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第五話
しおりを挟む「本当の理由は?」
エルンスト様がわたくしに答えを促します。わたくしは彼から目を離しながら、考えを巡らせます。
好きな人がいると言った時、相手が怒る様子を見せたら、それはあなたに好意を抱いているからかも、と雑誌に書かれていたことを思い出しました。
エルンスト様のこの反応は、怒っていると言えるのでしょうか? 口元は笑みをかたどっていますが、目が笑っていないところから不機嫌そうな雰囲気は出ています。
もしかしたら……という希望が芽生えますが、すぐにその考えは打ち消しました。変に期待すると、期待が外れた時にもっと苦しくなってしまいます。
さて、どのように返答しましょう。その二の方法を使いましょうか。
「先日、エル様が他の女性と仲良くしていらっしゃる姿を見てしまったのです」
「ん? 僕が他の女性と仲良く?」
わたくしの言葉にエルンスト様は首をかしげます。わたくしは彼の態度に少し反発心が出てきました。彼は全く、心当たりがなさそうです。
「わたくし、エル様が別の方を好いているのに、エル様の婚約者であり続けたくないのです」
「え?」
この時、エルンスト様は初めて笑み以外の表情を見せました。
彼は目を丸くして、呆然とした表情を浮かべています。見たことがない彼の表情だったので、沢山の人の需要がありそうだな、と思ったことは内緒です。こんな時に変な思考に走ってしまうのは主にセルナのせいです。
「エレア。君は、大層な勘違いをしているようだね」
エルンスト様はにっこりと微笑んで、立ち上がりました。彼の動きを目で追っていると、彼はわたくしの隣に立ちました。
「これは僕の失態だな。ごめんね、エレアを不安にさせてしまった」
彼はその長くて細い指でわたくしの頬をなぞりました。そして、彼はわたくしの髪に視線を移します。
「この赤いリボン、とても似合っているよ。僕の瞳の色と同じだ」
エルンスト様は口元を綻ばせて、微笑みます。彼にこのリボンに気が付かれてしまったことが、とても恥ずかしいです。
目立つのを逆に利用して、薄い金髪に合わせて赤いリボンを編み込んでいるので、今すぐこれを隠したくても難しいです。
「嬉しいな……。君が、僕の色を身に着けてくれるなんて」
リボンに触れる彼の手がわたくしの頭に触れていて、なんだか彼に頭を撫でられていると勘違いしてしまいそうです。わたくしは頬に熱が集まるのを感じながら、彼のペースに引き込まれていることに気が付きました。
婚約破棄の話をしていたのに、今は何をしているのでしょう。
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