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「……そりゃあ、おめぇ、その商店にはアガリを何割かを入れる約束だったんだろう?同じように、ここら一帯をシメているウチの組にもアガリを入れるってのが道理ってもんだ。そうしたら、こっちもケースバイケースで、おめぇが何かトラブったら護ってやるよ。それがこの世界の常識ってもんだ」
「知るか、そんなの。ボコボコに殴りやがって、おかげでこっちは満身創痍だ。警察に訴えられたくなかったら、慰謝料くらい払いやがれ! 」
聖の言い草に、その場に控えていた男達がカッと反応した。
「何、この……! 」
だが、
「ハハハハハ! 小僧、おめぇ面白れぇヤツだなぁ」
正弘の愉快そうな笑い声に、男達は出ばなをくじかれる。
「普通、こんなおっかない男共に囲まれたら、震えあがって泣いちまうもんだぜ? おめぇは怖くねぇのかい? 」
「――ああ、怖くはないね」
「ほぉ? 」
「どうせ、どんなに悪くったって、たかが死ぬだけだろう? そんなの今更怖くねぇよ」
故郷には、いい思い出など一つもない。
聖は、この世に生を受けてから、誰にも愛される事なく顧みられる事もなく、苦難と苦痛の中で育った。
いや、唯一『愛』と呼べる出来事は、本当に、たったの一度だけ――――しかしそれもまた、見失ってしまった。
施設を飛び出したのは十三の冬だ。
それから彷徨い続け、十五の春、この東京へやって来た。
「たかが死ぬだけ、だと? 小僧の分際で、世の中全てを知っているような口を利くじゃあねぇか」
「だけど、そうだろうが? どいつもこいつも見ないふりして誤魔化してやがるが、どんな金持ちだろうと偉いヤツだろうと結局は死ぬんだ。だったら、今死ぬのも、ジジィになってから死ぬのも同じだろうが」
「それじゃあ、ここでオレがおめぇを殺しても文句はねぇってのかい? 」
正弘の皮肉に、聖は吠える。
「オレは、野垂れ死んでも構わない! だが、意味のない生き方はゴメンだ!! 」
そう吐き捨てると、聖は身体に巻き付けていたシーツを一気に剥ぎ取った!
そして、それを振り回し、周りの男達の視界を一瞬だけ撹乱する。
「っ!?」
突然の不意打ちに、男達の反応が遅れる。
聖はそのままシーツを男達の頭上へ放り投げると、低い姿勢を取り、脱兎のようにその場を駆け出した。
裸だどうだと、この際そんなのはどうでもいい。
とにかく、今は逃げるのが先だ!
だが……
「やれやれ、おめぇを捕まえるのはこれで三度目だぜ」
正弘の腕の中、またしても聖は捕らえられる。
「くっそ! 離せ!! 」
すかさず膝蹴りを繰り出そうとする少年に手を焼き、さすがの正弘も激高する。
「いい加減にしねぇか! オレぁ別に、おめぇをとって食いやしねぇよっ」
「親分!? 」
「頭っ! 」
周囲の男達が慌てて、聖を引き離そうとするが。
「こいつには、オレの退屈しのぎの相手をしてもらう。いい手慰みになりそうだ。小僧、おめぇの名前は何てんだい? 」
逃げられぬと悟り、聖はギリギリと歯軋りをするような面持ちで答える。
「――――聖だ」
「そんなツラするない。せっかくの別嬪が台無しになっちまうぜぃ」
そう嘯くと、正弘は本当に愉快そうに笑った。
「知るか、そんなの。ボコボコに殴りやがって、おかげでこっちは満身創痍だ。警察に訴えられたくなかったら、慰謝料くらい払いやがれ! 」
聖の言い草に、その場に控えていた男達がカッと反応した。
「何、この……! 」
だが、
「ハハハハハ! 小僧、おめぇ面白れぇヤツだなぁ」
正弘の愉快そうな笑い声に、男達は出ばなをくじかれる。
「普通、こんなおっかない男共に囲まれたら、震えあがって泣いちまうもんだぜ? おめぇは怖くねぇのかい? 」
「――ああ、怖くはないね」
「ほぉ? 」
「どうせ、どんなに悪くったって、たかが死ぬだけだろう? そんなの今更怖くねぇよ」
故郷には、いい思い出など一つもない。
聖は、この世に生を受けてから、誰にも愛される事なく顧みられる事もなく、苦難と苦痛の中で育った。
いや、唯一『愛』と呼べる出来事は、本当に、たったの一度だけ――――しかしそれもまた、見失ってしまった。
施設を飛び出したのは十三の冬だ。
それから彷徨い続け、十五の春、この東京へやって来た。
「たかが死ぬだけ、だと? 小僧の分際で、世の中全てを知っているような口を利くじゃあねぇか」
「だけど、そうだろうが? どいつもこいつも見ないふりして誤魔化してやがるが、どんな金持ちだろうと偉いヤツだろうと結局は死ぬんだ。だったら、今死ぬのも、ジジィになってから死ぬのも同じだろうが」
「それじゃあ、ここでオレがおめぇを殺しても文句はねぇってのかい? 」
正弘の皮肉に、聖は吠える。
「オレは、野垂れ死んでも構わない! だが、意味のない生き方はゴメンだ!! 」
そう吐き捨てると、聖は身体に巻き付けていたシーツを一気に剥ぎ取った!
そして、それを振り回し、周りの男達の視界を一瞬だけ撹乱する。
「っ!?」
突然の不意打ちに、男達の反応が遅れる。
聖はそのままシーツを男達の頭上へ放り投げると、低い姿勢を取り、脱兎のようにその場を駆け出した。
裸だどうだと、この際そんなのはどうでもいい。
とにかく、今は逃げるのが先だ!
だが……
「やれやれ、おめぇを捕まえるのはこれで三度目だぜ」
正弘の腕の中、またしても聖は捕らえられる。
「くっそ! 離せ!! 」
すかさず膝蹴りを繰り出そうとする少年に手を焼き、さすがの正弘も激高する。
「いい加減にしねぇか! オレぁ別に、おめぇをとって食いやしねぇよっ」
「親分!? 」
「頭っ! 」
周囲の男達が慌てて、聖を引き離そうとするが。
「こいつには、オレの退屈しのぎの相手をしてもらう。いい手慰みになりそうだ。小僧、おめぇの名前は何てんだい? 」
逃げられぬと悟り、聖はギリギリと歯軋りをするような面持ちで答える。
「――――聖だ」
「そんなツラするない。せっかくの別嬪が台無しになっちまうぜぃ」
そう嘯くと、正弘は本当に愉快そうに笑った。
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