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第2章『新たな召喚獣、新たな世界/ファイントの章』
第48話 もう……ファイントだけで良くない?
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アイシクル騎士団とは、この地球とは別次元にあった世界の産物だ。
その世界は、全ての人間が、老人から赤子まで、年齢性別問わずに全員が騎士の世界。
騎士による、騎士のための、騎士の世界----《騎士世界》(※1)とでも呼ぼうか。
そんな《騎士世界》で、アイシクル騎士団は任務を為していた。
騎士なのに盗賊の様に盗みを働く者達を懲らしめたり、王国に仇なす魔物を倒すことが、アイシクル騎士団の団長スティーリアの務めであった。
彼女は、騎士団を率いる立派な騎士であると同時に、王国の第三王女としての一面も持っていた。
彼女は民のため、騎士団の皆と共に、精力的に働いた。
そして、その頑張りが、目障りに思う勢力があった。
スティーリアは、王位を狙う他の王族の命令で、北方の地へ飛ばされた。
「お前らは全員が氷属性なんだから、寒い地域の方が相性良いだろう?」とのことだった。
----とんでもない話だった。
北方の地に住まう魔物は、どれも自分達と同じ氷属性の使い手であり、魔物によっては団員達よりも強い氷属性を使ってきたりもした。
自分達の長所が効かない地に飛ばされ、多くの同胞が死んだ。
彼らは呪った。
自分達を殺した者達を、そして自分達をここへ追いやった者達を。
そんな恨みの念で生きる、アイシクル騎士団の亡霊達。
中でも皆をまとめる立場となった3人の恨みは、同胞を自分達のせいで亡くした責任感からか、とても強かった。
アイシクル騎士団長スティーリアは、嘆く。
自分が王族であるがために、こんな北方の地に追いやられたことを。
そして、仲間を救うだけの力がなかった事を。
アイシクル騎士団副長ニパスは、悲しむ。
幼い頃からスティーリアと共に剣を取り、彼女の無念さを知るが故に。
そして、自分を庇って先に死んだスティーリアを思って。
アイシクル騎士団将校スリートは、悔やむ。
騎士団の中で最速の称号を貰いながらも、騎士団が一番襲撃を受けていた時に間に合わなかったことを。
そして、着いた頃には全員死んでいた事を。
強い3人の無念は、ダンジョンのボスとして、彼らを復活させた。
もう二度と、愛する騎士団を滅ぼされないように。
相手が、自分達を殺した者ではない事は関係ない。
ただ彼らは、侵入者を----自分達を殺すかも知れない者達を、殺される前に殺すだけだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『ウォォォォォ!』
先に俺の方に向かってきたのは、下半身が馬の騎士野郎の方だった。
文字通り、人間離れした脚力で、こちらへと走って向かって来る。
槍をぐるぐると回して、俺の方に向かって来る。
「ご主人が殺されちゃあ、マズいよね~? 【スキャン=マルチアーム】っとね!」
「おっ----?!」
ファイントがスキルを発動させると、俺の背中からいきなりうねうねと揺れ動く機械の触手が現れる。
いきなり現れた触手がうねうねと揺れ動き、俺の身体を勝手に動かして、馬騎士からの攻撃を勝手に避けてくれていた。
まるでス〇イダーマンの悪役になった気分である。
ほら、あの背中から4つの腕が付いたアームを使う悪の科学者に。
違うのは、あの悪の科学者は4つの腕で自由自在に動けるが、俺の背中から出ているヤツは馬騎士の攻撃を避けるだけ。
俺の意思には、ぜーんぜん反応してくれないし、ただ避けるだけだ。
助けられたのは確かだが、これじゃあ俺はなにも出来ないじゃないか。
【召喚】のスキルは使えないし、【優しい木こりの鞭】は届かない。
俺に出来る事と言えば、ただファイントが勝つことを願うだけだ。
「(おい、早く下ろせ! 鞭で叩けば、お前のステータスがほんの少し上昇できるんだよ!)」
「いやーん! なんかご主人が鞭を持って睨みつけてくるけど、そんなに叩きたかったりします~? Sですか、ドS、なんですかぁ?!」
ファイントに抗議の視線を送るが、彼女はただ笑うだけ。
……しょうがないので、ファイントの実力を見ておこう。
「相手のステータスを【スキャン】して、逃げるための最適な【マルチアーム】を呼び出す。
いやぁ~! 覚えておいて良かったですね、【マルチアーム】!」
『ウォォォォン!』
「で、あなたには【マルチアーム=ハリケーンプロペラ=】で」
攻撃を避けられたことに腹を立てたのか、馬騎士は方向転換してこちらに向かって来ようとする。
しかしながら、馬の4本の足から、俺の背中から出ているのとよく似た機械の腕が複数出てくる。
まるで大樹の幹から出てきた枝葉の様に、青魔法によって複数出てきた機械の腕は、そのままくるくると、まるで扇風機の様に回転して、馬騎士は自らの足に絡まって、そのまま倒れこんでしまった。
駆けることが自慢の敵の足に、【マルチアーム】を複数出しておく。
高速回転させて、足を止めるなんて……。
「えげつな……」
「さーて、あっちはもう戦いにならないでしょうし、もう1体の方も、さくっと倒しましょうかね♪」
軽口を言いながら、ファイントはもう既に次の攻撃に移っていた。
光を集束させた2本の剣を生み出して、もう1人の二刀流の騎士に向かっていた。
「【レーザービーム=スタンブレード】の、2本持ち! これなら、二刀流の方とも戦えちゃうねぇ!
じゃあ、行っちゃうねぇ!」
ファイントは生み出した2本の剣を持ち、そのまま二刀流の騎士に向かって斬りつける。
『ギギッ!!』
「おっと~?」
しかし、彼女の持つ2本の剣のうちの1本は、二刀流騎士の水の剣に当たると、彼女の手から離れる。
まるで棒に糸が絡め取られるように水の剣を一回転すると、そのままするーっと風に流されるようにして、部屋の奥まで飛んで行った。
そして、もう1本の剣もまた、水の剣に当たると、同じように絡め取られ、するーっと飛ばされていった。
力を込めた様子はなく、剣が当たっただけなのに……。
恐らくはスキルの類だろうが、剣を武器にしている雪ん子がもしも相手だと、厄介そうなスキルだ。
『ギギッ!』
「なるほど、なるほどぉ! それが【柔水剣術】ってやつですか~。"オーラ系統のスキル"で、"相手の攻撃力に関係なく、それを受け流す"というスキルですが、マナ系統の【青魔導士】の私には使えないから、残念ですね~」
『----ッ!? グギッ?!』
二刀流騎士が驚いている。
言葉こそ分からないが、「なんで知ってる?!」みたいな感じを言ってる気がするぞ。
恐らくは、【スキャン】を使って、相手のステータスを覗き見て、やったんだろうが、知らないと確かにびっくりするよな。
「ほらほら! どうせなら、自分の名前のスキルを使ったら、どうですか? 【みぞれ斬り】なんて、だっさーい名前のやつを?」
『ピキッ!! グギギッ!』
あからさまなファイントの挑発に対し、二刀流騎士は怒りを露わにしていた。
そして、ほんの少し後ろに下がったと思ったら、自分が手にする2本の剣----水の剣と氷の剣で、交互に突き攻撃をしてくる。
『ギギギッ!』
最初こそどちらの剣が今突き技として放たれたのかが見えていたが、突きの速度は1回ごとにどんどん上がっていき、上がっていくと2本の剣の色が似ているため、分からなくなってくる。
そして、突きが速いせいなのか、剣が残像の様に見えてきた。
「おおっ! "あまりにも速い突きを、雨あられのように浴びせる技"とありましたが、残像を用いて雨のように見せるんだ! なーんだ、水に濡れて、ご主人にサービスシーンを見せる場面かと思って、期待したのにぃ~♪」
「感心してないで……茶化してないで、ちゃんと戦え!」
攻められて、後退してるじゃないか!
そのままだと、突きを喰らって、やられちゃうぞ!
真面目に戦うように言うと、「ぶ~!」と、頬を大きく膨らませて分かりやすく怒っている感を出すファイント。
「真面目に戦ってるんですってばぁ~、心外だなぁ~。ほい、【スタンブレード=】!」
と、突きの攻撃から身を守るためか、新たに剣を出して、前に出すファイント。
『クヒッ!!』
「そんなの意味ないぞ!」とばかりに、二刀流騎士は突き攻撃を止めない。
そしてヤツの剣に当たると、先程の光景と同じく、まずはファイントの手から離れていく。
「ほい、でもって【=自爆】っと」
----どっかぁぁぁぁぁぁん!!
そして、ファイントが先程まで持っていた剣が、そのまま爆発した。
二刀流騎士の剣が、"ちょうど"絡め取っていた時に。
『ウグワーッツ!!』
剣という武器の構造上、水の剣を手にして絡め取っていた二刀流騎士は、そのまま爆発に巻き込まれて、吹っ飛ばされた。
爆発の衝撃からか、身体はバラバラになってしまっているようだった。
「【自爆】は、今の私が持つ、最も攻撃力の高い青魔法ですよ? あなたが今絡め取ってしまった剣は、耐久値をちょっとばかし高めに設定しておきました♪
剣の耐久力とは、それ即ち剣の体力。"最大体力の3倍の爆発力"、いかがだったかしらね?」
----って、もう聞いてませんよね?
ファイントはそのまま、今度は馬騎士の方に目を向ける。
馬騎士の4本の足では、まだ彼女の青魔法が----【マルチアーム】による機械の腕が、【ハリケーンプロペラ】の魔法でくるくると回転し続けていた。
「ほいっ、そっちも【=自爆】っと」
----どかぁぁん!! どかぁぁん!! どかぁぁん!!
先程の剣の爆発には及ばなかったが、それでも明らかに致命傷と言わんばかりに、馬騎士の4本の足から出ていた機械の腕が、大爆発を起こした。
『ウグワーッ!!』
そして、馬騎士もその場で倒れた。
あまりにも呆気なく、2体の騎士のボス魔物は、たった1体の召喚獣に完封負けされたのであった。
「さぁて! お仕事、おっわりぃ♪ 雪ん子ちゃん、まだかなぁ?」
だらーっと、のんきに帰りの心配を始めたファイント。
俺は、ようやく【スキャン=マルチアーム】を解かれて、地面へと帰って来れたが。
心は、複雑だった。
「(なにも出来なかった……)」
というよりも、なにも"しなくて良かった"。
俺が居ようが、居まいが、ファイント1人でなんとかなった。
もう、ファイントだけ居れば良いんじゃないかってくらいに。
「(ファイント1人でもなんとかなったし、恐らく雪ん子1人でもなんとかなるだろう)」
だが、ファイントは俺の召喚がなくても、普通に活動できる。
それも、ダンジョンの外でも平気に。
これから、彼女と、俺は【召喚士】として、どう向き合えば良いのだろうか?
(※1)《騎士世界》
騎士による、騎士のための、騎士だけの世界。無数にある並行世界の1つで、全ての人間が騎士という、変わった世界
並行世界はこの他にも数多く存在し、現代社会を支える電気技術よりも蒸気機関技術が進んだ《スチームパンク》、使用しているテクノロジーがゼンマイを使った機械仕掛けの《クロックパンク》などが挙げられる
その世界は、全ての人間が、老人から赤子まで、年齢性別問わずに全員が騎士の世界。
騎士による、騎士のための、騎士の世界----《騎士世界》(※1)とでも呼ぼうか。
そんな《騎士世界》で、アイシクル騎士団は任務を為していた。
騎士なのに盗賊の様に盗みを働く者達を懲らしめたり、王国に仇なす魔物を倒すことが、アイシクル騎士団の団長スティーリアの務めであった。
彼女は、騎士団を率いる立派な騎士であると同時に、王国の第三王女としての一面も持っていた。
彼女は民のため、騎士団の皆と共に、精力的に働いた。
そして、その頑張りが、目障りに思う勢力があった。
スティーリアは、王位を狙う他の王族の命令で、北方の地へ飛ばされた。
「お前らは全員が氷属性なんだから、寒い地域の方が相性良いだろう?」とのことだった。
----とんでもない話だった。
北方の地に住まう魔物は、どれも自分達と同じ氷属性の使い手であり、魔物によっては団員達よりも強い氷属性を使ってきたりもした。
自分達の長所が効かない地に飛ばされ、多くの同胞が死んだ。
彼らは呪った。
自分達を殺した者達を、そして自分達をここへ追いやった者達を。
そんな恨みの念で生きる、アイシクル騎士団の亡霊達。
中でも皆をまとめる立場となった3人の恨みは、同胞を自分達のせいで亡くした責任感からか、とても強かった。
アイシクル騎士団長スティーリアは、嘆く。
自分が王族であるがために、こんな北方の地に追いやられたことを。
そして、仲間を救うだけの力がなかった事を。
アイシクル騎士団副長ニパスは、悲しむ。
幼い頃からスティーリアと共に剣を取り、彼女の無念さを知るが故に。
そして、自分を庇って先に死んだスティーリアを思って。
アイシクル騎士団将校スリートは、悔やむ。
騎士団の中で最速の称号を貰いながらも、騎士団が一番襲撃を受けていた時に間に合わなかったことを。
そして、着いた頃には全員死んでいた事を。
強い3人の無念は、ダンジョンのボスとして、彼らを復活させた。
もう二度と、愛する騎士団を滅ぼされないように。
相手が、自分達を殺した者ではない事は関係ない。
ただ彼らは、侵入者を----自分達を殺すかも知れない者達を、殺される前に殺すだけだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
『ウォォォォォ!』
先に俺の方に向かってきたのは、下半身が馬の騎士野郎の方だった。
文字通り、人間離れした脚力で、こちらへと走って向かって来る。
槍をぐるぐると回して、俺の方に向かって来る。
「ご主人が殺されちゃあ、マズいよね~? 【スキャン=マルチアーム】っとね!」
「おっ----?!」
ファイントがスキルを発動させると、俺の背中からいきなりうねうねと揺れ動く機械の触手が現れる。
いきなり現れた触手がうねうねと揺れ動き、俺の身体を勝手に動かして、馬騎士からの攻撃を勝手に避けてくれていた。
まるでス〇イダーマンの悪役になった気分である。
ほら、あの背中から4つの腕が付いたアームを使う悪の科学者に。
違うのは、あの悪の科学者は4つの腕で自由自在に動けるが、俺の背中から出ているヤツは馬騎士の攻撃を避けるだけ。
俺の意思には、ぜーんぜん反応してくれないし、ただ避けるだけだ。
助けられたのは確かだが、これじゃあ俺はなにも出来ないじゃないか。
【召喚】のスキルは使えないし、【優しい木こりの鞭】は届かない。
俺に出来る事と言えば、ただファイントが勝つことを願うだけだ。
「(おい、早く下ろせ! 鞭で叩けば、お前のステータスがほんの少し上昇できるんだよ!)」
「いやーん! なんかご主人が鞭を持って睨みつけてくるけど、そんなに叩きたかったりします~? Sですか、ドS、なんですかぁ?!」
ファイントに抗議の視線を送るが、彼女はただ笑うだけ。
……しょうがないので、ファイントの実力を見ておこう。
「相手のステータスを【スキャン】して、逃げるための最適な【マルチアーム】を呼び出す。
いやぁ~! 覚えておいて良かったですね、【マルチアーム】!」
『ウォォォォン!』
「で、あなたには【マルチアーム=ハリケーンプロペラ=】で」
攻撃を避けられたことに腹を立てたのか、馬騎士は方向転換してこちらに向かって来ようとする。
しかしながら、馬の4本の足から、俺の背中から出ているのとよく似た機械の腕が複数出てくる。
まるで大樹の幹から出てきた枝葉の様に、青魔法によって複数出てきた機械の腕は、そのままくるくると、まるで扇風機の様に回転して、馬騎士は自らの足に絡まって、そのまま倒れこんでしまった。
駆けることが自慢の敵の足に、【マルチアーム】を複数出しておく。
高速回転させて、足を止めるなんて……。
「えげつな……」
「さーて、あっちはもう戦いにならないでしょうし、もう1体の方も、さくっと倒しましょうかね♪」
軽口を言いながら、ファイントはもう既に次の攻撃に移っていた。
光を集束させた2本の剣を生み出して、もう1人の二刀流の騎士に向かっていた。
「【レーザービーム=スタンブレード】の、2本持ち! これなら、二刀流の方とも戦えちゃうねぇ!
じゃあ、行っちゃうねぇ!」
ファイントは生み出した2本の剣を持ち、そのまま二刀流の騎士に向かって斬りつける。
『ギギッ!!』
「おっと~?」
しかし、彼女の持つ2本の剣のうちの1本は、二刀流騎士の水の剣に当たると、彼女の手から離れる。
まるで棒に糸が絡め取られるように水の剣を一回転すると、そのままするーっと風に流されるようにして、部屋の奥まで飛んで行った。
そして、もう1本の剣もまた、水の剣に当たると、同じように絡め取られ、するーっと飛ばされていった。
力を込めた様子はなく、剣が当たっただけなのに……。
恐らくはスキルの類だろうが、剣を武器にしている雪ん子がもしも相手だと、厄介そうなスキルだ。
『ギギッ!』
「なるほど、なるほどぉ! それが【柔水剣術】ってやつですか~。"オーラ系統のスキル"で、"相手の攻撃力に関係なく、それを受け流す"というスキルですが、マナ系統の【青魔導士】の私には使えないから、残念ですね~」
『----ッ!? グギッ?!』
二刀流騎士が驚いている。
言葉こそ分からないが、「なんで知ってる?!」みたいな感じを言ってる気がするぞ。
恐らくは、【スキャン】を使って、相手のステータスを覗き見て、やったんだろうが、知らないと確かにびっくりするよな。
「ほらほら! どうせなら、自分の名前のスキルを使ったら、どうですか? 【みぞれ斬り】なんて、だっさーい名前のやつを?」
『ピキッ!! グギギッ!』
あからさまなファイントの挑発に対し、二刀流騎士は怒りを露わにしていた。
そして、ほんの少し後ろに下がったと思ったら、自分が手にする2本の剣----水の剣と氷の剣で、交互に突き攻撃をしてくる。
『ギギギッ!』
最初こそどちらの剣が今突き技として放たれたのかが見えていたが、突きの速度は1回ごとにどんどん上がっていき、上がっていくと2本の剣の色が似ているため、分からなくなってくる。
そして、突きが速いせいなのか、剣が残像の様に見えてきた。
「おおっ! "あまりにも速い突きを、雨あられのように浴びせる技"とありましたが、残像を用いて雨のように見せるんだ! なーんだ、水に濡れて、ご主人にサービスシーンを見せる場面かと思って、期待したのにぃ~♪」
「感心してないで……茶化してないで、ちゃんと戦え!」
攻められて、後退してるじゃないか!
そのままだと、突きを喰らって、やられちゃうぞ!
真面目に戦うように言うと、「ぶ~!」と、頬を大きく膨らませて分かりやすく怒っている感を出すファイント。
「真面目に戦ってるんですってばぁ~、心外だなぁ~。ほい、【スタンブレード=】!」
と、突きの攻撃から身を守るためか、新たに剣を出して、前に出すファイント。
『クヒッ!!』
「そんなの意味ないぞ!」とばかりに、二刀流騎士は突き攻撃を止めない。
そしてヤツの剣に当たると、先程の光景と同じく、まずはファイントの手から離れていく。
「ほい、でもって【=自爆】っと」
----どっかぁぁぁぁぁぁん!!
そして、ファイントが先程まで持っていた剣が、そのまま爆発した。
二刀流騎士の剣が、"ちょうど"絡め取っていた時に。
『ウグワーッツ!!』
剣という武器の構造上、水の剣を手にして絡め取っていた二刀流騎士は、そのまま爆発に巻き込まれて、吹っ飛ばされた。
爆発の衝撃からか、身体はバラバラになってしまっているようだった。
「【自爆】は、今の私が持つ、最も攻撃力の高い青魔法ですよ? あなたが今絡め取ってしまった剣は、耐久値をちょっとばかし高めに設定しておきました♪
剣の耐久力とは、それ即ち剣の体力。"最大体力の3倍の爆発力"、いかがだったかしらね?」
----って、もう聞いてませんよね?
ファイントはそのまま、今度は馬騎士の方に目を向ける。
馬騎士の4本の足では、まだ彼女の青魔法が----【マルチアーム】による機械の腕が、【ハリケーンプロペラ】の魔法でくるくると回転し続けていた。
「ほいっ、そっちも【=自爆】っと」
----どかぁぁん!! どかぁぁん!! どかぁぁん!!
先程の剣の爆発には及ばなかったが、それでも明らかに致命傷と言わんばかりに、馬騎士の4本の足から出ていた機械の腕が、大爆発を起こした。
『ウグワーッ!!』
そして、馬騎士もその場で倒れた。
あまりにも呆気なく、2体の騎士のボス魔物は、たった1体の召喚獣に完封負けされたのであった。
「さぁて! お仕事、おっわりぃ♪ 雪ん子ちゃん、まだかなぁ?」
だらーっと、のんきに帰りの心配を始めたファイント。
俺は、ようやく【スキャン=マルチアーム】を解かれて、地面へと帰って来れたが。
心は、複雑だった。
「(なにも出来なかった……)」
というよりも、なにも"しなくて良かった"。
俺が居ようが、居まいが、ファイント1人でなんとかなった。
もう、ファイントだけ居れば良いんじゃないかってくらいに。
「(ファイント1人でもなんとかなったし、恐らく雪ん子1人でもなんとかなるだろう)」
だが、ファイントは俺の召喚がなくても、普通に活動できる。
それも、ダンジョンの外でも平気に。
これから、彼女と、俺は【召喚士】として、どう向き合えば良いのだろうか?
(※1)《騎士世界》
騎士による、騎士のための、騎士だけの世界。無数にある並行世界の1つで、全ての人間が騎士という、変わった世界
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