兄のやり方には思うところがある!

野犬 猫兄

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難しいのは兄の思考

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 しばらくして、僕のベッドが真っ二つに折れていた。

 腐食していたようだと兄に説明され、購入までの間は兄のベッドで一緒に休むことになった。

 しかし休めない。特訓の一環だという兄とのコミュニケーションだと説明された。

「ちょ、そこは、あっ、やっ!」

「朋の身体はどこも敏感すぎて反応がいやらしい」

「だれのっ、せいだと思って、ひぁっ!」

 楽しそうに触れてくる兄は手を止めようとはしない。あぐらの上に座らされ、兄の手で身体中を撫でられている。対面ではないからといって恥ずかしくないわけではない。

「もう勃ってる」

「し、仕方がないじゃないですか! 兄さんに身体を触れられるとゾワゾワしてなぜか腹の中がキュンキュンするんですっ!」

 そういった僕に兄は真面目に頷いた。

 下穿きだけすべて脱がされた状態の僕は脚を開かされている。脇を触れていた大きな手は腹へと難なく移動した。

「腹のどのあたりだ?」

 へその周辺をなで回され、腹の皮膚がつっぱり僕の僕までがそれに合わせて揺れる。

 卑猥な光景に目を閉じたくなった。

「そ、そのあたりです……」

 へその下あたりに手が置かれる。手のひらの体温があたたかい。

「そのキュンキュンとやらは治まるものか? 朋の大事な身体に無機物を突っ込むわけにもいかないからな」

「……やめてください」

 へそから何かを突っ込もうと考えているのかと恐怖し震える。

「朋、痛い」

 僕の股の間から萎れた兄が僕の手に握られて顔を出している。

「あ、ごめんなさい」

 つい指に力が入ってしまっていた。
 兄の兄を僕が握っているのは、少しの反応でもあればわかるようにと話しあった結果だ。

 しかし、相手はいまだ瀕死なナマモノである。

「朋の身体はすべてが性感帯なのか?」

「兄さんの触り方は普通なんですか?!」

「特別なことはしていない。なにかあるとすれば愛だと思う」

 兄の口から愛などという言葉が飛び出すとは思ってもいなかった。また誤作動でもしたのだろうか。

「はい? では今僕は愛されているということでしょうか?」

 兄から愛など感じたことはない。気づかなかっただけでそこに愛があったというのか。

「もちろんずっと愛していたし、現在進行形で愛している」

 愛のオンパレードに愛が何なのかわからなくなった。実感がわかない。家族愛だろうが、今となっては振り返る記憶に愛ある場面など思い浮かばない。

 訝しんでいるのがわかったのか、兄は僕を抱きしめてきた。

「わからなかったなら、すまなかった。これからはたくさん愛を注いでいこうと思う」

「えっ? あ! はっ? ああ~~~っ!」

 いきなり抱きしめながら屹立した僕を握られて、あっという間にイってしまった。

「次は風呂だな」

 淡々と行動する兄はぐったりする僕を担ぎ、風呂に入れ隅々まで丹念に洗った。

 子どものように抱えられながら湯ぶねに入れられ、それに反抗する気も起きない。

「そうだ。キュンキュンする要因を探ってみてもいいか?」

 あのキュンキュンするムズムズ感を思い出すと膝をすり合わせたくなってくる。ただ、疲労感が睡魔を連れてきた。なんという連携だ。抗えない。

「えぇ……そう…ですね。早めに……原因は知っておきたい…気持ちは……ありますけど、もう眠くて……」

 医者でもないのにわかるものなのか?と疑問すら眠さで湧いてこない。

「じゃぁ、調べてみよう」

 と言ってから、あろうことか尻の穴に指を突っ込んできた。ぬるりとした感覚に背中が震える。

 洗われている最中、尻のまわりをこねくり回されていたから痛くはない。ただ違和感があるだけだ。

「え? え? え?!」

「キュンキュンは治ったか?」

 一気に目が覚めた。疲労感も睡魔も兄の前ではことごとく一掃された。瞬殺である。

「驚きすぎてキュンキュンどころじゃないってことくらいしかわかりませんけど?!」

「そうか。難しいな」

 難しいのは兄の思考だ!と叫ぶのを押し止める。瀕死、相手は瀕死と呪文のように心のなかで唱えて気持ちを落ちつかせる。

 ヌプヌプといまだに指をあらぬところで出し入れを繰り返す兄は、考え事でもしているのか一向に指を抜いてくれない。

 くすぐったさから、じわじわとおかしな感覚に変わってきそうで、僕はこの行為を早く終わらせたかった。

「朋、すまないがそのまま俺のを扱いてくれないか?」

「ええっ?!」

 尻の指はそのままに、仕方がなく兄の柔らかな肉棒を扱き始める。

「朋の指は気持ちがいい」

 褒められたことに気を良くした僕は先ほどのことも忘れ慎重に手を動かす。柔らかなものが少しだけ芯を持ったような気がした途端──。

「あっ!」

 兄が僕の尻をまだ弄んでいたことを、強烈な快感によってようやく思い出した。

「あっ、兄さんっ! ダメッ、なんか……んあっ」

 僕の屹立は触れられてもいないのに先ばしりを溢し尻にまで垂れていた。それは兄の指の滑りをよくして奥深くまで指の挿入を許すほどだ。

「なるほど、後ろだとすぐにイかないことがわかったな」

 悠長に状況を説明する兄に、その説明は今じゃないだろうと泣きたくなった。キュンキュンしている深い場所は指では届かないようだった。

 焦れる気持ちと得体のしれない未知の感覚は僕の許容範囲を超えて恐怖を呼び起こす。

「兄さ……っ、いぁっ、たすけ……~~~っ」

「朋っ?!」

 号泣しだした僕に兄は慌てたように指を一気に引き抜いた。その拍子に感覚の鋭くなっていた中が引き絞るように蠕動し快感を脳に伝えてくる。

 焼ききれるように目の前が真っ暗になった。
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