俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政

文字の大きさ
316 / 354
第9章『失楽園のツクり方/冒険者サエジマ・ワタルの章』

第300話 強い召喚獣は、何故人型が多いのか?

しおりを挟む
 ----まさか、ココアが神となり、倒したはずの正月のファイントと戦っていた頃。

 そんな事になっているとはつゆほども思っていない、雪ん子とファイント。
 レムリア大陸に着くも、冴島渉たちと分離かれて転移されていた2人は、その場に待ち構えていた絶望スカレットと戦っていたのであった。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「《ぴっ、ぴぴっ!》」

 雪ん子は四大力【オーバーロード】の力を用い、剣に纏わせ、絶望スカレットに向けて振るう。
 本来であれば、こんな大陸程度であれば瞬く間のうちに蒸発、消滅させてもなんらおかしくないその力は、絶望スカレットに当たる前に、消えていく。

 ……いや、実際には消えているのではなく、雪ん子の強力すぎる攻撃は、絶望スカレットに到達していなかったのだ。


 ----彼女の持つ最強の盾、スキル【無限の距離】。
 スカレットに向かおうとする攻撃は、絶望スカレットに永遠に到達する事はなく、そのまま力尽きて消えてしまう。


 自らへの攻撃を無傷で受け止めたスカレットは、パチパチパチッと手を叩いて拍手する。
 その拍手について、スカレットにとっては純粋な賞賛であったが、雪ん子にとっては馬鹿にしているかのように感じられた。

「いやぁ、本当に凄い威力だったね。そんな威力を放てる雪ん子ちゃんは、本当に凄いと思うよ。
 例えるとすれば、初めて赤ちゃんが摑まりなしで歩き始めたのを見た親の気分だよ」

 実際、ゲラゲラ笑いながら、馬鹿にしていたのだから、雪ん子が思ったのは何も間違っていなかった。

「《ぴきぃぃぃぃぃ!! ばか、されてる!!》」
「うん! バカにしてるよ。だって、普通に届いてないからね」
「《むきぃぃぃぃ!!》」
「ケラケラケラ……っと、笑ってる場合ではないね」

 ひとしきり雪ん子を笑って馬鹿にしていたスカレットであったが、次の瞬間にはすーっと口を閉ざして、武器である泡立て器を構える。

 ----きぃぃぃぃんんっっ!!

雪ん子きみは馬鹿にしてるけど、ファイントあなたは侮ってないから」

 ファイントが放つ魔術を、泡立て器で空気を固めて防ぐスカレット。
 それに対して、ファイントは冷ややかな視線を向けていた。

「……侮ったままやられてくれた方が、私としては嬉しかったんですけどね」
「いやいや、私の【無限の距離】を越えて、私に到達する攻撃を放つ者は少ないからね。警戒するに値する」

 いまのファイントの放った魔術。
 それは【光の大天使】というスキルを、【魔術改変】によって、ファイントが放てる最強の威力へと改変し直したモノ。


 そう、"神"としての----最強の、魔法を。


「やはり、召喚獣として一番強いのは君達のような"人型・・"だね」

 と、スカレットはそう語り始める。

召喚獣ケモノなのに、何故人型が最強なのか? いいや、召喚獣だけではなく、魔物だって、強力な種は人型が多い。
 そもそも召喚獣の中で、ランクが高い者の多くは人型を模しているんだけれども、それは人間ヒトという種族が最強だからなのか?
 いいや、人類ヒト代表として宣言しましょう! 人間ほど、弱い生き物は居ない、ってね」

 【無限の距離】という、最強の防御スキル。
 職業ジョブの【パティシエ】による、洗脳スキル。

 そんな、ほぼ最強と言っても過言ではないはずのスカレットは、自分自身ヒトを弱いと、そう言い切る。

「強靭な、武器となるような爪もない。
 獲物を噛み切る歯だって、人間のモノは生物の中では弱い部類に入る。
 極寒の寒さを守る、毛皮もないし、太陽に長時間当たると弱るほどの皮膚しかない。
 知能だって、人間と匹敵、あるいは人間以上の知能を持つ生物は数多く存在する。

 ……分かるかい? そんな中途半端な人間が、なんで強い召喚獣の多くが、魔物の多くが、そんな人型を模すのかを」


 ----答えは、簡単さ。
 ----召喚獣も、魔物も、"人を目指している訳ではない"。


「かつて、ヒトは神によって創生されたと、そう伝えられている。
 そして神様達はヒトを作る際、"自分達の姿を模して"、ヒトという種族をおつくりになられた。

 そう、召喚獣や魔物達は、ヒトに憧れて人型になっているんではない。
 もっと上位の、神様になりたくて、人型になっているのさ」



(※)ヒト
 かつて神様が、地上に住まう生物の1つとして生み出したとされる生物種。ヒトは神々の姿を模して、泥から生み出されたと伝わっている
 そしてその伝承は、召喚獣や魔物たちにも影響を与え、上位のモノ達の姿は神々、それに似せられたヒトの姿を模す者が多くなったと伝えられている
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武
ファンタジー
テンプレのように異世界にクラスごと召喚された主人公──イム。 与えられた力は面倒臭がりな彼に合った能力──睡眠に関するもの……そして催眠魔法。 そんな力を使いこなし、のらりくらりと異世界を生きていく。 「──誰か、養ってくれない?」 この物語は催眠の力をR18指定……ではなく自身の自堕落ライフのために使う、一人の少年の引き籠もり譚。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

スライム退治専門のさえないおっさんの冒険

守 秀斗
ファンタジー
俺と相棒二人だけの冴えない冒険者パーティー。普段はスライム退治が専門だ。その冴えない日常を語る。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

処理中です...