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「ええ、そうですね。今のこのご時世でしょう?関西でも、土地転がしで幾らでも儲けが出ていますよ。カネなんざ、唸るほどあるってもんです。だから今は、それ以外に付加価値がないと、中々ねぇ――今まで袖にされてきたって恨みもあるし、幹部たちも重い腰を上げないんじゃないですかね? 」
「つまり、そちらさんは独自で関東に切り込む、と? 」
「ハハハ、鼻息の荒い連中ってのは、どこにでもいるもんですよ。反対に、関東に最初から根を張っている地回りと手を組んだ方が、勢力を拡大できると考えている幹部もいるようですが」
「――我々としては、その幹部の方との橋渡しを……以前から言っている通りに、是非とも東堂さんにお願いしたいんですがね」
「それは、まぁ。場合によっては、ですね」
「とりあえずカネも、用意してます」
竜真の合図に、控えていた黒服がサッとジェラルミンケースを出す。
開くと、札束がギッシリと詰まっていた。
だが、東堂は興味のない様子でグラスを呷りながら、せせら笑う。
「カネはね、私もそれなりに持ってますからねぇ~」
――――やはり、この男はカネではなく色で動くタイプか。
予想した通りの答えに、竜真は内心でホッと溜め息をつく。
それでも一応、違う誘いも掛けてみる。
「……東堂さんの両隣含め、この店の綺麗どころ全員連れて、ホテルで楽しい遊びをなさっても構いませんが」
すると、東堂は少し考える様子で周囲のホステスを見たが、結局、首を振った。
「私もね、これで好みがうるさいんですよ」
――――知っている。
探偵まで使って、東堂の性癖を調べさせたのだ。
だから、この為に、あいつを散々脅して賺して連れてきた。
(カネだけじゃあ、動かないってのはあいつも同じだが――この東堂とは、ずいぶんと違う理由だったがな……)
最初は、盃事のカネは自分で用意するものだと、圧力をかけた。
だが、本当に自前でカネを用意できそうな様子だったので(正弘の元での実績を知っている者が、投資したがったのだ)慌てて作戦を変えた。
あいつの、『心』の方を利用する事にしたのだ。
半年間、正弘と同じ屋根の下に住み、凍てついていたその心が、柔らかく優しくなったのを知っている。
――――その、心の弱みを握り、追い詰めた。
竜真は、また手下に目線で合図をすると、ニッコリと微笑みを浮かべた。
「いやはや、やはり東堂さんには、こちらも極上の代物を用意しなけりゃあダメのようだ」
「ふん。関西でもね、私の好みに合うような人形は滅多にいなかったんですよ。大都会東京ならね、それも叶うかなと思ったんですが……どうやら無駄だったみたいですねぇ」
そう言うと、東堂はソファーから身を起こそうとした。
しかし、その動作がピタリと止まる。
クラブの奥から、黒服の男に連れられ現れた人物の姿が、目に入ったからだ。
目の覚めるような真っ白の無地に、大きく椿が描かれた友禅が色鮮やかである。
――――しかし、それ以上に目を引くのは、その人物の美しさだ。
女物の着物を着ているが、少女ではなく少年であるのは一見して分かる。
甘さの一切無い、その切れ長の瞳は懐剣のような鋭さを秘めており、強く高潔な意思を感じる。
この、ダイヤモンドのように綺麗でプライドの高そうな少年を前にして、東堂は今まで感じた事のない程の興奮を覚えた。
「こ、この子は――? 」
声を震わせながら、東堂はギラついた眼で竜真を振り返る。
すると、竜真はニッコリと笑って口を開いた。
「東堂さんの為に用意した、特別の人形ですよ」
そのセリフを聞き、少年は――――聖は、強く唇を噛んだ。
「つまり、そちらさんは独自で関東に切り込む、と? 」
「ハハハ、鼻息の荒い連中ってのは、どこにでもいるもんですよ。反対に、関東に最初から根を張っている地回りと手を組んだ方が、勢力を拡大できると考えている幹部もいるようですが」
「――我々としては、その幹部の方との橋渡しを……以前から言っている通りに、是非とも東堂さんにお願いしたいんですがね」
「それは、まぁ。場合によっては、ですね」
「とりあえずカネも、用意してます」
竜真の合図に、控えていた黒服がサッとジェラルミンケースを出す。
開くと、札束がギッシリと詰まっていた。
だが、東堂は興味のない様子でグラスを呷りながら、せせら笑う。
「カネはね、私もそれなりに持ってますからねぇ~」
――――やはり、この男はカネではなく色で動くタイプか。
予想した通りの答えに、竜真は内心でホッと溜め息をつく。
それでも一応、違う誘いも掛けてみる。
「……東堂さんの両隣含め、この店の綺麗どころ全員連れて、ホテルで楽しい遊びをなさっても構いませんが」
すると、東堂は少し考える様子で周囲のホステスを見たが、結局、首を振った。
「私もね、これで好みがうるさいんですよ」
――――知っている。
探偵まで使って、東堂の性癖を調べさせたのだ。
だから、この為に、あいつを散々脅して賺して連れてきた。
(カネだけじゃあ、動かないってのはあいつも同じだが――この東堂とは、ずいぶんと違う理由だったがな……)
最初は、盃事のカネは自分で用意するものだと、圧力をかけた。
だが、本当に自前でカネを用意できそうな様子だったので(正弘の元での実績を知っている者が、投資したがったのだ)慌てて作戦を変えた。
あいつの、『心』の方を利用する事にしたのだ。
半年間、正弘と同じ屋根の下に住み、凍てついていたその心が、柔らかく優しくなったのを知っている。
――――その、心の弱みを握り、追い詰めた。
竜真は、また手下に目線で合図をすると、ニッコリと微笑みを浮かべた。
「いやはや、やはり東堂さんには、こちらも極上の代物を用意しなけりゃあダメのようだ」
「ふん。関西でもね、私の好みに合うような人形は滅多にいなかったんですよ。大都会東京ならね、それも叶うかなと思ったんですが……どうやら無駄だったみたいですねぇ」
そう言うと、東堂はソファーから身を起こそうとした。
しかし、その動作がピタリと止まる。
クラブの奥から、黒服の男に連れられ現れた人物の姿が、目に入ったからだ。
目の覚めるような真っ白の無地に、大きく椿が描かれた友禅が色鮮やかである。
――――しかし、それ以上に目を引くのは、その人物の美しさだ。
女物の着物を着ているが、少女ではなく少年であるのは一見して分かる。
甘さの一切無い、その切れ長の瞳は懐剣のような鋭さを秘めており、強く高潔な意思を感じる。
この、ダイヤモンドのように綺麗でプライドの高そうな少年を前にして、東堂は今まで感じた事のない程の興奮を覚えた。
「こ、この子は――? 」
声を震わせながら、東堂はギラついた眼で竜真を振り返る。
すると、竜真はニッコリと笑って口を開いた。
「東堂さんの為に用意した、特別の人形ですよ」
そのセリフを聞き、少年は――――聖は、強く唇を噛んだ。
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