「え! でも、このままだとあいつ沈んじまうよ。」
「きっと母親が助けに来るさ。それか、猟師のおっさんが見つけて助けてくれるかも知んねえから。い、いや、自分で這い出るさ。」
サブロウはパニックになって、単に希望を述べているに過ぎない状態です。
「そんなの分からねえよ。俺が助ける! お前、この木の枝をしっかり掴め。それで、こっちの手で俺の手をしっかり握ってくれ。すぐ近くだ。たぶん届く。」
「ええ? 何する気だ? ここは底なし沼だぞ!」
「だから助けるんじゃねえか! 早くしろよ、間に合わなくなる。」
サブロウは観念して、おっかなびっくり、木の枝とワクの手を握りました。ワクは左手でサブロウの手をぎゅっと握り、自ら沼へ入っていきました。足で泥を掻いて沈まぬようにしながら、右手をウリ坊へ伸ばします。意外と体力を使い、息苦しくなります。ぎりぎりでウリ坊を捕まえ、右脇に抱えて、
「ひっぱれ、サブ!」
「お、おう!」
サブロウは思い切りワクを引っ張ります。
少しずつ岸に近づき、ワクはウリ坊を抱えたまま、何とか岸に上がれました。ウリ坊は不思議なことに、その間中、大人しくしていました。助けてくれようとしていることを理解していたのでしょうか。
岸に上がり、大の字になって荒い息をしていると、藪から大きなイノシシが現れ、ワクたちの目の前を掠めて走り去りました。
「うわっ!」
二人が驚いている間に、ウリ坊もそのイノシシについて走り、藪に消えて行きました。
「あれ、母ちゃんだな。母ちゃんが迎えに来たんだ!」
二人は、なぜだか笑いが込み上げてきて、顔を見合わせてあはははと笑いました。
帰宅後、小父さんにその出来事を話すと、
「あの沼は底なしだ。しかも野生の動物が向かってきたら、ただじゃ済まねえだぞ。いいか、もう二度とそんなことをするじゃねえぞ!」
と口では厳しく叱られましたが、小父さんが目の奥では笑っているように、ワクには見えました。サブロウも同じように感じたのか、叱られながらも、やや誇らしげな様子に見えました。
そんな調子で、お坊ちゃん育ちでおっとりとしたサブロウは、ワクとの交流を通して少しだけ、荒っぽい積極性のかけらを身に着けていったようです。
秋の刈り入れ時期を迎える頃には、小さな妹たちにはワクにいちゃんと慕われ、サブロウとは小さな頃から一緒に育った兄弟のような気分になっていました。
農作業の仕事においても、ワクは、さすがに一人前の大人と肩を並べるところまではいきませんが、十分に重宝がられる存在になっていました。

秋の刈り入れが一段落ついた日。
お屋敷の大広間で、近隣の人たちも呼んで、盛大な宴会が開かれました。
「みなさん、今日は本当にご苦労さんじゃった。おかげで今年も何とか無事に収穫が終わったよ。今日は無礼講だ。酒はいくらでもあるからの。浴びるほど飲んでおくれ! では、かんぱーい!」
どっと沸きあがる会場。刈り入れ作業の盛り上がりを通して、ワクは仲間と一体になって働く喜びを満喫しましたが、宴会は宴会でまた別の魅力があります。
楽しい、楽しい、いつまでも続くかのような大騒ぎ。こんなにたくさんの人が話し、笑い合い、飲み食いする賑やかな催しは、ワクにとって初めてのことでした。夢のような一夜だと言ってもいいくらいです。ワクやサブロウはもちろん酒は飲めませんが、雰囲気は十分に味わいました。
宴会は夜遅くまで続き、深夜から明け方にかけて、お客たちは、一部の眠りこけている人たちを除いて、そろそろ家に帰り始めました。
ワクは、便所に用を足しに行った帰り、縁側にひとりぽつんと座っているサブロウを見つけました。満月の明るい光に縁どられて、その背中がいつになく大人びて見えます。
「サブ? どうしたんだ。」
「ああ、月がきれいだな、と思って。」
「へー! 詩的なことを言うじゃねえか。」
「はは、そんなんじゃないけどよぉ。」
ワクは自然に、サブロウの横に腰を下ろしました。
「宴の後って、ちょっと寂しいよなぁ。そんでこんなに月がきれいだと、なんだかしんみりしちまう。この先、俺はずっとこの家の仕事をして暮らしていくのかなぁ、なんて考えたりして。」
「うん?」
「俺たち、来年は十八だもんな。今年はまだオヤジも手加減してくれているけど…ほら、今は週に一日は休みをくれたりして、言ってみれば子供扱いだ…けど、来年からはいよいよ大人の仲間入りさ。俺がこの家を継ぐ覚悟を決めなきゃいかんだよ。」
「…。」
「おめえはほら、家を出て独り立ちをした。旅をするという人生を選んだじゃねえか。俺は農家の長男だから、やっぱり農業で生きていくことになるんだなあ、と。」
「いやなのか?」
「ううん、決していやではないんだけど。」
「うん。」
「なんだか、人生、もう決まっちまったような気がして。他にも道はいくらでもあるのに、もう決まっちまった、というか。うまく言えねえけど。可能性っていうのかなぁ。ひとところに留まってないで、もっと、あっちこっちでいろんな体験をしたい、というか…。そういう意味では、おめえのことがちょっと羨ましい。」
「へえ。でも、こんな大きな農家を継ぐって、とても立派じゃねえか。将来はお偉い旦那様だぞ。」
「だよな。分かってはいるんだ。」
「うん。羨ましがるやつ、たくさんいるぜ。それに、俺だって、いつまでもその辺をフラフラしているわけではないんだ。俺には行くところがあるから、こうして旅をしているんだ。」
「行くところって?」
「山。」
「山って、あの、山のことか?」
「ああ、あの山だ。」
ワクは少々誇らしげに答えました。
「なんで?」
「なんで、って、あの山の向こうには楽園があるというじゃないか。」
「ないよ、そんなもの!」
サブロウの顔色が変わったように見えました。
「山のことなら、聞いたことがある。けど、山を目指したやつはたくさんいるが、無事に着いたやつはひとりもいない、という噂だ。この村にもひとり、山を目指して出て行った人がいる。俺たちよりも七つ八つほど年上の兄ちゃんだ。けど、山に着いたという話は聞こえねえ。どうなったかなんて分かんねぇんだ。途中で死んじまってるかもしんねえし。また別の噂だと、山を目指すヤツはみんな、結局同じところをぐるぐる回って、ちっとも前に進まずに、しまいに力尽きるんだという話だぞ。」
「そんなもの、ただの噂話じゃねぇか。実際にはみんな山に着いて、楽園で幸せに暮らしているに違いない。誰も帰って来ねえのは、楽園が楽しいからだ。幸せだからだ。そりゃあ、中には途中で野垂れ死ぬヤツがいるかもしんない。でも、俺は大丈夫だ。」
「なんで分かる?」
「俺はそんなヘマはしねえ。」
「なんでそんなことが言える? おめえはいつだってそうだ。出来もしねえことを自信満々に言いやがって。ここに来たときだってそうだったぞ。新しい作業を習っているときもいつもそうだ。」
「うるせえや!」
「できもしねえことを夢見るのはやめろ。俺と同じように、地道に農業で食っていくことを考えろよ。」
「さっきはその農業のことで悩んでいたんじゃねえのか。」
「くっ…。とにかく、おまえは能天気なんだよ。夢を見すぎなんだよ!」
「なんだと!」
ワクは、頭でよく考えるよりも先に、サブロウを殴っていました。怒りというよりも、どうしようもない頼りなさのようなものを感じて、力に任せて暴れずにはいられない気持ちになったのでした。それは、何に対する頼りなさであったのか。サブロウのことを情けなく思ったのではありません。情けないのは、自分の不甲斐なさだったのかもしれません。
二人はしばらく、取っ組み合いの喧嘩をしていました。
通りがかったサブロウの父親は、二人の喧嘩をしばらく黙って見ていました。そして、そろそろ二人とも疲れてきたな、と思ったところで、二人を引き離しました。
「もうそれくらいにしておけ。」
二人とも、はぁはぁと息を弾ませながら、大人しく制止に従いました。いっとき暴れることで、ある程度不安が紛れて、気が済んだ様子でした。
小父さんは、二人ともが自分の息子であるかのように自分の両脇に座らせ、ぽつぽつと話し始めました。
「おめえたちの年頃は、自分の将来を考えるもんだ。いろいろ考えちまって、不安になることもあるだろうて。だがな、わしらはみんな、ひとりひとり生き方が違うんだ。まったく同じ生き方をする人間は、二人とおらん。おめえらも、それぞれの生き方をする。それは、どっちが正しくてどっちが間違っているか、ということではないんだぞ。どちらもだ。わしも、山の噂は多少は聞いたことがある。確かに本当のところはよく分かっていねえ。けど、皆が挫折したとは限らん。ただ、山の世界へ行って帰ってきた話は、この近辺では聞かないというだけだ。それこそワクの言うとおり、幸せ過ぎてだれも帰ってくるなんて考えないのかもしれんしなあ。」
ワクはなぜか胸がいっぱいになって、涙が溢れてきました。悲しいのではありません。高揚感と侘しさが入り混じったような、不思議な感覚でした。泣いているのをサブロウに見られたくなくて、ワクはそっぽを向きました。そのため、おじさんの向こうに座っているサブロウもまた涙を流していることに、ワクは気づきませんでした。
「そしてなぁ、それは…結局は同じなんだよ。おめえたちにはまだ難しいかもしれねえが。どんな生き方をしても、何をしても、生きるということにおいては、それはなんだ。」
ワクには、小父さんの言うことがはっきりとは分かりませんでした。が、その言葉には、どこか勇気づけられるものがありました。別々の道を進んでいても、離れて暮らしていても、つながっている。そんな風に感じられました。
秋の夜明け前の月が、冷たく清んでいました。ワクは、月には自分の気持ちが分かってもらえているような気がしました。

次の朝、ワクは小父さんに、そろそろおいとまして旅を再開したい、と申し出ました。小父さんは、それを予期していた様子で、大きくうなずきました。そして、遠くの山を見ながら、淋しくなるなぁ、と一言だけつぶやきました。
数日後、いよいよ出発の日を迎えたワクは、サブロウ一家の人たちと、門の前で向かい合っていました。
「ワクちゃん、元気でね。」
と母親がおにぎりを持たせてくれます。
二人の妹たちは、
「ワク兄ちゃん、ワク兄ちゃん。」
と、まとわりついてきます。
サブロウは黙って、じっとワクを見ていました。そして最後に言いました。
「ワク。俺はおめえが羨ましかった。自分で選んだ自由な道を進んで行けるおめえが。でも今は、俺も自由だと思っている。農家を継ぐことを選んだ自由人だ。俺のやり方で農業を極めるよ。」
サブロウの隣で、小父さんは目を細めて息子を見ています。
「サブ。すごいよサブ! お前ならできるよ。絶対に!」
「おめえはきっと、楽園にたどり着けよな。その後、おめえの父ちゃんを迎えに来た時は、またここにも寄ってくれ。俺はここで頑張るから。俺はいつでもここにいるからなぁ。」
「サブ!」
ワクは思わず、サブロウに抱きつきました。二人は固く抱き合って、そして別れたのでした。

小父さんがくれた、お給金を持って、ワクはふたたび旅立ちました。
秋はたけなわです。
見渡す限り、あちらこちらに、刈った稲の束が積み上がり、秋の陽光に輝いています。それは、この半年弱のワクとサブロウの成長を誇っているようにも、また、二人の希望にあふれた将来を垣間見せているようにも見えました。
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