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第10章『俺の召喚獣だけレベルアップする/冴島渉たちの章』
第337話 雪ん子は、女子である
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===== ===== =====
レベルⅩになるための試練
・自分と向き合え
===== ===== =====
下手なメンズコーチでも、今時言わないような自分探しをクリアしないと、俺はどうやら最高峰のレベルⅩとやらになれないらしい。
レベルⅨになるための『世界を救え』よりも難しいこの問題に対して、ファイントが1つの提案をしてきた。
その提案とは、俺が召喚できるレベルアップ可能の召喚獣を全て召喚して、別のダンジョンに行っても良いかという提案だ。【召喚士】の俺なしによる召喚獣だけの遠征を、そうしても良いかと許可を求めてきたのだ。
正直、この世界で別のダンジョンに移動するという事は、絶望スカレットの影響を受けながら移動するという事だが、結界を使えば大丈夫らしく、都合よくマルガリータが便利なスキルを獲得していた。
===== ===== =====
【微量にして最強なる毒】
……対象に毒を注入する。この毒を受けている間、あらゆる状態異常、およびステータス変更効果のあるスキルを無効化する
===== ===== =====
このスキルは、あらゆる状態異常やステータス変更効果系統のスキル効果を無効化する。こちらのスキルの上昇効果のあるスキルが使えなくなってしまうのは痛いが、それ以上に絶望スカレットのスキル効果を無効化できるのは大きい。
毒状態ではあるモノの、ダメージは微々たるモノで、自然回復でも対処できるという点も大きかった。
雪ん子、ファイント、ココア、マルガリータ、そしてヘミングウェイにそれぞれ【微量にして最強なる毒】を注入して、俺は皆をダンジョンの外に出る事を許可したのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ダンジョンの外に出る事を許可された召喚獣達は分かれ、それぞれ別のダンジョンへと向かって行った。彼女達がそのダンジョンを目指した理由は、呼ばれたからだ。
言葉では説明できないが、誰かがここに来るように、彼女達を呼んでいたからこそ、それぞれ自分を呼んだダンジョンへと向かって行った。
そんな中、雪ん子はと言うと、ダンジョンではなく、ある国へと向かっていた。
その国の名は、"ヨーロッパ国"。
空海大地の雑な知識によって生み出された、本来は存在しないはずの国。
雪ん子が歩いていると、目的地が見えて来た。
そう、ヨーロッパ国は、ココアがいた吸血鬼の世界の他にも様々な世界が混ざり合っている。
天使の世界、ろくろ首の世界、幽霊達の世界、そして"水妖精の世界"。
『やぁ、お帰り』
水妖精達の領域で、1体の妖精が雪ん子を出迎える。
その妖精は水属性の1つ、氷の妖精であった。
全身が真っ白な美女であり、花魁が着るような派手な衣装に身を包んでいた。全身からは氷の吹雪を発しており、その氷の嵐がスカレットのスキルの影響を阻害しているようであった。
彼女は雪ん子を見るなり、『今日はどうしたの?』と尋ねる。
『いつもは送還で帰って来るのに、今日は歩いてここにまで来るだなんてびっくりよ。----雪ん子の世界へ』
そう、この場所こそ、雪ん子が召喚される前の、待機状態に当たる場所。
水妖精とは本来、水に関わる妖精の事を指すのだが、『氷属性も水属性の一種で所』という空海大地の雑な知識により、水妖精の世界がこのヨーロッパ国とまじりあう際に、氷属性の妖精の世界も巻き込まれてしまった。
雪ん子は雪の精の一種、よってこの場所こそが、冴島渉が雪ん子を呼び出す時に使っている世界なのである。
「《ピピッ……帰って来た》」
『相変わらずね、あなた。色々と成長は遂げても、会話能力がまるで高まっていない。本来ならその辺りも成長するはずよね? それとも、会話は成長する気配はないのかしら?』
「《…………》」
何も答えない雪ん子に対して、花魁が着るような服を着た美女はその反応を肯定と捉えた。
『分かっているわ、あなたはあの男から成長する力を手に入れた。しかしながら、雪ん子として成長する力を手に入れたから、会話能力が成長しないのよね?
雪ん子。それは雪の子供の妖精、もしくは妖怪と言っても良いわね。そして成長する力を手に入れたことで、あなたは"子供のまま"成長する事をシステムにより、強制された』
召喚獣は成長しない。その欠点を解決したのが、冴島渉の【召喚 レベルアップ可能】。
しかしそれは対象となる召喚獣のまま、成長させることを強いる能力だったのだ。
雪ん子は、成長する。
しかし、どんなに成長しても、雪ん子のまま。
雪女になるには、冴島渉がそうなるように進化させてくれないといけないのだ。
『あなたは、この世界で誰よりも強い。しかし、あなたは永遠に、自分の力だけで大人にはなれない。女にはなれない。ずーっと、女子のまま。
可愛そうよね? ただご主人様に、"大人の女にしてください"と言えない女子は』
「《ピピピッ……》」
『さぁ、やりましょう? あなたは既に分かっているはず。私が誰で、そしてレベルⅩになるにはどうすれば良いのかを』
花魁が着るような美女はそう言って、氷で剣を作って、雪ん子に向けて構える。
『我が名は雪女郎。そして、あなたがなりたがっている、氷属性の大人の女の姿』
(※)雪女郎
氷属性の妖怪型召喚獣にして、雪ん子の"ある可能性の姿"
雪女の別名であり、江戸時代では吉原遊郭の遊女が、紋日にあたる八朔(旧暦8月1日)に白無垢、もしくは白い小袖を着て客を迎えるという習慣の姿を指した呼び名でもある
冴島渉の召喚獣である雪ん子が、『彼の手を借りないと大人の女になれない』という、心の中で感じている想いが実体化した姿でもある
レベルⅩになるための試練
・自分と向き合え
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下手なメンズコーチでも、今時言わないような自分探しをクリアしないと、俺はどうやら最高峰のレベルⅩとやらになれないらしい。
レベルⅨになるための『世界を救え』よりも難しいこの問題に対して、ファイントが1つの提案をしてきた。
その提案とは、俺が召喚できるレベルアップ可能の召喚獣を全て召喚して、別のダンジョンに行っても良いかという提案だ。【召喚士】の俺なしによる召喚獣だけの遠征を、そうしても良いかと許可を求めてきたのだ。
正直、この世界で別のダンジョンに移動するという事は、絶望スカレットの影響を受けながら移動するという事だが、結界を使えば大丈夫らしく、都合よくマルガリータが便利なスキルを獲得していた。
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【微量にして最強なる毒】
……対象に毒を注入する。この毒を受けている間、あらゆる状態異常、およびステータス変更効果のあるスキルを無効化する
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このスキルは、あらゆる状態異常やステータス変更効果系統のスキル効果を無効化する。こちらのスキルの上昇効果のあるスキルが使えなくなってしまうのは痛いが、それ以上に絶望スカレットのスキル効果を無効化できるのは大きい。
毒状態ではあるモノの、ダメージは微々たるモノで、自然回復でも対処できるという点も大きかった。
雪ん子、ファイント、ココア、マルガリータ、そしてヘミングウェイにそれぞれ【微量にして最強なる毒】を注入して、俺は皆をダンジョンの外に出る事を許可したのであった。
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ダンジョンの外に出る事を許可された召喚獣達は分かれ、それぞれ別のダンジョンへと向かって行った。彼女達がそのダンジョンを目指した理由は、呼ばれたからだ。
言葉では説明できないが、誰かがここに来るように、彼女達を呼んでいたからこそ、それぞれ自分を呼んだダンジョンへと向かって行った。
そんな中、雪ん子はと言うと、ダンジョンではなく、ある国へと向かっていた。
その国の名は、"ヨーロッパ国"。
空海大地の雑な知識によって生み出された、本来は存在しないはずの国。
雪ん子が歩いていると、目的地が見えて来た。
そう、ヨーロッパ国は、ココアがいた吸血鬼の世界の他にも様々な世界が混ざり合っている。
天使の世界、ろくろ首の世界、幽霊達の世界、そして"水妖精の世界"。
『やぁ、お帰り』
水妖精達の領域で、1体の妖精が雪ん子を出迎える。
その妖精は水属性の1つ、氷の妖精であった。
全身が真っ白な美女であり、花魁が着るような派手な衣装に身を包んでいた。全身からは氷の吹雪を発しており、その氷の嵐がスカレットのスキルの影響を阻害しているようであった。
彼女は雪ん子を見るなり、『今日はどうしたの?』と尋ねる。
『いつもは送還で帰って来るのに、今日は歩いてここにまで来るだなんてびっくりよ。----雪ん子の世界へ』
そう、この場所こそ、雪ん子が召喚される前の、待機状態に当たる場所。
水妖精とは本来、水に関わる妖精の事を指すのだが、『氷属性も水属性の一種で所』という空海大地の雑な知識により、水妖精の世界がこのヨーロッパ国とまじりあう際に、氷属性の妖精の世界も巻き込まれてしまった。
雪ん子は雪の精の一種、よってこの場所こそが、冴島渉が雪ん子を呼び出す時に使っている世界なのである。
「《ピピッ……帰って来た》」
『相変わらずね、あなた。色々と成長は遂げても、会話能力がまるで高まっていない。本来ならその辺りも成長するはずよね? それとも、会話は成長する気配はないのかしら?』
「《…………》」
何も答えない雪ん子に対して、花魁が着るような服を着た美女はその反応を肯定と捉えた。
『分かっているわ、あなたはあの男から成長する力を手に入れた。しかしながら、雪ん子として成長する力を手に入れたから、会話能力が成長しないのよね?
雪ん子。それは雪の子供の妖精、もしくは妖怪と言っても良いわね。そして成長する力を手に入れたことで、あなたは"子供のまま"成長する事をシステムにより、強制された』
召喚獣は成長しない。その欠点を解決したのが、冴島渉の【召喚 レベルアップ可能】。
しかしそれは対象となる召喚獣のまま、成長させることを強いる能力だったのだ。
雪ん子は、成長する。
しかし、どんなに成長しても、雪ん子のまま。
雪女になるには、冴島渉がそうなるように進化させてくれないといけないのだ。
『あなたは、この世界で誰よりも強い。しかし、あなたは永遠に、自分の力だけで大人にはなれない。女にはなれない。ずーっと、女子のまま。
可愛そうよね? ただご主人様に、"大人の女にしてください"と言えない女子は』
「《ピピピッ……》」
『さぁ、やりましょう? あなたは既に分かっているはず。私が誰で、そしてレベルⅩになるにはどうすれば良いのかを』
花魁が着るような美女はそう言って、氷で剣を作って、雪ん子に向けて構える。
『我が名は雪女郎。そして、あなたがなりたがっている、氷属性の大人の女の姿』
(※)雪女郎
氷属性の妖怪型召喚獣にして、雪ん子の"ある可能性の姿"
雪女の別名であり、江戸時代では吉原遊郭の遊女が、紋日にあたる八朔(旧暦8月1日)に白無垢、もしくは白い小袖を着て客を迎えるという習慣の姿を指した呼び名でもある
冴島渉の召喚獣である雪ん子が、『彼の手を借りないと大人の女になれない』という、心の中で感じている想いが実体化した姿でもある
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