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ハッピーエンドに向かって①
しおりを挟む後日、大騒ぎになった裁判はローベルハイム公爵不在で刑罰が下されました。
公爵家は国家反逆罪で土地財産を没収されお家取り潰しになると思いきや、領地は国の直轄地になりました。以後国王に認められた領地人に代理統治させ、成人したシリウスか私と旦那さまに次の子が産まれたらローベルハイム公爵を継がせる予定だそうです。
国王さまは由緒あるローベルハイム家を無くすのは惜しいと言ってたけど、獣人肯定派で国王の優秀にコマとなる公爵家が欲しいだけだと旦那さまが渋い顔で囁いてましたよ。さすが国王さま、ちゃっかりな腹黒タヌキさんです。
ローベルハイム公爵公爵が獣人に嵌められたと無実を訴え命をよ断ったことが大きく尾を引き、裁判は国王が思っていたより反獣人派の抑制には繋がらなかったようです。寧ろ、公爵の無実を晴らすと団結が強くなってしまったようです。
「燻り不穏な動きが見られるかもしれないなー。馬鹿に接触もあるかもなー」と、タスクさんが企み顔をしていました。
自分のお気に入りの簪で目の前で公爵に死なれたビクトリアさんは、気が触れてしまい。生まれ育った隣国ヘラルドに返品予定です。
実行犯のヤトさんは罪を自白したこと、既に余命幾ばくもないことから死刑を免れ、禁固刑になりました。旦那さまが刑の執行停止を申立てたところ、これが認められて仮釈放されました。
シャーリングさんのたっての希望で身寄りのないヤトさんをマクガイヤ家で看病することになりました。
『シリウス様を誘拐しようとした犯人の面倒を見るなんて!』と、一部の当然と言えば当然の意見を旦那さまが説き伏せて、ヤトさんは最後の時をマクガイヤ家で穏やかに過ごした。
そしてーーー3週間も経たず静かに息を引き取りった。 ヤトさんは家名が無くならないことを喜び、最後の最後まで地味に歯を痛がっていた。彼は死ぬまでローベルハイム家の忠実な家令でした。
冷たい雨が降る中、 彼の遺体は本人の希望で元ローベルハイム家領地の墓地に葬られた。
「……自分より若い者が死ぬのは何度味わっても辛いですな」シャーリングさんは大きく項垂れ10歳も老け込んだように力なく項垂れた。
「ヤトは犯罪を犯した。
ローベルハイム家の家令として間違っていたのはアタシにも解るぜ……でもよ、その忠実心は気高く純粋だった」
スージーさんは何かを決意したように、雨の中顔を上げて前を向いた。
その日の夜、スージーさんに話があると呼ばれた私は彼女の決意を聞くことになった。
「奥さまには悪いんだけど、奥さまの侍女兼護衛を辞めてぇんだ…」
大きな狼耳をピーンとそばたててスージーさんは言った。
「ええ?なんでですか?私嫌われちゃいましたかー?」
「違うぜ。奥さまのことは変な人間だと思うぐらいで嫌いじゃない……仕えるのも堅苦しくなくて悪くないぜ」
「うう、スージーさん私のこと変な人間だと思っていたんですか?悪くないなら、なんでですか~?」
泣きそうな顔でスージーさんを見上げれば、照れ臭いのか鼻をポリポリ掻いたあと、息を止め真剣な顔で私に告げた。
「アタシ、仕えたい奴が居るんだ」
「スージーさんが仕えたい人ですか?」
粗野だけど純粋、でもこだわりの強いスージーさんが仕えたい人って一体だれだろう?
「………獣人のアタシを友人と言ってくれた、アリアナさまを侍女兼護衛として支え、里帰り出産に付いて行きてぇんだ」
「アリアナさまの……そうですが……。
……スージーさんは生涯仕える主を見付けたんですね?……うわわーん!寂しい、寂しいですが応援しますよ」
そう言いながらスージーさんに抱きついてワンワン泣いてしまった。
「おい!奥さまっ!!」
戸惑うスージーさんをぎゅうぎゅう抱き締めた。何事かと館の面々が部屋を覗く。旦那さまもシリウスも駆けてきた。
「ずびび、スージーさん離れても忘れないで下さいね。私もスージーさんの友人ですからね~!」
「おう!解ってるぜ!そ、それより奥さま、シオン隊長の誤解を解いてくれよな?アタシ殺されちまうぜー!」
鬼の形相の旦那さまに睨まれ、スージーさんは堪らず悲鳴を上げた。
◇◇
1ヶ月後ーとうとう建国祭になりました。ここまで色々ありました。
会場に向かう馬車に揺られながら思いを馳せます。
まず、『生け贄』の贖罪の途中でミリヤさんが行方不明になったこと。
正確には鎖を引き上げた時には彼女は居なくて、体が溶けるうちに鎖の拘束が緩み『魔物の吹き溜まり』に落ちてしまったそうです。
ミリヤさんにとって一度の贖罪で終わって幸いなのかも知れませんが……最悪の結果になってしまいました。
次に、元王子ジャスティンさん。
彼は反獣人派に担ぎ上げられダニエル王子を傀儡にしようとした。
偶然財産家財没収を免れた薬カリアシュを使用したけど、ダニエル王子の護衛をしていた優秀な鼻のカンタさんに直ぐに見つかり現行犯で捕縛されました。
元王子でも今はただの側近に過ぎない一貴族が王太子を害そうとした。
ジャスティンさんは問答無用で牢屋に押し込まれ、担ぎ上げようとした反獣人派ともども死刑を宣告されたました。
「ホントさ危険な薬がたまたま没収を免れるわけないのに。元王子様が単純馬鹿で良かったよー」タスクさんがしたり顔で笑っています。
やっぱり、タスクさんの策略だったんですか?
嵌めたんですね?タスクさんって怖いとなーっと思っていると……。
「……これで我が家とヴィヴィアンに近寄る害虫は一匹残らずいなくなりました……タスク助かりました」
旦那さまがボソリと不穏な発言を囁いた………え?え?もしかして、全て旦那さまの差し金ですか?
こ、怖くて顔が見られませんよー。
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