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第127話 恋は盲目
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剥ぎ取り作業が終わったのは夕方。まだ松明の必要はないが、標高が高い場所ということもあり、肌寒く感じるほどには気温が下がっていた。
終わったと言っても今日の分だけ。馬車に積み切れない残りの半分は、後日改めて回収することになった。
素材を盗む冒険者はそういない。他人の狩った獲物を盗むハイエナ行為は禁止されていないが、それは暗黙の了解であるのだ。
命を預ける者同士がパーティを組む。そこに評判も悪く、信用度の低い冒険者を入れるわけがない。
珍しい素材ほどすぐに足が付く。冒険者としてやっていくのならば、それはリスクが高すぎる行為である。
(……何やってんだ、アイツ……)
迷惑そうな表情を浮かべる白狐。その上ではシャーリーが奇怪な動きを見せていた。
それもそのはず。シャーリーは嬉しくて仕方がなかった。それを身体で表現しているのだ。
ワームから採れた素材。特にその外殻は通常の物とは違い格段に硬く、それでいてあり得ないほど軽かった。
それは剥ぎ取り作業をしていた全員が息を呑むほどだ。
(まさかの新素材! 絶対高いに決まってる! それを3人で山分けなんて夢みたい……)
それは、誰がどう見てもカネになる素材であった。
一攫千金を夢見る冒険者は多い。シャーリーもその内の1人と言っても差し支えないが、そうではなかった。
(この素材を売れば、九条に借りた金貨1000枚を返せるかも……)
そう思うと、シャーリーは込み上げてくる嬉しさを抑えきれなかった。
カネを返して縁を切りたいわけじゃない。それを返すことで対等の存在になれると推し測っていたのだ。
先行するのは素材を積んだ馬車。九条達を乗せた馬車は最後尾に位置していた。
今回はちゃんと馬が馬車を引いている。カネを渡した御者が討伐の話を聞きつけて駆けつけたのだ。
それは九条達を心配したのではなく、馬車が気になってのことである。
「あの……九条様……」
「ん? なんでしょう?」
時折立ち上がり、キョロキョロと落ち着かない様子のグレイス。それは徐々に激しさを増し、すでに挙動不審の領域だ。
「つかぬことをお聞きしますが、ボルグサン様はどちらに?」
「ああ。ボルグサンなら先に帰りましたよ」
「ええっ!?」
馬車に置いてあるのはその鎧だけ。すでに収納済みであった。
九条がそれをリビングアーマーとして維持するのは容易いが、バレるリスクを抱えてまで維持する理由はない。
「そうですか……。残念です……」
酷く落ち込むグレイス。少々悪いことをしたかと思い、九条は慰めの言葉をかけた。
「そう深く考えなくても大丈夫ですよ。……そうだ。何か言伝があれば伝えておきましょうか?」
それで丸く収まるだろうと、九条はそう思っていたのだが、そうではなかった。
「本当ですか!? ということはボルグサン様が何処にいるかご存知なんですよね?」
グレイスは身を乗り出し、九条の肩をがっちりと掴む。
「えっ……ええ。まぁ……」
「どこですか! 教えてください。どうしても直接お礼が言いたいんです!」
九条とバイスはその剣幕に唖然とし、次の言葉を出すまでに数秒の時間を要した。
「えっと……。俺が伝えるだけじゃダメなんですか?」
「ダメです!」
「ええぇぇ……」
ドン引きする九条ではあったが、グレイスの目は真剣そのもの。
とは言え、九条には何故そこまで直接言うことに拘るのかわからなかった。
(確かにボルグサンはグレイスさんを助けたが、それはパーティメンバーなら当たり前の行為だ。グレイスさんはボルグサンの事をフリー傭兵だと思っているはずだが……)
傭兵は仕事が終わればそれまでの関係だ。次に会う時は敵同士かもしれない。故に後腐れなく去るものだ。むしろ仕事以外で関わることを嫌う者は多い。
(それを知っていて、尚知りたいと言う事は……もしかしてバレたのか? バレてはいないが、疑われている可能性は大いにあるな……)
「ちょっと九条!」
馬車の外で一部始終を見ていたシャーリーは、ちょっと来いとでも言いたげに激しく手招きをしていた。
「すいませんグレイスさん。ちょっと失礼しますね」
九条は馬車から飛び降りると、コクセイに跨りシャーリーと並走する。
「どうした?」
「どうした? じゃないわよ。あれを見て何も気づかないの?」
シャーリーの視線の先にいるのは馬車の中のグレイスだが、九条には何のことだが見当もつかない。
グレイスはバイスに何かを必死に訴えているが、バイスは両手を振りお手上げとでも言いたげだ。
「グレイスのことか? それがどうかしたのか?」
「グレイスの目を見て、何も思わないのかって聞いてるの!」
「いや、すまん。言っている意味がわからないんだが……」
「はぁ、どんだけ鈍いのよ……。あの目は恋する乙女の目よ」
「……」
「…………」
「………………はぁ?」
数秒の間を置き、九条から情けない声が出た。
「グレイスがボルグサンに惚れてるってこと! まだわかんないの!?」
「はぁぁぁぁ? いやいや、まさか……」
九条はそれを踏まえたうえでグレイスの顔を覗き見るも、やはりそうには見えなかった。
(流石にそれはないだろう……。相手はリビングアーマーだぞ? ……いや、グレイスはリビングアーマーだとは知らないのだが、それでもちょっと無理がないか?)
リビングアーマーは喋らない。グレイスはボルグサンとは言葉すら交わしておらず、素顔さえ見ていないのだ。
(ただ一度、危機を救ったというだけで、恋に落ちるなんてこと……あるか? まぁ、執拗にボルグサンの居場所を聞こうとするその姿勢は、そう見えなくもないが……)
「その顔……。信じてないでしょ?」
「逆に聞くが、一度助けたくらいで、その……恋をする……なんてことになるか?」
「なる!」
九条はその自信が何処から来るのかと疑いの目を向けたが、シャーリーは力強く言い切った。
シャーリーだからこそ気付いたのだ。その自信は、自身の体験から導き出したもの。恋愛は理屈ではないのだ。
シャーリーは九条の横顔を見つつも、溜息をついた。
(こんなおっさんのどこがいいのか……。見た目から好きになる要素はないし、歳だって私より一回りも二回りも上。……そりゃぁノルディックよりは若いけど……)
そう思ってはいても、ある日を境に恋が芽生えることもある。
それに、それだけの根拠がシャーリーにはあった。シャーリーだけが知っているグレイスの置かれている境遇。
ノルディックのパーティと、九条のパーティの差。そのギャップと、最初から最後までボルグサンに守られていたという事実。
それは恋をするだけの動機に足りえるものであった。
「九条。だからちゃんとフォローしてあげなさいよ?」
「そんなこと言われてもなぁ……」
九条とシャーリーの会話は、馬車の音にかき消されグレイスには届いていない。
それでも九条は、馬車に乗るグレイスからの熱い視線を感じていた。それは、早く戻ってボルグサンの情報を出せと言わんばかりである。
(確かにリビングアーマーを作ったのは俺だが、産まれてこのかた恋愛経験のない俺にどうしろと言うのだ……。喋らないリビングアーマーを置いておけばそれで解決する問題でもないし、だからと言って本当の事を言う訳にもいかない……)
そこで九条に名案が浮かび、ポンっと手を叩いた。
「そうだ! どうせ中身はわからないんだから、適当な奴をボルグサンの中身に仕立て上げればいいんじゃないか?」
「……」
「冗談だ……」
シャーリーからの返事はない。その怪訝そうな顔つきは正解ではなさそうだと、九条は肩を落とした。
新たな難問に苦悩する九条であったが、何やら前の方が騒がしくなると、馬車は次第に速度を緩め、遂にはその足を止めた。前が詰まり進めなくなったのだ。
シャーリーと顔を見合わせるも、肩をすくめるということは、魔物関係ではないということ。
「ちょっと様子を見てくる」
「あっ、待って。私も行く」
九条を乗せたコクセイが一団の先頭まで進むと、そこには剥ぎ取り作業を手伝ってくれた冒険者達が背を向け、道を塞いでいた。
「どうした?」
「あっ、九条さん。それが……」
返事を聞くより見た方が早いとコクセイから降りた九条。その中へ割って入ると、そこで倒れていたのは、1頭の馬だ。
息も絶え絶え。恐らくかなりの距離を走ってきたであろうその馬に、九条は見覚えがあった。
「何があった!?」
声を荒げる九条。その声は冒険者達に発したのではなく、目の前の馬に対してだ。
後から来たシャーリーが目にしたのは、冒険者達を押しのけ飛び出して来た九条の姿。その凄まじい剣幕に圧倒され、一瞬とはいえ恐怖を覚えた。
シャーリーは一度九条を怒らせている。自分には金貨1000枚もの価値はない……と、不満を漏らした時、九条はシャーリーの胸ぐらを掴み怒鳴ったのだ。
しかし、シャーリーが今見たのはそれ以上であった。その憤怒は凄まじく、声なぞ掛けられるレベルではなかったのだ。
「その馬を一団に加えて、休息と食事を与えてやれ! 食べ物なら俺の馬車にある!」
九条は急ぎコクセイに跨ると、冒険者達に指示を出す。そして後ろへ向けて怒号を飛ばした。
「バイス!! 後を頼む!!」
返事を聞かずに走り出すコクセイ。それを聞いたワダツミは、撫でていたグレイスを跳ね除け、馬車から飛び降りるとそれを追った。
白狐も同様だ。急に走り出したコクセイと九条を追いかける。降りる暇もなかったシャーリーを乗せて……。
一体何が起きたのかと呆気に取られていたグレイスであったが、バイスはその前に立ちはだかると、グレイスの胸ぐらを掴み語気を荒げた。
「グレイス! 知ってることをすべて話せ!」
終わったと言っても今日の分だけ。馬車に積み切れない残りの半分は、後日改めて回収することになった。
素材を盗む冒険者はそういない。他人の狩った獲物を盗むハイエナ行為は禁止されていないが、それは暗黙の了解であるのだ。
命を預ける者同士がパーティを組む。そこに評判も悪く、信用度の低い冒険者を入れるわけがない。
珍しい素材ほどすぐに足が付く。冒険者としてやっていくのならば、それはリスクが高すぎる行為である。
(……何やってんだ、アイツ……)
迷惑そうな表情を浮かべる白狐。その上ではシャーリーが奇怪な動きを見せていた。
それもそのはず。シャーリーは嬉しくて仕方がなかった。それを身体で表現しているのだ。
ワームから採れた素材。特にその外殻は通常の物とは違い格段に硬く、それでいてあり得ないほど軽かった。
それは剥ぎ取り作業をしていた全員が息を呑むほどだ。
(まさかの新素材! 絶対高いに決まってる! それを3人で山分けなんて夢みたい……)
それは、誰がどう見てもカネになる素材であった。
一攫千金を夢見る冒険者は多い。シャーリーもその内の1人と言っても差し支えないが、そうではなかった。
(この素材を売れば、九条に借りた金貨1000枚を返せるかも……)
そう思うと、シャーリーは込み上げてくる嬉しさを抑えきれなかった。
カネを返して縁を切りたいわけじゃない。それを返すことで対等の存在になれると推し測っていたのだ。
先行するのは素材を積んだ馬車。九条達を乗せた馬車は最後尾に位置していた。
今回はちゃんと馬が馬車を引いている。カネを渡した御者が討伐の話を聞きつけて駆けつけたのだ。
それは九条達を心配したのではなく、馬車が気になってのことである。
「あの……九条様……」
「ん? なんでしょう?」
時折立ち上がり、キョロキョロと落ち着かない様子のグレイス。それは徐々に激しさを増し、すでに挙動不審の領域だ。
「つかぬことをお聞きしますが、ボルグサン様はどちらに?」
「ああ。ボルグサンなら先に帰りましたよ」
「ええっ!?」
馬車に置いてあるのはその鎧だけ。すでに収納済みであった。
九条がそれをリビングアーマーとして維持するのは容易いが、バレるリスクを抱えてまで維持する理由はない。
「そうですか……。残念です……」
酷く落ち込むグレイス。少々悪いことをしたかと思い、九条は慰めの言葉をかけた。
「そう深く考えなくても大丈夫ですよ。……そうだ。何か言伝があれば伝えておきましょうか?」
それで丸く収まるだろうと、九条はそう思っていたのだが、そうではなかった。
「本当ですか!? ということはボルグサン様が何処にいるかご存知なんですよね?」
グレイスは身を乗り出し、九条の肩をがっちりと掴む。
「えっ……ええ。まぁ……」
「どこですか! 教えてください。どうしても直接お礼が言いたいんです!」
九条とバイスはその剣幕に唖然とし、次の言葉を出すまでに数秒の時間を要した。
「えっと……。俺が伝えるだけじゃダメなんですか?」
「ダメです!」
「ええぇぇ……」
ドン引きする九条ではあったが、グレイスの目は真剣そのもの。
とは言え、九条には何故そこまで直接言うことに拘るのかわからなかった。
(確かにボルグサンはグレイスさんを助けたが、それはパーティメンバーなら当たり前の行為だ。グレイスさんはボルグサンの事をフリー傭兵だと思っているはずだが……)
傭兵は仕事が終わればそれまでの関係だ。次に会う時は敵同士かもしれない。故に後腐れなく去るものだ。むしろ仕事以外で関わることを嫌う者は多い。
(それを知っていて、尚知りたいと言う事は……もしかしてバレたのか? バレてはいないが、疑われている可能性は大いにあるな……)
「ちょっと九条!」
馬車の外で一部始終を見ていたシャーリーは、ちょっと来いとでも言いたげに激しく手招きをしていた。
「すいませんグレイスさん。ちょっと失礼しますね」
九条は馬車から飛び降りると、コクセイに跨りシャーリーと並走する。
「どうした?」
「どうした? じゃないわよ。あれを見て何も気づかないの?」
シャーリーの視線の先にいるのは馬車の中のグレイスだが、九条には何のことだが見当もつかない。
グレイスはバイスに何かを必死に訴えているが、バイスは両手を振りお手上げとでも言いたげだ。
「グレイスのことか? それがどうかしたのか?」
「グレイスの目を見て、何も思わないのかって聞いてるの!」
「いや、すまん。言っている意味がわからないんだが……」
「はぁ、どんだけ鈍いのよ……。あの目は恋する乙女の目よ」
「……」
「…………」
「………………はぁ?」
数秒の間を置き、九条から情けない声が出た。
「グレイスがボルグサンに惚れてるってこと! まだわかんないの!?」
「はぁぁぁぁ? いやいや、まさか……」
九条はそれを踏まえたうえでグレイスの顔を覗き見るも、やはりそうには見えなかった。
(流石にそれはないだろう……。相手はリビングアーマーだぞ? ……いや、グレイスはリビングアーマーだとは知らないのだが、それでもちょっと無理がないか?)
リビングアーマーは喋らない。グレイスはボルグサンとは言葉すら交わしておらず、素顔さえ見ていないのだ。
(ただ一度、危機を救ったというだけで、恋に落ちるなんてこと……あるか? まぁ、執拗にボルグサンの居場所を聞こうとするその姿勢は、そう見えなくもないが……)
「その顔……。信じてないでしょ?」
「逆に聞くが、一度助けたくらいで、その……恋をする……なんてことになるか?」
「なる!」
九条はその自信が何処から来るのかと疑いの目を向けたが、シャーリーは力強く言い切った。
シャーリーだからこそ気付いたのだ。その自信は、自身の体験から導き出したもの。恋愛は理屈ではないのだ。
シャーリーは九条の横顔を見つつも、溜息をついた。
(こんなおっさんのどこがいいのか……。見た目から好きになる要素はないし、歳だって私より一回りも二回りも上。……そりゃぁノルディックよりは若いけど……)
そう思ってはいても、ある日を境に恋が芽生えることもある。
それに、それだけの根拠がシャーリーにはあった。シャーリーだけが知っているグレイスの置かれている境遇。
ノルディックのパーティと、九条のパーティの差。そのギャップと、最初から最後までボルグサンに守られていたという事実。
それは恋をするだけの動機に足りえるものであった。
「九条。だからちゃんとフォローしてあげなさいよ?」
「そんなこと言われてもなぁ……」
九条とシャーリーの会話は、馬車の音にかき消されグレイスには届いていない。
それでも九条は、馬車に乗るグレイスからの熱い視線を感じていた。それは、早く戻ってボルグサンの情報を出せと言わんばかりである。
(確かにリビングアーマーを作ったのは俺だが、産まれてこのかた恋愛経験のない俺にどうしろと言うのだ……。喋らないリビングアーマーを置いておけばそれで解決する問題でもないし、だからと言って本当の事を言う訳にもいかない……)
そこで九条に名案が浮かび、ポンっと手を叩いた。
「そうだ! どうせ中身はわからないんだから、適当な奴をボルグサンの中身に仕立て上げればいいんじゃないか?」
「……」
「冗談だ……」
シャーリーからの返事はない。その怪訝そうな顔つきは正解ではなさそうだと、九条は肩を落とした。
新たな難問に苦悩する九条であったが、何やら前の方が騒がしくなると、馬車は次第に速度を緩め、遂にはその足を止めた。前が詰まり進めなくなったのだ。
シャーリーと顔を見合わせるも、肩をすくめるということは、魔物関係ではないということ。
「ちょっと様子を見てくる」
「あっ、待って。私も行く」
九条を乗せたコクセイが一団の先頭まで進むと、そこには剥ぎ取り作業を手伝ってくれた冒険者達が背を向け、道を塞いでいた。
「どうした?」
「あっ、九条さん。それが……」
返事を聞くより見た方が早いとコクセイから降りた九条。その中へ割って入ると、そこで倒れていたのは、1頭の馬だ。
息も絶え絶え。恐らくかなりの距離を走ってきたであろうその馬に、九条は見覚えがあった。
「何があった!?」
声を荒げる九条。その声は冒険者達に発したのではなく、目の前の馬に対してだ。
後から来たシャーリーが目にしたのは、冒険者達を押しのけ飛び出して来た九条の姿。その凄まじい剣幕に圧倒され、一瞬とはいえ恐怖を覚えた。
シャーリーは一度九条を怒らせている。自分には金貨1000枚もの価値はない……と、不満を漏らした時、九条はシャーリーの胸ぐらを掴み怒鳴ったのだ。
しかし、シャーリーが今見たのはそれ以上であった。その憤怒は凄まじく、声なぞ掛けられるレベルではなかったのだ。
「その馬を一団に加えて、休息と食事を与えてやれ! 食べ物なら俺の馬車にある!」
九条は急ぎコクセイに跨ると、冒険者達に指示を出す。そして後ろへ向けて怒号を飛ばした。
「バイス!! 後を頼む!!」
返事を聞かずに走り出すコクセイ。それを聞いたワダツミは、撫でていたグレイスを跳ね除け、馬車から飛び降りるとそれを追った。
白狐も同様だ。急に走り出したコクセイと九条を追いかける。降りる暇もなかったシャーリーを乗せて……。
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イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
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【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
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