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怒涛(?)のお誕生日会
しおりを挟む待ちに待ったシリウスくんのお誕生日会。
朝早くから屋敷の人たちと準備に追われます。会場はシリウスくんのお気に入りの庭園の東屋です。
豪華な飾りつけをしてシリウスくんを驚かせたいと一番張り切っているのは、庭師のワタルさん。植木を器用に動物の形に整え、リボン、オーナメントで綺麗に飾り付けをしている。
男の使用人さんが会場にテーブル椅子を運び。スージーさん、ミミさんたち侍女部隊がテーブルクロスを敷いたり、花や飾りつけしカラトリーを準備する。リンスさんたち別部隊は厨房から料理を運び、次々と置いていく。あっという間にテーブルの上は御馳走でいっぱい。カンタさんが見たら泣いて喜びそう。
シャーリングさんは有名なスイーツ職人に頼んだ五段重ねの誕生日ケーキと、これまた旦那さまが知り合いの獣人鍛冶屋に注文したシリウスくん用の剣を取りに行っている。3歳のシリウスくんに剣は早いような気がするけど……立派な騎士になるよう願いを込めて贈りたいそうです。
私の役割はシリウスくんが会場に入らないように引き付ける係り。
豪華なお店の誕生日ケーキもありますが、前に約束した誕生日ケーキをシリウスくんと一緒に作りますよ~!旦那さまも今日ばかりは仕事はお休みで、私の監視係です。
シリウスくんは猫型なので、(ロボットじゃないよ)
細かい作業は難しい。
卵を割ろうとして潰したり、小麦粉をふるいにかけようとしてばら蒔き、頭から浴びて白猫に変身した。蜂蜜を舐めようとして壺を壊したりと大惨事です。
結局……私がシリウスくんの体と手を支えて一緒にボールに入れた材料を、ヘラで混ぜ合わせてスポンジ生地を作る。旦那さまにお願いして卵や小麦粉などを手渡してもらった。旦那さまは私がアレコレ頼んでもイヤミ一つ言わず手伝ってくれたよー。眉間の皺は浅いし心なしか口角が上がっているような……もしかして、機嫌が良いのかな?そうだった嬉しいな~っ!
初めてのケーキ作りにシリウスくんはお目目をキラキラさせて、ざっくり混ざった生地を見つめていて。
出来た生地を釜戸で焼く間にクリームと飾り付けの果物の準備です!
柔らかい果物なら力の弱いシリウスくんでも切れそうなので、小さな手でも使い易い危険のないバターナイフを用意した。
シリウスくんにバターナイフを持たせて上から押さえて、飾り付けのイチゴを半分に次々に切っていきます。あっという間にボールの中はイチゴでいっぱいに。
「シリウスくん、初めてなのに上手に切れて偉いね~」大袈裟に褒めて頭を撫でると、嬉しそうに目を細め「ミャウっ~」と鳴いた。可愛いなぁ~。
クリーム作りは力仕事なので、体力のある旦那さまにお願いした。魔法で出した氷でキンキンに冷した生クリームを力強く泡立てる旦那さま。その筋肉の浮き出た二の腕に私の視線は釘付けです!
はう、旦那さまカッコいいっ!!
出来上がったスポンジが冷えたら、シリウスくんと一緒にクリームを塗ります。全体をヘラで縫って上面は絞り袋に取り分けたクリームでデコレーションしていきますよ~。少し形がいびつだったり塗りムラがあってもそこは手作り、ご愛顧です!
シリウスくんは夢中でイチゴを飾りつけています。ぺちゃっと飛んだクリームが顔ついて、あれ?頬が白くなってる。
「うふふ、シリウスくん!ほっぺ拭きますね~?」
ハンカチでシリウスくんの頬をゴシゴシ拭いていると、ぐいっと腕を取られ腰を旦那さまに引き寄せられた。ジーッと顔を覗かれて。
「ん?旦那さまどうしたんですか?」
「貴女にも……ついていますよ」
旦那さまの美麗な顔が近いと思ったら………ざらりとした舌にペロッと右頬を舐められた。
「ええ~?旦那さま!つ、ついてましたか?」
不意打ちで驚き、顔が真っ赤になってしまう。舐められた頬を手で押さえた。うわわ~!ほっぺた、ペロリきましたよ~っ!!閨以外で旦那さまからちゅうされたの初めてです! 嬉しくて軽く気を失いそう。
「ふっ、ここにも……ついてます」
旦那さまは頬を押さえる私の手首を掴むと、顔から引き離した。スッと旦那さまの綺麗な顔が近づいて……。
え??これってもしかして口にちゅーされちゃう流れですか? まるで夢みたい!旦那さまからの口づけなんて。鼻と鼻がくっつきそうな距離に期待で胸が痛くなる。嬉しい、嬉しいですが。シ、シリウスくんが見てますよーっ!
思わず目をぎゅうっと瞑る。唇に旦那さまの冷たい唇が落とされる……ことはなく。
「ひぇっ!!」
ざらりと舌で鼻の頭を舐められた。予想外で目を見開き旦那さまを見つめた。旦那さまは綺麗な形の口の端を上げニヤリと笑う。
「……もしかして唇にしてほしかったのですか?」
「ふえぇっ~!酷いです旦那さまっ!いたいけな奥さんをからかったのですか~?
鼻チューも嬉しかったですけど……でもでもやっぱり唇にしてほしいです」
おねだりするように、旦那さまの袖を引っ張っり、熱っぽく見上げた。
「ーーーっ!!本当に貴女は……私が好きなんですね?」呆れるような声音なのに、私を見下ろすアイスブルーの瞳は心なしか柔らかい。
「はぁ、仕方ありません……貴女が……どうしてもしたいと言うなら、叶えて差し上げましょうか?」
「えっ!!本当に本当ですか~?旦那さまからですよ!深いのですよ!良いんですか!」
「ええ……騎士に二言はありません。目を瞑って下さい
武士なら聞いたことのある台詞だけど、嬉しいので突っ込まないでおく。言われた通り、目を瞑りいそいそとその時を待つ。
「ミャウミャウ~!!」
シリウスくんの鳴き声と共に、右肩にずっしりと重さを感じた。え?シリウスくん私に飛び乗ったの?目を開けるとシリウスくんのひげが視界いっぱいに広がる。ち、近いっ!!
「シリウスっ!!何をしているんですか?」
シリウスくんは旦那さまの制止を聞かず、私の頬を小さな舌でペロペロペロペロ舐めた。少しささくれだった舌がこそばゆい。
「あはは、シリウスくんくすぐったいですよ?クリーム、まだついてますか?」
肩に乗ったシリウスくんを胸に抱き直して聞いた。
「……ついているわけは…」
「ミャウ~?」
シリウスくんは不思議そうに小首を傾げたあと、旦那さまに向けて「シャーっ!!」と鳴いた。
「シリウスくん威嚇ですか?旦那さまに珍しい態度ですね?ママを取られるとでも思ったのでしょうか?」ヨシヨシと背中を撫でるとすぐにゴロゴロと機嫌がなおる。
「……それもありますが……嘘をつくなと……怒っています」
「嘘って……なんのことですか?」
まさか?唇にキスするのが嘘ですか?期待させといて凹みますよ。
「………さあ?ご自分で考えて下さい」
旦那さまは私から顔を背けると、出来立てのケーキを会場に運んで行った。
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