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第546話 クジョーズブートキャンプ
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冒険者たちの襲撃から1週間。それを知らぬ村人も多い中、村は何事もなく平穏そのもの。
騎士達がいた頃のピリピリとした雰囲気もなく、悠々自適といった言葉が良く似合う。
増えた死体は当然アンデットとしてリサイクル。今日も村の防壁強化に大忙しだ。
「すまんな、カイエン。色々と手伝ってもらって」
「ガハハ! 気にするな。最早この村は俺達の第2の故郷! なんでも言ってくれ!」
立ち上がると見上げなければいけないほどの巨大な熊が、村の中心で豪快に笑う。
その足元には仲間達と共に、錆び付いた武器や汚れたプレートアーマーの数々が散乱していた。
それは、村に攻めてきた者達に加え、カイエンたちの巣に放置されていた物なのだが、俺が言って集めてもらっていたのだ。
現在、村は鉄不足。24時間365日休みなく働く作業員。それが100名以上ともなれば、素材の供給が追い付かないのは当然だ。
木材は潤沢、次点で石材。しかし、金属はそうじゃない。
そこで目を付けたのが、捨て置かれていた武具の数々。それらを再利用し防衛に役立てようという魂胆である。
近くに鉱山があればいいのだが、当然そんなものが都合よく見つかる訳もなく、それを見つける知識もない。
金属の買い付けは、武器屋のオヤジと防具屋のせがれに一任してはいるのだが、商人達も商売だ。
他との信用も考えれば、頑張ってくれている方ではあるが、需要には追い付いていないというのが現状であった。
「だが、いいのか? メナブレアのようにリビングアーマーとして活用した方が、防衛力は高い気がするのだが?」
「確かにカイエンの言う通りなんだが、制御できる数に限りがあるんだよ」
現在、リビングアーマーとして活動しているのは、ダンジョンに1体と村に3体。そして遠方で待機状態なのが1体の合計5体。
リビングアーマーを作り出すのは簡単だ。主亡き鎧に魂を吹き込むだけでいい。
だが、それだけでは見る者全てを敵として認識する殺戮兵器。
敵と味方の分別を付けるには、それだけのリソースが必要であり、それは無限ではない。
単純な命令かつ近距離であれば数十体は余裕だが、村人に加え商人までをも保護対象とするならば、正直言ってキャパオーバー。
ハーヴェストからの船便のほとんどが欠航という事態に、コット村を経由する商人達は爆増。通行料はガッポリだ。
彼等のおかげで村の資金は潤沢。それは、既に無視できるレベルを超えている。
そしてもう1つ。商人達には申し訳ないが、彼等には人質としての効果も期待しているのだ。
「九条殿、そろそろ約束の……」
「ああ、そうだったな。飯は食堂の裏に用意してある。もちろん仲間達の分もあるから好きなだけ食べてくれ」
「待ってました! さっきから美味そうな匂いが村に立ち込めていて、涎が止まらんのだ」
色々と手伝ってもらったお礼として、振舞う食事。
といっても、ギルドが撤退する前の従魔用飼料の在庫を放出するだけである。
恐らくグランスロードを除けば、その消費量はトップクラスであったであろうコット村支部。
新規登録用の水晶やプレートの在庫。神聖術の魔法書など、高価なものは粗方引き上げられてしまったが、従魔用飼料だけは残されていた。
「どうだ? 九条殿も一緒に」
「いや、誘ってくれるのはありがたいんだが、ダンジョンにも足を運ばないといけなくてな」
「そうか、魔王とやらも大変だな」
「まったくだ……」
好きでやっている訳じゃない――と、否定したいところではあるが、最早それすらもめんどくさくて、俺は適当な相槌を打ってダンジョンへと足を向けた。
――――――――――
カイエンの為にと拡張された村の連絡通路からダンジョンへ入ると、地下4階層付近でガチャガチャとけたたましい金属音が近づいて来る。
「くじょ……たすけ……」
「ようガロン。今日も頑張ってるな」
そのまま擦れ違い、走り去るガロン。
滴る汗は、まるでサウナにでも籠っているかのような量で、その顔は苦痛のせいか酷く歪んでいた。
次に会ったのは地下6層。
ゴブリン達に声をかけていると、通りすがりに聞こえてきた呻き声。
「コロ……コロシテ……」
「あぁ、もう少ししたらな」
片手を上げ、適当な返事を返しておく。
そのまま遠のいて行くガロンを見送りながらも玉座の間に辿り着くと、そこにいたのはミアとカガリ。
「おにーちゃん、おかえりぃ」
俺に気付いたミアがパタパタと駆け寄り、そのまま豪快なダイブ。
しかし、今の俺にはビクともしない。
「おにーちゃん、お腹締まってきたよね。前はちょっと出てたのに……」
それを確かめるかのように、ポンポンと俺の腹を叩くミア。
そんなミアに向かって、俺は得意気に胸を張った。
「これが超回復の効果だ」
「チョー回復? ってなに?」
「いっぱい運動すると、筋肉痛になるだろ? それは、筋肉が壊れてるからなんだ。それが治ると、以前より筋肉が増える。そのサイクルを、俺の世界では超回復と言っていて、それを何度も繰り返す事によって筋肉がムキムキになるんだ」
「あ! 筋トレの後、おにーちゃんが私に回復術を強請るのってそのため!?」
「正解だ」
見上げるミアの頭をわしゃわしゃと撫でる。
それは俺が、ガロンに行っている実験から得た知識。
108番との協議の結果、ガロンの身体をデュラハンとして活用するには、体格が少々物足りないという結論に達し、ガロンを鍛えることにしたのである。
そこで、ふと気が付いた。この世界の魔法、回復術であれば、超回復に必要な長い休息期間を短縮できるのではないかと。
ガロンの鎧をリビングアーマー化し、休みなく走らせる。当然回復術では、疲れまでは取れないが、破壊された筋組織は再生するのだ。
更には食事もしっかり与え続けた結果、足だけであれば既にノルディックを超える筋肉を獲得していた。
「そろそろ無限マラソン編は終わりにして、次は無限腕立て編の開始だな……」
足だけ筋肉ムキムキなので、見た目のバランスは壊滅的。
恐らくはもっと効率的な筋トレ法があるのだろうが、残念ながらスポーツに興味がない俺に、その知識はなかった。
騎士達がいた頃のピリピリとした雰囲気もなく、悠々自適といった言葉が良く似合う。
増えた死体は当然アンデットとしてリサイクル。今日も村の防壁強化に大忙しだ。
「すまんな、カイエン。色々と手伝ってもらって」
「ガハハ! 気にするな。最早この村は俺達の第2の故郷! なんでも言ってくれ!」
立ち上がると見上げなければいけないほどの巨大な熊が、村の中心で豪快に笑う。
その足元には仲間達と共に、錆び付いた武器や汚れたプレートアーマーの数々が散乱していた。
それは、村に攻めてきた者達に加え、カイエンたちの巣に放置されていた物なのだが、俺が言って集めてもらっていたのだ。
現在、村は鉄不足。24時間365日休みなく働く作業員。それが100名以上ともなれば、素材の供給が追い付かないのは当然だ。
木材は潤沢、次点で石材。しかし、金属はそうじゃない。
そこで目を付けたのが、捨て置かれていた武具の数々。それらを再利用し防衛に役立てようという魂胆である。
近くに鉱山があればいいのだが、当然そんなものが都合よく見つかる訳もなく、それを見つける知識もない。
金属の買い付けは、武器屋のオヤジと防具屋のせがれに一任してはいるのだが、商人達も商売だ。
他との信用も考えれば、頑張ってくれている方ではあるが、需要には追い付いていないというのが現状であった。
「だが、いいのか? メナブレアのようにリビングアーマーとして活用した方が、防衛力は高い気がするのだが?」
「確かにカイエンの言う通りなんだが、制御できる数に限りがあるんだよ」
現在、リビングアーマーとして活動しているのは、ダンジョンに1体と村に3体。そして遠方で待機状態なのが1体の合計5体。
リビングアーマーを作り出すのは簡単だ。主亡き鎧に魂を吹き込むだけでいい。
だが、それだけでは見る者全てを敵として認識する殺戮兵器。
敵と味方の分別を付けるには、それだけのリソースが必要であり、それは無限ではない。
単純な命令かつ近距離であれば数十体は余裕だが、村人に加え商人までをも保護対象とするならば、正直言ってキャパオーバー。
ハーヴェストからの船便のほとんどが欠航という事態に、コット村を経由する商人達は爆増。通行料はガッポリだ。
彼等のおかげで村の資金は潤沢。それは、既に無視できるレベルを超えている。
そしてもう1つ。商人達には申し訳ないが、彼等には人質としての効果も期待しているのだ。
「九条殿、そろそろ約束の……」
「ああ、そうだったな。飯は食堂の裏に用意してある。もちろん仲間達の分もあるから好きなだけ食べてくれ」
「待ってました! さっきから美味そうな匂いが村に立ち込めていて、涎が止まらんのだ」
色々と手伝ってもらったお礼として、振舞う食事。
といっても、ギルドが撤退する前の従魔用飼料の在庫を放出するだけである。
恐らくグランスロードを除けば、その消費量はトップクラスであったであろうコット村支部。
新規登録用の水晶やプレートの在庫。神聖術の魔法書など、高価なものは粗方引き上げられてしまったが、従魔用飼料だけは残されていた。
「どうだ? 九条殿も一緒に」
「いや、誘ってくれるのはありがたいんだが、ダンジョンにも足を運ばないといけなくてな」
「そうか、魔王とやらも大変だな」
「まったくだ……」
好きでやっている訳じゃない――と、否定したいところではあるが、最早それすらもめんどくさくて、俺は適当な相槌を打ってダンジョンへと足を向けた。
――――――――――
カイエンの為にと拡張された村の連絡通路からダンジョンへ入ると、地下4階層付近でガチャガチャとけたたましい金属音が近づいて来る。
「くじょ……たすけ……」
「ようガロン。今日も頑張ってるな」
そのまま擦れ違い、走り去るガロン。
滴る汗は、まるでサウナにでも籠っているかのような量で、その顔は苦痛のせいか酷く歪んでいた。
次に会ったのは地下6層。
ゴブリン達に声をかけていると、通りすがりに聞こえてきた呻き声。
「コロ……コロシテ……」
「あぁ、もう少ししたらな」
片手を上げ、適当な返事を返しておく。
そのまま遠のいて行くガロンを見送りながらも玉座の間に辿り着くと、そこにいたのはミアとカガリ。
「おにーちゃん、おかえりぃ」
俺に気付いたミアがパタパタと駆け寄り、そのまま豪快なダイブ。
しかし、今の俺にはビクともしない。
「おにーちゃん、お腹締まってきたよね。前はちょっと出てたのに……」
それを確かめるかのように、ポンポンと俺の腹を叩くミア。
そんなミアに向かって、俺は得意気に胸を張った。
「これが超回復の効果だ」
「チョー回復? ってなに?」
「いっぱい運動すると、筋肉痛になるだろ? それは、筋肉が壊れてるからなんだ。それが治ると、以前より筋肉が増える。そのサイクルを、俺の世界では超回復と言っていて、それを何度も繰り返す事によって筋肉がムキムキになるんだ」
「あ! 筋トレの後、おにーちゃんが私に回復術を強請るのってそのため!?」
「正解だ」
見上げるミアの頭をわしゃわしゃと撫でる。
それは俺が、ガロンに行っている実験から得た知識。
108番との協議の結果、ガロンの身体をデュラハンとして活用するには、体格が少々物足りないという結論に達し、ガロンを鍛えることにしたのである。
そこで、ふと気が付いた。この世界の魔法、回復術であれば、超回復に必要な長い休息期間を短縮できるのではないかと。
ガロンの鎧をリビングアーマー化し、休みなく走らせる。当然回復術では、疲れまでは取れないが、破壊された筋組織は再生するのだ。
更には食事もしっかり与え続けた結果、足だけであれば既にノルディックを超える筋肉を獲得していた。
「そろそろ無限マラソン編は終わりにして、次は無限腕立て編の開始だな……」
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