367 / 604

第367話【町作り開始】

しおりを挟む
まずは新スキルの報告です。

今回シロナガスワニクジラを倒して覚えた新スキルは二つですわん。

一つ目は──。

【水泳スキル。泳ぐ技能が向上する】

はい、まあ今回は水に浸かりましたからね。

無いよりましなスキルだわ。

さて、二つ目は──。

【パッシブ・クロスボウマスタリー。弩系武器の戦闘技術が向上】

あー、これはクロスボウ系の初級なのかな。

バリスタをガンガン撃ってたら大型弩系のマスタリーを覚えるのかな?

でも、そうそうバリスタなんて撃つことは無いぞ。

まあ、いいか~。

「おーい、アスラーン。そろそろ昼飯だぞ~」

俺が石橋の上でまったりしていると、下からゴリが声を掛けてきた。

「おう、今行くぜ」

ゴリはバイマンと一緒にシロナガスワニクジラをバラして焼き肉を調理していた。

シロナガスワニクジラを解体しているのは二人だけじゃあない。

今日の水辺は騒がしい。

沢山の人々が転送絨毯で、こちら側にやって来ていた。

ソドムタウンで普段は屋台を出しているオヤジたちも加わってシロナガスワニクジラを解体しているのだ。

解体を手伝ってもらう代わりにワニ肉を分けてやることになっている。

ウィンウィンってことである。

これでしばらくソドムタウンの名物はワニ料理になるだろう。

「ゴリ、だいぶ解体が進んだな」

「ほら、アスランお前さんの分だ。早く食べろ」

ゴリが皿に山盛りになったワニの焼き肉を差し出す。

俺はそれを受けとりながら言った。

「犬肉料理の次はワニ肉料理か……」

「大量に有るんだ。食べないと罰当たりだぜ」

ゴリの言う通りだろう。

狩るだけ狩って終わりでは、狩られたほうが可愛そうだ。

食うも供養だ。

だから食ってやるよ。

俺はゴリたちと一緒のテーブルでワニ肉を頬張った。

バイマンが森のほうを見ながら言う。

「彼らは食べないのか?」

「エルフは肉を食わんよ。あいつらはベジタリアンだからな」

「あれでベジタリアンか……」

俺たちが森のほうを見れば、数人のエルフたちが斧を持って木を斬り倒していた。

「本当にあれでエルフなんですかね……」

バイマンが疑うのも仕方ないだろう。

森で木を薙ぎ倒しているのは破極道山やアンドレアたちだ。

エルフなのに水辺でシロナガスワニクジラをさばいている人間たちよりも巨漢なのだから。

「ここのエルフは可笑しいんだよ。まあ、気にすんな。容姿は怖いが悪人ではないからよ」

それにしてもエルフたちにも助かっている。

とりあえず石橋の側を切り開いてエルフの村まで道を作ってくれるそうだ。

そして切り開いた際に出る丸太で家を作る予定である。

向こうも魔王城と道が繋がり、こちらは木材が手に入る。

ウィンウィンってことだ。

しみじみとゴリが言う。

「アスラン。いよいよ町作りが始まったな」

「まあ、まずは俺が住めればいいんだ。まだ魔王城内の清掃が済んでないからな」

「アインシュタイン曰く、闇の王妃だっけ?」

俺は湖の中央に建つ魔王城を眺めながら言う。

「気配からして霊体は一体だけじゃあなさそうなんだ」

「たくさんアンデッドが巣くってるのか?」

「おそらくな」

ゴリが自分の胸を叩いてから言った。

「まあ、家の建築は俺に任せろ。お前は冒険を楽しめ」

「サンキュー」

そんな感じで俺たちが昼食を食べていると、転送絨毯が敷かれたテントからテンパのオヤジが出て来る。

キョロキョロと辺りを見回してから俺を見つけると、こちらに駆け寄って来た。

その手には丸められた大きめな羊皮紙を持っている。

「おおう、居た居た。アスラン殿~」

駆け寄るテンパオヤジを見ながらゴリが俺の耳元に口を寄せて訊いてきた。

「あのテンパオヤジは誰だ?」

「名前は忘れたが、君主のポラリスが連れて来たホモ野郎だ」

「へー、男食家なんだ……。こわ……」

「ゴリはそっち系にはモテそうだから気をつけろよ」

「いやいやアスランほどじゃあないぞ」

「えっ、マジ……」

そして俺の前に立ったテンパオヤジが言った。

「何か良からぬ話をしていそうだな……」

感がいいな、こいつ。

テンパは伊達じゃあ無さそうだ。

あのテンパには、何かを感知する機能が付いているのだろう。

「それより、なんだい、おっさん?」

「誰がおっさんだ!」

「名前なんだったっけ、忘れたよ」

「キミ、なかなか失礼だな……」

「よく言われるから気にすんなって」

「少しはキミが気にしろ!」

「それより名前なんだっけ。教えてくれないと、変態テンパオヤジって呼び続けるぞ」

「テンパだが変態じゃあないわい!」

「いいから名前は?」

「ハドリアヌスだ。王都で超有名建築家のハドリアヌスだよ!」

自分で超有名とか言っちゃってるよ。

どんだけ自信過剰なんだ。

「でぇ、なんの用だ、ハドリアナル?」

「ちがーーーーーう!!!」

「えっ、何が?」

「それは絶対に間違えてはならない間違えだぞ!!!」

「何がさ?」

「ハドリアヌスだ、ア・ヌ・スだ!!」

「分かったよ、ハドリアナル」

「アウトだ、アウト!!!」

「だから何がさ?」

「それだと俺の名前はハドリ肛門になるだろう!!」

ゴリとバイマンが横を向いて笑いを堪えていた。

「もう肛門の話はいいからさ、なんの用だ?」

ハドリアヌスが手に在る丸められた羊皮紙を俺に差し出した。

「これだ。町の設計図だ!」

俺は羊皮紙を受け取り広げて見た。

ゴリとバイマンも覗き込む。

「うわー、都市の地図だな」

「壮大だな」

「防壁から櫓の塔まで考えられているよ」

それは立派な町の地図だった。

魔王城を中心に、三層に築かれた防壁。

冒険者ギルド本部、魔法使いギルド本部、大聖堂、ゲートの数々、物見櫓、番兵の詰所、鍛冶屋、馬小屋、その他様々な施設の位置が詳細に記入されていた。

ハドリアヌスが腕を組みながら言う。

「旧魔王城の地図を元に作った図面だ。すべてこの通りに作れとは言わんが、すべての施設を効率良い位置に配置してある。これに近ければ近いほど良い町になるだろうさ。籠城にも耐えられるほどにな!」

俺はハドリアヌスを見ながら言った。

「あんた、ただの変態じゃあなかったんだな。こりゃあ凄いぜ」

「誰が変態だ……」

図面を見ながらゴリが意見を述べる。

「だが、これだけの物を完成させるのに、何十年も掛かるぞ」

俺はちょっと威張りながら返す。

「大丈夫、それは魔法と巨人の力で何とかする」

「魔法は分かるが巨人ってなんだよ?」

すると森のほうから地鳴りが響きだした。

「おお、丁度いいところに来たぜ、ミケランジェロ」

「ミケランジェロ?」

すると森を割って一つ目の巨人が現れた。

エルフたちも驚いている。

「サ、サイクロプスだ!!」

皆が驚く中でサイクロプスが俺に話しかけて来た。

「久しぶりだな、アスラン。お前がエルフたちに話を付けてくれてたから、すんなり中に入れたぞ」

ミケランジェロの足元にはエルフの社長が居た。

「アスラン、ワシも嬉しいぞ。500年前の宿敵に合えて胸が踊る気分だ!」

「そ、そうか、それは良かったな」

社長とミケランジェロが喧嘩すると思っていたが、どうやら丸く収まってくれたようだな。

だが、社長の顔はボコボコだ。

服も乱れている。

おそらくミケランジェロと戦ってボコられたのだろう。

俺は振り返ると社長やミケランジェロを背にしながらバトリアヌスに言った。

「建築はエルフの魔法と巨人のパワーで地道にサクサク作って見せるぜ。まあ、お金も使うがな、ハドリアナル」

「だから、ハドリアヌスだってば……」

ハドリアヌスは頭を抱えて苦悩していた。

少しイジメ過ぎたかな?

んん、なんだ?

ハドリアヌスの背後からガイアとアインシュタインがスタスタと近付いて来る。

二人は潜んでいるわけでもないのに、自然とハイド・イン・シャドーになっていた。

そして二人でコソコソと何かを話していた。

それからアインシュタインだけが前に出る。

ハドリアヌスの背後で停止したアインシュタインが両手を組んで両人差し指だけを忍者のように立てた。

「ま、まさか……」

「んん、どうしたのかね、アスラン殿?」

ハドリアヌスは気付いていない。

そのお尻にアインシュタインがカンチョーを突き立てた。

「カンチョー(棒読み)」

ここまでズブリと殺伐とした残酷音が聞こえて来そうであった。

「ギィァァアアアア!!!!」

お尻を両手で押さえたハドリアヌスが背を反らしながら1メートルほど飛び跳ねた。

クリティカルヒットカンチョーだな……。

スゲ~痛そうだ。

飛び跳ねたハドリアヌスは地面に倒れ込むと震えながら唸っていた。

ガイアが万歳をしながら歓喜する。

「ドッキリ大成功~」

「わはー、カンチョー成功だー(棒読み)」

「ぅぅぐぐぅ……」

二人の童はワイワイ騒ぎながら走り去る。

俺は震えながら倒れ込むハドリアヌスに訊いた。

「お尻、大丈夫か? 穴が開いてない?」

すると震えた声でハドリアヌスが答えた。

「き、気持ちいい……。最高だった……」

あー、こいつも変態だった。

忘れてたよ……。


【つづく】
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...