30 / 35
第四章 本当の愛
2. 結婚式
しおりを挟む
結婚式当日は、快晴だった。父の尽力の賜物で、大聖堂には有力貴族たちが揃って列席してくれた。穏やかな日の光が大聖堂のステンドグラスから注ぎ、薄暗い聖堂の中を優しく包み込んでいる。
今日はオスカルとアイナ嬢が主役だ。だから家宝のブルーダイヤモンドはアイナ嬢が身に着ける。あれは元々、父が母に贈ったものだった。母の死後は、私が形見として好きなように使っていたけれど、ゆくゆくはスアレス家と共に、オスカルたちのものになる。
私は姉として目立ちすぎないよう、地味でも格式が高い装いを選んだ。ドレスはロイヤルブルー。胸元レースとスカートの切り返しが気に入っているものだ。パールで耳元と首周りを飾った。
オスカルとアイナ嬢は温かい歓声と祝福の中、愛を誓い合い、夫婦になった。姉として感極まって、ポロポロ泣いた。あのオスカルが、あのちょっとトロくてのんびりしたオスカルが、ついに結婚して家庭を持つのだ。
披露宴の会場も、季節の花々が咲き乱れ、文句なしの素晴らしさだった。ふとリストにあった人物たちに目をやった。アルバ家もアレジャーノ家も、次期当主が出席している。そう、ロレンシオとセレスティノだ。
こちらの視線に気づかれないように彼らを視線の片隅に置いて様子を伺った。二人とも元気そうでよかった。特にロレンシオは、"番"に婚約を拒否されて絶望の淵に立たされてるかも、なんて思っていたから少し安心した。
――あれ?セレスティノがロレンシオに話しかけている。珍しいなぁ。表面上彼らがいがみ合う理由はないのだけど、お互いに思うところはあるはずだ。挨拶を終えたのか、セレスティノは自分の席に戻って行った。
そのあと、オスカルが乾杯の挨拶をした。多分何度も練習したんだろう。スアレス家を率いるに足る、堂々としたスピーチだった。姉として立派に育った弟に感動して、また涙が一筋、頬を伝った。このところ、年々涙もろくなっている気がする。
乾杯の後は、各テーブルを父と一緒に挨拶に回った。まずは王弟殿下に挨拶をして、そして――アルバ公爵家。
見ると、ロレンシオは額に冷や汗を浮かべ顔色が悪かった。さっきまで穏やかそうな貴族然とした微笑を浮かべていたのに……。
「大丈夫ですか?アルバ次期公爵。顔色が悪いようですが……。」
「いえ、問題ありません。少し悪酔いしたみたいで。」
「まあ、ご無理は良くありませんわ。医務室を用意していますから、どうぞお使いください。ご案内致します。」
「すみません。少し休ませてもらいます。本日は本当におめでとうございます。」
使用人に言って、ロレンシオを医務室に案内させた。今日は既に女性が一人体調が悪いと言って、医務室で寝ている。食事も飲み物も、出す前に毒見を予めさせているし、特に問題はないはずだ。天候も体調を壊すような温度ではなく、むしろ過ごしやすい。だから余計に気になった。二度あることは三度あると、使用人たちに他に体調不良者が出たら、すぐに私に知らせるよう伝えた。
今日はオスカルとアイナ嬢が主役だ。だから家宝のブルーダイヤモンドはアイナ嬢が身に着ける。あれは元々、父が母に贈ったものだった。母の死後は、私が形見として好きなように使っていたけれど、ゆくゆくはスアレス家と共に、オスカルたちのものになる。
私は姉として目立ちすぎないよう、地味でも格式が高い装いを選んだ。ドレスはロイヤルブルー。胸元レースとスカートの切り返しが気に入っているものだ。パールで耳元と首周りを飾った。
オスカルとアイナ嬢は温かい歓声と祝福の中、愛を誓い合い、夫婦になった。姉として感極まって、ポロポロ泣いた。あのオスカルが、あのちょっとトロくてのんびりしたオスカルが、ついに結婚して家庭を持つのだ。
披露宴の会場も、季節の花々が咲き乱れ、文句なしの素晴らしさだった。ふとリストにあった人物たちに目をやった。アルバ家もアレジャーノ家も、次期当主が出席している。そう、ロレンシオとセレスティノだ。
こちらの視線に気づかれないように彼らを視線の片隅に置いて様子を伺った。二人とも元気そうでよかった。特にロレンシオは、"番"に婚約を拒否されて絶望の淵に立たされてるかも、なんて思っていたから少し安心した。
――あれ?セレスティノがロレンシオに話しかけている。珍しいなぁ。表面上彼らがいがみ合う理由はないのだけど、お互いに思うところはあるはずだ。挨拶を終えたのか、セレスティノは自分の席に戻って行った。
そのあと、オスカルが乾杯の挨拶をした。多分何度も練習したんだろう。スアレス家を率いるに足る、堂々としたスピーチだった。姉として立派に育った弟に感動して、また涙が一筋、頬を伝った。このところ、年々涙もろくなっている気がする。
乾杯の後は、各テーブルを父と一緒に挨拶に回った。まずは王弟殿下に挨拶をして、そして――アルバ公爵家。
見ると、ロレンシオは額に冷や汗を浮かべ顔色が悪かった。さっきまで穏やかそうな貴族然とした微笑を浮かべていたのに……。
「大丈夫ですか?アルバ次期公爵。顔色が悪いようですが……。」
「いえ、問題ありません。少し悪酔いしたみたいで。」
「まあ、ご無理は良くありませんわ。医務室を用意していますから、どうぞお使いください。ご案内致します。」
「すみません。少し休ませてもらいます。本日は本当におめでとうございます。」
使用人に言って、ロレンシオを医務室に案内させた。今日は既に女性が一人体調が悪いと言って、医務室で寝ている。食事も飲み物も、出す前に毒見を予めさせているし、特に問題はないはずだ。天候も体調を壊すような温度ではなく、むしろ過ごしやすい。だから余計に気になった。二度あることは三度あると、使用人たちに他に体調不良者が出たら、すぐに私に知らせるよう伝えた。
42
あなたにおすすめの小説
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。
王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。
教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。
惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。
簡単に裏切る人になんてもう未練はない。
むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。
【完結】「異世界に召喚されたら聖女を名乗る女に冤罪をかけられ森に捨てられました。特殊スキルで育てたリンゴを食べて生き抜きます」
まほりろ
恋愛
※小説家になろう「異世界転生ジャンル」日間ランキング9位!2022/09/05
仕事からの帰り道、近所に住むセレブ女子大生と一緒に異世界に召喚された。
私たちを呼び出したのは中世ヨーロッパ風の世界に住むイケメン王子。
王子は美人女子大生に夢中になり彼女を本物の聖女と認定した。
冴えない見た目の私は、故郷で女子大生を脅迫していた冤罪をかけられ追放されてしまう。
本物の聖女は私だったのに……。この国が困ったことになっても助けてあげないんだから。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※小説家になろう先行投稿。カクヨム、エブリスタにも投稿予定。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
番認定された王女は愛さない
青葉めいこ
恋愛
世界最強の帝国の統治者、竜帝は、よりによって爬虫類が生理的に駄目な弱小国の王女リーヴァを番認定し求婚してきた。
人間であるリーヴァには番という概念がなく相愛の婚約者シグルズもいる。何より、本性が爬虫類もどきの竜帝を絶対に愛せない。
けれど、リーヴァの本心を無視して竜帝との結婚を決められてしまう。
竜帝と結婚するくらいなら死を選ぼうとするリーヴァにシグルスはある提案をしてきた。
番を否定する意図はありません。
小説家になろうにも投稿しています。
政略結婚の作法
夜宮
恋愛
悪女になる。
そして、全てをこの手に。
政略結婚のために身分違いの恋人のいる王太子の婚約者となった公爵令嬢は、妹の囁きを胸に悪女となることを決意した。
悪女と身分違いの恋人、悪女になるはずだった妹の物語。
断罪されてムカついたので、その場の勢いで騎士様にプロポーズかましたら、逃げれんようなった…
甘寧
恋愛
主人公リーゼは、婚約者であるロドルフ殿下に婚約破棄を告げられた。その傍らには、アリアナと言う子爵令嬢が勝ち誇った様にほくそ笑んでいた。
身に覚えのない罪を着せられ断罪され、頭に来たリーゼはロドルフの叔父にあたる騎士団長のウィルフレッドとその場の勢いだけで婚約してしまう。
だが、それはウィルフレッドもその場の勢いだと分かってのこと。すぐにでも婚約は撤回するつもりでいたのに、ウィルフレッドはそれを許してくれなくて…!?
利用した人物は、ドSで自分勝手で最低な団長様だったと後悔するリーゼだったが、傍から見れば過保護で執着心の強い団長様と言う印象。
周りは生暖かい目で二人を応援しているが、どうにも面白くないと思う者もいて…
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる