46 / 64
二章 士官学校
授業のはじまり③
しおりを挟む「失礼します」
昼休みに色々と聞いていたからか、ジェイデンは少し緊張しながら魔法学の教室へと足を踏み入れた。
教室は静かだった。
ここには、ジェイデンとルイスしかいない。
他の生徒は、試練場でそれぞれのペアと魔力操作の続きをしている。
他の教師が数人、目付と救護役で彼らに付いていた。
「さて。まずは今の君の魔力量と属性について把握させてもらおうかな」
「はい」
ルイスに促されて、人の顔ほどもある巨大な宝珠の前に立つ。
「これは魔力を測る魔道具。手を乗せるだけでいいよ」
淡く光る水晶のような宝珠だ。
言われるままに、腕を伸ばして手を置く。
つるりとした表面からひんやりとした冷たさが手のひらに伝わってきたが、すぐに体温に馴染んで暖かく感じた。
「属性を鑑定するから、しばらく手を置いていて」
どうやら属性鑑定の魔道具らしい。
光の大きさで、魔力量も簡易的にみることができる。
「…ふむ。五大属性魔法はどれも会得済みか。さすが公爵家だね」
高位貴族は、その血ゆえに生まれながらにして魔力が高く、使える属性も多い。
宝珠を覗きこみながらルイスが鑑定結果の説明を始めた。
「後は雷魔法の素質がある。まだ使えてはいないようだけど、訓練次第ではできるようになるだろう。後は…」
「え、雷魔法が使えるんですか?!」
ジェイデンが驚いて聞き返したことで、ルイスの言葉を遮ってしまった。
反射的に大きな声を出してしまってから、慌てて我に返る。
「すみません、びっくりして…。あの、母方の家系が雷魔法を使うので」
「ああ、アルトワ家の雷魔法か」
「はい。私はこれまで全く使えなかったので、素質がないものと思っていました」
ルイスは驚くジェイデンから宝珠に視線を戻した。
宝珠をジェイデンの反対側から操作して、より具体的な鑑定結果を口にする。
「君は五大属性の中でも、風魔法が強すぎるみたいだ。魔力量の底上げをして、他の属性もバランスよく伸ばせば雷魔法も使えるようになるだろう」
そう指摘されて、ジェイデンはなるほどと納得した。
ルーが得意な風魔法に合わせた連携を取っていたこともあり、ここ数年は風魔法の威力ばかりが伸びていた自覚はあった。
「そういえば君の母上は、雷魔法の使い手では当時王国一と言われていたね」
ルイスの言葉に、宝珠に落としていた視線を上げる。
ひと時の間を置いて、コクリと頷いた。
ジェイデンはこれまでに雷魔法が使える予感が全く無く、てっきり素質自体がないものと思っていた。
アルトワ家の直系はもうジェイデン以外は絶えている。
自分以外に雷魔法を使える可能性のある者は少ない。母や祖父が得意としていたという雷魔法への憧れは幼い頃から持っていた。
「雷魔法は素質があっても、魔力量が桁違いに多い者にしか使えない。君はその歳にしては魔力量が多いようだけど、今のままでは足りないだろう」
「では、どうすれば…」
淡々と説明するルイスに、ジェイデンは焦りの滲んだ顔を向ける。
ルイスは彼の視線を正面から受け止め、くすりと口元を綻ばせた。
「他の生徒と同じように訓練を積むことだね。まだ十五だろう、伸び代はあるはずだ」
安心させるように、ルイスが柔らかい笑顔を向ける。
「はい。頑張ります」
ジェイデンの手の下の宝珠は、彼の素質を祝福するように様々な色の光が渦を描くように輝いていた。
385
あなたにおすすめの小説
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
当て馬だった公爵令息は、隣国の王太子の腕の中で幸せになる
蒼井梨音
BL
箱入り公爵令息のエリアスは王太子妃候補に選ばれる。
キラキラの王太子に初めての恋をするが、王太子にはすでに想い人がいた・・・
僕は当て馬にされたの?
初恋相手とその相手のいる国にはいられないと留学を決意したエリアス。
そして、エリアスは隣国の王太子に見初められる♡
(第一部・完)
第二部・完
『当て馬にされた公爵令息は、今も隣国の王太子に愛されている』
・・・
エリアスとマクシミリアンが結ばれたことで揺らぐ魔獣の封印。再び封印を施すために北へ発つ二人。
しかし迫りくる瘴気に体調を崩してしまうエリアス……
番外編
『公爵令息を当て馬にした僕は、王太子の胸に抱かれる』
・・・
エリアスを当て馬にした、アンドリューとジュリアンの話です。
『淡き春の夢』の章の裏側あたりです。
第三部
『当て馬にされた公爵令息は、隣国の王太子と精霊の導きのままに旅をします』
・・・
精霊界の入り口を偶然見つけてしまったエリアスとマクシミリアン。今度は旅に出ます。
第四部
『公爵令息を当て馬にした僕は、王太子といばらの初恋を貫きます』
・・・
ジュリアンとアンドリューの贖罪の旅。
第五部(完)
『当て馬にした僕が、当て馬にされた御子さまに救われ続けている件』
・・・
ジュリアンとアンドリューがついに結婚!
そして、新たな事件が起きる。
ジュリアンとエリアスの物語が一緒になります。
S S
不定期でマクシミとエリアスの話をあげてます。
この2人はきっといつまでもこんな感じなんだと思います。
エリアス・アーデント(公爵令息→王太子妃)
マクシミリアン・ドラヴァール(ドラヴァール王国の王太子)
♢
アンドリュー・リシェル(ルヴァニエール王国の王太子→国王)
ジュリアン・ハートレイ(伯爵令息→補佐官→王妃)
※扉絵のエリアスを描いてもらいました
※本編はしばらくお休みで、今は不定期に短い話をあげてます。
悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る
桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。
【第二章開始】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する
とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。
「隣国以外でお願いします!」
死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。
彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。
いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。
転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。
小説家になろう様にも掲載しております。
※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる