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第一話
しおりを挟む『ヴィンテージファッションが最熱! 古き良き服の魅力を新たに発見。
猫耳アレンジの髪型が人気! あざと可愛さで憧れのあの人を魅了してみよう!
さりげなく彼の瞳の色と同じリボンを髪に結ぶと好感度アップ?
好きな人の瞳の色のバラを送ると恋が成就する!? バラの色別花言葉も同時に紹介。
見た目から楽しめるマカロンパフェが食べられるカフェを紹介』
最近の流行を網羅しているこの雑誌。聞いたことがある言葉もあれば、聞いたことがないものも多いです。
わたくし——エレアノール・ヴィダルは、ぺらぺらとページを捲ってそれらに目を通します。わたくしの正面に座って気だるげに頬杖をついていた友人は、わたくしにも聞こえる大きさでため息を吐きました。
「はぁ……。最近は、面白い恋愛話がなくて退屈だわ」
彼女はセルナ・コルナス。カーネーションのような赤い髪に、猫耳のようなでっぱりがあります。これが、雑誌に載っている猫耳アレンジの髪型でしょう。セルナは、流行の最先端を行く今時女子ですから。
「ねえ、エレア。わたくしの創作意欲を沸かせるような恋愛話を知らない?」
「残念ながら、知らないですね」
黄色い瞳がわたくしに向けられますが、わたくしでは彼女を満足させることはできません。
セルナは恋愛大好き少女であり、恋愛小説を書いています。巷で有名な『キミコイ(君はわたしと恋をしない、の略)』の作者であり、恋愛小説の最先端を行く売れっ子作家でもあるのです。わたくしの親友はすごい人なのです。
「そうよね。エレアはまーったく、恋愛に興味がないものね」
「興味がないのではありません。そういった感情に疎いだけです」
「そうよね。エレアはエルンスト様との恋愛も、まーったく進展しないものね。つまらないわ」
セルナは再び大きく息を吐きました。幸せが逃げてしまいそうな、大きな息です。
わたくしは、彼女が言った内容に疑問を抱きました。エルンスト様との恋愛も、全く進展しない、という部分です。
エルンスト様というのは、わたくしの婚約者のことです。紳士的で穏やかな彼は、黄金比のように整った顔をしており、あらゆる人を魅了しています。とにかくおモテになるのです。
彼、エルンスト・ハイリヒ様とわたくしは、世間一般で言う『政略婚約』というもので、身分がちょうどいいから婚約した、という単純な関係です。
最近では恋愛結婚が主流ですが、わたくしたちのように政略結婚が行われるのも普通のことではあるのです。そのため、わたくしと彼の間には、恋愛といった感情はないはず。
それなのに、こうやってセルナはわたくしとエルンスト様の恋愛に拘っています。彼女の興味を引くようなことは一切ないのに。
「エレアも、髪に赤色のリボンを付けてみたら?」
「わたくしの髪の色と合わせると、目立ってしまいますよ」
わたくしがそう言うと、セルナは呆れたように首を振りました。わたくしの髪は、薄い金髪です。この髪に赤いリボンを結ぶと、リボンが浮き出たように目立つと考えて言ったのですが、何か間違えていたのでしょうか。
もしかしたら、彼女は流行にもあるように、婚約者の瞳の色のリボンを身に着けることを勧めたかったのかもしれません。
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