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第147話 港湾都市ハーヴェスト
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盗賊達とのいざこざはあったものの、なんとか陽が落ちる前にハーヴェストの街へと辿り着いた。
スタッグ王国最大の港湾都市ハーヴェスト。その名の通り海の玄関口である。街の規模としてはベルモントより大きく、王都スタッグよりは小さいといったくらいだ。
他国との貿易が盛んにおこなわれている場所でもある為、そういう意味では商人達の街と言ってもいいだろう。
賑やかな街中を走る馬車。その後を追うようにコクセイに跨る俺。
街の人々の反応を窺う為なのだが、冷ややかな視線というよりコクセイの方を珍しがっているといった様子。
これならミアや従魔達との外出も、問題はなさそうだ。
「ミアとシャーリーは、従魔達を連れて宿を探しておいてくれ。俺はギルドの報告と、船の乗船手続きをしてくる」
「はーい」
街のあれこれは馬車の中で御者から色々と聞いておいた。ここからであれば、港よりギルドの方が近いはず。
というわけで、まずはギルドの顔出しからだ。街の人達をあまり刺激しないようにと俺はコクセイから降り、徒歩でギルドを目指す。
恐らくは街の一等地。そこに見えてきたのは、ギルドの看板を下げた大きな建物。その下に食堂だろう看板もぶら下がっているところを見ると、コット村と同様食堂も併設されている店舗なのだろう。と言っても、階層で分かれている訳ではなく、どちらかというと食堂がメインで、そこの一角をギルドが間借りしているといった感じだ。
時間的には仕事を終え、帰る前に一杯飲んで行こうといった雰囲気の冒険者達が大半。
そこにコクセイと足を踏み入れる。俺達に気が付き、騒がしかった店内がシンと静まり返るも、それは一瞬で元の賑やかさを取り戻す。
チラチラと視線を感じるものの、さほど気にはならないレベル。
気になったところと言えば、ギルドの依頼が張り付けてある掲示板の前で、それを見つめている場違いな子供がいることくらいだろうか。
ミアくらいの歳なら気にもならなかったのだろうが、後ろ姿と背の低さからもっと年下だろうことが窺える。
それに気を取られている間に、俺に近寄って来たのはギルドの制服に身を包んだ1人の女性。
「お待ちしていました。こちらのお席へどうぞ」
何故? とは思ったが、俺がグリムロックへ行くというのがギルド内に伝わっているのであれば、ここは通り道。来訪を知っていてもおかしくはない。
そして案内されたのは、すぐ近くの丸いテーブルだ。どうやら食堂と兼用らしい。
「今お飲み物をお持ちしますので、少々お待ちくださいませ」
そう言って、足早にカウンターへと戻って行くギルド職員。
「飲み物? サービスなのか?」
「さぁ?」
俺の独り言に首をかしげるコクセイ。ひとまず席に座ると、テーブルに置かれている2枚の紙に気が付いた。
食堂のメニューだと思っていたが、1枚は大きな字で予約席と書かれている物。そしてもう1枚は、小さな赤い札が付いたギルドの依頼用紙だ。
書いてある内容を読んでみると、なんとなくその理由が読めて来た。
『【緊急】ハーヴェスト~グリムロック航路に出没する魔物の討伐。要船舶。ゴールドプレート以上』
これを受注して欲しいのだろう。とは言え、要船舶はどう考えても無理である。
この依頼の為だけに船を買えと言っているようなものなのに、提示されている報酬は、魔物の討伐に使うレベルの船は買えない。
「お待たせしました」
先程のギルド職員が飲み物をテーブルに置くと、対面に座った。
俺は街に到着したことを報告しに来ただけ。依頼なんか受けるつもりはないし、プラチナが必要な緊急の案件以外、仕事はしない。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
鼻息も荒く、定型文を口にする職員の女性は、その勢いで依頼用紙を俺の方へ少しだけ寄せた。
言っている事とやっている事がちぐはぐだが、どれだけアピールしたところで無駄である。
「街に着いた報告をしに来ただけなんで」
それだけ言って立ち上がると、慌てだすギルド職員。
「あっ。あの……えっと。ちょっと待って下さい!」
「まだ何か?」
「えーっと……。えーっと……。私マリアっていいます」
「そうですか。これはご丁寧に。自分は九条です。よろしくお願いします。……では」
「あっ、ちょっと……」
それを尻目にギルドを出る。少し可哀想なことをしたとも思うが、やる気がないのに話を聞いてもしょうがない。見た感じプラチナ限定の依頼ではなかったようだし、他の人に頼めばいいのである。
こっちは時間が押しているのだ。腹も減ってきたし、港で乗船手続きをして宿に戻らなければならない。
その足で港を目指し歩き出すと、妙な違和感を覚えた。港に近づくにつれ、それは大きくなっていく。
港の様子が、御者に聞いていた話とは異なっていたからだ。
ハーヴェストでは、港の方が栄えていて歓楽街は人通りも多く、昼夜問わずスリ等にも注意が必要ですよ? と親切に教えてくれたのだが、逆に閑散としていく街の様相。
人通りはほぼゼロで、街の大通りだというのにほとんどの店が閉まっていたのである。
日暮れの近い時間帯ではあるが、閉店するにはまだ早い。乗船受付が閉まってはいないかと不安に駆られながらも、港へと辿り着いた。
潮風が冷たいが波は穏やか。夕陽が反射し、海がキラキラと輝いて見える。
辺り一面船だらけ。その大半がそれほど大きくはない木造の漁船で、奥の方には大きな旅客船も見える。だが、人の気配はまったくと言っていいほど感じない。
「遅すぎたのか? 誰もいないんだが?」
「いや、1人だけ……」
コクセイの視線の先には、赤く染まった海をジッと眺めている1人の男性。ガッシリとした体格の体育会系。腕に残る無数の傷跡。いわゆる海の男といった風貌である。
こういう場合は、地元民に聞くのが1番だ。
「こんにちは。少しお尋ねしたいのですが……」
「ん? ああ。旅客船なら暫く全便欠航だよ」
声を掛けた男性は、俺の心を読んだかの如くすぐに答えを返した。それは幾度となく言ってきた台詞のように流暢で、その表情は気だるげだ。
「えっ!? それってどういう……」
「冒険者なら知ってるだろ? 海に魔物が出るんだよ。それが収まらねぇと、船なんか出せねぇ。漁にもでれねぇし商売あがったりだよまったく……」
道理で港に活気がないわけである。ギルドでの魔物討伐依頼を薦められたのも、そういう経緯があるからなのだろう。
「どうにかして、グリムロックまで行きたいんですけど……」
「そう言われてもなぁ……。もうどこも船は出さねぇと思うぜ? 冒険者ならギルドの依頼から探してみたらどうだい? 商船だったら個人的に冒険者を護衛に付けて運航してるところもチラホラあるみたいだぜ?」
先程のこともあり、ギルドには顔を出しにくい。こんなことなら話だけでも聞いておくべきだったかと後悔した。
「船自体をレンタルすることは出来ませんか?」
「まぁ無理だろうな。途中魔物に襲われて船を壊されちゃたまったもんじゃねぇ。そもそも一緒に乗船してくれる航海士はいるのかい? いなきゃ死にに行くようなもんだ。やめときな」
もっともである。出来れば航海士。最低でも海に詳しい者が必要だろうことは、薄々わかっていた。
「他に何か方法はありませんか?」
「うーん。そうさなぁ……。後は1ヵ月後に来る武装商船団に頼み込んで乗せてもらうか、自分で船を買うくらいしかないんじゃねぇか? ……あっ、最後の手段だが、自分で泳ぐって手もあるかもな。ガハハ……」
最後は恐らく冗談だ。地図がどれくらいの縮尺で描かれているか知らないが、どう考えても泳ぎ切ることは出来ない距離なのは確か。
乗せてもらえるかもわからない船を1ヵ月待つよりは、ギルドに戻って商船の護衛依頼を探し、同乗させてもらう方が現実的だろう。
最悪、グリムロックは諦めて帰るという選択肢もある。俺の用事はあくまで鎧の修復だ。魔物騒ぎが落ち着いてから、また来ればいいだけ。
「ありがとうございます。突然すいませんでした」
「いいってことよ。気ぃつけてな」
全ての船が出航出来ないのであれば、ギルドに護衛依頼がある確率は高いはず。
もうすぐ日没だ。遅くなればミアとシャーリーが心配するかもしれない。そんなことを考えながら、ギルドへと舞い戻る羽目になった。
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他国との貿易が盛んにおこなわれている場所でもある為、そういう意味では商人達の街と言ってもいいだろう。
賑やかな街中を走る馬車。その後を追うようにコクセイに跨る俺。
街の人々の反応を窺う為なのだが、冷ややかな視線というよりコクセイの方を珍しがっているといった様子。
これならミアや従魔達との外出も、問題はなさそうだ。
「ミアとシャーリーは、従魔達を連れて宿を探しておいてくれ。俺はギルドの報告と、船の乗船手続きをしてくる」
「はーい」
街のあれこれは馬車の中で御者から色々と聞いておいた。ここからであれば、港よりギルドの方が近いはず。
というわけで、まずはギルドの顔出しからだ。街の人達をあまり刺激しないようにと俺はコクセイから降り、徒歩でギルドを目指す。
恐らくは街の一等地。そこに見えてきたのは、ギルドの看板を下げた大きな建物。その下に食堂だろう看板もぶら下がっているところを見ると、コット村と同様食堂も併設されている店舗なのだろう。と言っても、階層で分かれている訳ではなく、どちらかというと食堂がメインで、そこの一角をギルドが間借りしているといった感じだ。
時間的には仕事を終え、帰る前に一杯飲んで行こうといった雰囲気の冒険者達が大半。
そこにコクセイと足を踏み入れる。俺達に気が付き、騒がしかった店内がシンと静まり返るも、それは一瞬で元の賑やかさを取り戻す。
チラチラと視線を感じるものの、さほど気にはならないレベル。
気になったところと言えば、ギルドの依頼が張り付けてある掲示板の前で、それを見つめている場違いな子供がいることくらいだろうか。
ミアくらいの歳なら気にもならなかったのだろうが、後ろ姿と背の低さからもっと年下だろうことが窺える。
それに気を取られている間に、俺に近寄って来たのはギルドの制服に身を包んだ1人の女性。
「お待ちしていました。こちらのお席へどうぞ」
何故? とは思ったが、俺がグリムロックへ行くというのがギルド内に伝わっているのであれば、ここは通り道。来訪を知っていてもおかしくはない。
そして案内されたのは、すぐ近くの丸いテーブルだ。どうやら食堂と兼用らしい。
「今お飲み物をお持ちしますので、少々お待ちくださいませ」
そう言って、足早にカウンターへと戻って行くギルド職員。
「飲み物? サービスなのか?」
「さぁ?」
俺の独り言に首をかしげるコクセイ。ひとまず席に座ると、テーブルに置かれている2枚の紙に気が付いた。
食堂のメニューだと思っていたが、1枚は大きな字で予約席と書かれている物。そしてもう1枚は、小さな赤い札が付いたギルドの依頼用紙だ。
書いてある内容を読んでみると、なんとなくその理由が読めて来た。
『【緊急】ハーヴェスト~グリムロック航路に出没する魔物の討伐。要船舶。ゴールドプレート以上』
これを受注して欲しいのだろう。とは言え、要船舶はどう考えても無理である。
この依頼の為だけに船を買えと言っているようなものなのに、提示されている報酬は、魔物の討伐に使うレベルの船は買えない。
「お待たせしました」
先程のギルド職員が飲み物をテーブルに置くと、対面に座った。
俺は街に到着したことを報告しに来ただけ。依頼なんか受けるつもりはないし、プラチナが必要な緊急の案件以外、仕事はしない。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
鼻息も荒く、定型文を口にする職員の女性は、その勢いで依頼用紙を俺の方へ少しだけ寄せた。
言っている事とやっている事がちぐはぐだが、どれだけアピールしたところで無駄である。
「街に着いた報告をしに来ただけなんで」
それだけ言って立ち上がると、慌てだすギルド職員。
「あっ。あの……えっと。ちょっと待って下さい!」
「まだ何か?」
「えーっと……。えーっと……。私マリアっていいます」
「そうですか。これはご丁寧に。自分は九条です。よろしくお願いします。……では」
「あっ、ちょっと……」
それを尻目にギルドを出る。少し可哀想なことをしたとも思うが、やる気がないのに話を聞いてもしょうがない。見た感じプラチナ限定の依頼ではなかったようだし、他の人に頼めばいいのである。
こっちは時間が押しているのだ。腹も減ってきたし、港で乗船手続きをして宿に戻らなければならない。
その足で港を目指し歩き出すと、妙な違和感を覚えた。港に近づくにつれ、それは大きくなっていく。
港の様子が、御者に聞いていた話とは異なっていたからだ。
ハーヴェストでは、港の方が栄えていて歓楽街は人通りも多く、昼夜問わずスリ等にも注意が必要ですよ? と親切に教えてくれたのだが、逆に閑散としていく街の様相。
人通りはほぼゼロで、街の大通りだというのにほとんどの店が閉まっていたのである。
日暮れの近い時間帯ではあるが、閉店するにはまだ早い。乗船受付が閉まってはいないかと不安に駆られながらも、港へと辿り着いた。
潮風が冷たいが波は穏やか。夕陽が反射し、海がキラキラと輝いて見える。
辺り一面船だらけ。その大半がそれほど大きくはない木造の漁船で、奥の方には大きな旅客船も見える。だが、人の気配はまったくと言っていいほど感じない。
「遅すぎたのか? 誰もいないんだが?」
「いや、1人だけ……」
コクセイの視線の先には、赤く染まった海をジッと眺めている1人の男性。ガッシリとした体格の体育会系。腕に残る無数の傷跡。いわゆる海の男といった風貌である。
こういう場合は、地元民に聞くのが1番だ。
「こんにちは。少しお尋ねしたいのですが……」
「ん? ああ。旅客船なら暫く全便欠航だよ」
声を掛けた男性は、俺の心を読んだかの如くすぐに答えを返した。それは幾度となく言ってきた台詞のように流暢で、その表情は気だるげだ。
「えっ!? それってどういう……」
「冒険者なら知ってるだろ? 海に魔物が出るんだよ。それが収まらねぇと、船なんか出せねぇ。漁にもでれねぇし商売あがったりだよまったく……」
道理で港に活気がないわけである。ギルドでの魔物討伐依頼を薦められたのも、そういう経緯があるからなのだろう。
「どうにかして、グリムロックまで行きたいんですけど……」
「そう言われてもなぁ……。もうどこも船は出さねぇと思うぜ? 冒険者ならギルドの依頼から探してみたらどうだい? 商船だったら個人的に冒険者を護衛に付けて運航してるところもチラホラあるみたいだぜ?」
先程のこともあり、ギルドには顔を出しにくい。こんなことなら話だけでも聞いておくべきだったかと後悔した。
「船自体をレンタルすることは出来ませんか?」
「まぁ無理だろうな。途中魔物に襲われて船を壊されちゃたまったもんじゃねぇ。そもそも一緒に乗船してくれる航海士はいるのかい? いなきゃ死にに行くようなもんだ。やめときな」
もっともである。出来れば航海士。最低でも海に詳しい者が必要だろうことは、薄々わかっていた。
「他に何か方法はありませんか?」
「うーん。そうさなぁ……。後は1ヵ月後に来る武装商船団に頼み込んで乗せてもらうか、自分で船を買うくらいしかないんじゃねぇか? ……あっ、最後の手段だが、自分で泳ぐって手もあるかもな。ガハハ……」
最後は恐らく冗談だ。地図がどれくらいの縮尺で描かれているか知らないが、どう考えても泳ぎ切ることは出来ない距離なのは確か。
乗せてもらえるかもわからない船を1ヵ月待つよりは、ギルドに戻って商船の護衛依頼を探し、同乗させてもらう方が現実的だろう。
最悪、グリムロックは諦めて帰るという選択肢もある。俺の用事はあくまで鎧の修復だ。魔物騒ぎが落ち着いてから、また来ればいいだけ。
「ありがとうございます。突然すいませんでした」
「いいってことよ。気ぃつけてな」
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で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
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しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
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疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
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