DNAの改修者

kujibiki

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第268話 ルージュ領編16

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「シャルル、彼女はソニアといってこの屋敷の調理責任者なのよ」

オーリエに案内されて僕はお姉ちゃん達と厨房に来ています。

「はじめまして、シャルル様」
「シャルル様にはいつもたくさん食べていただけるのでとても嬉しいです」

「ソニアお姉さんもいつも美味しい料理をありがとう」
「大人数で来てしまったから迷惑をかけるけれど、もうしばらくよろしくね」

「気になされないでください…」
「それで、厨房に何か御用でしょうか…?」

「うん、ちょっと試してみたいことがあってね…」

「シャルル、必要な器具や食材があればソニアに言ってね」

「そうだねぇ。じゃあ“ばななん”と“よーぐる”、ミルクに柔らかクリームに使うクリームと甘味料をお願いできるかな」
「それから混ぜるための器具や容器もね」

「は、はい…、ただいま…」

「シャルル、一体何を作るのですか?」

「それはね~“ばななん”の飲み物だよ」
「これだけ“ばななん”があるんだから飲めても良いかなぁって思ってね」

「“ばななん”を飲むのですか…?」

「シャルル、“ふとう”みたいに搾るの?」

「そんなことはしないよ。“ふとう”みたいに果汁が多い果実でもないし…」

「シャルル様、材料と容器は揃いましたが、混ぜる器具というよりこういったヘラ等になるのですが…」

「やっぱりね…。僕も厨房で混ぜる器具を見たことがないよ」

「それではヘラ等で混ぜられるのですか?」

「ううん、それは風属性のお姉ちゃん達次第かな…」

「シャルル、私とキルシッカさんですか?」

「わ、私も風属性です」と、ソニアお姉さんも手を上げています。

「キルシッカお姉ちゃん、この容器の中だけで【風刀】は起こせるかな?」

「【風刀】ですか…?」

「もちろん容器は切っちゃだめだよ」

「僕の考えは【風盾】のように渦を巻くように【風刀】を起こして容器の中身を混ぜながら出来るだけ細かくしてほしいのだけど…」

「食材を混ぜながら細かくですね…」

キルシッカお姉ちゃんがう~んと顎に手をやりながら考えています。

「シエラお姉ちゃん、容器に小さめの氷を作ってくれるかな?」

「キルシッカお姉ちゃんはそれを細かく砕いてみてくれるかな…」

「「はい、分かりました」」

口の広くて底が少し丸くなっている容器に氷が入ると、キルシッカお姉ちゃんが【風刀】を発動させます。

ガキッ…、ガコッ…。

「キャー、氷が飛び散って…」

「いっ、痛った~い」

キルシッカお姉ちゃんが魔法を止めると、容器の中身の氷がほとんど飛び散っていました。
でも容器は切れていないようです。

「す、すいません。シャルル様…」

「いいよ、いいよ、僕が容器の形を間違ったよ」
「それより容器は何でも大丈夫そう?」

「はい、容器の内側に触れないように調整してみました」

「それが出来るならすごいよ! さすがキルシッカお姉ちゃん」

「ソニアお姉さん、口が狭くて縦長で、出来れば透明の容器はあるかな?」

「は、はい。探してみます」



「シャルル様、これでどうでしょう」
ソニアお姉さんが持ってきたのは円柱形の大きな水差しのようなものでした。

「これ、ちょうど良いよ」
「キルシッカお姉ちゃん、この容器でもう一度魔法をお願いできるかな?」

「はいっ! 今度こそ上手にやってみます」

容器に半分ぐらいの氷を入れ、キルシッカお姉ちゃんが【風刀】を発動させると、容器の中で氷がガキッ…パシュ…と音を立てて砕けていきます。

「キルシッカお姉ちゃん、もう少し…、もう少し細かく、渦を巻くように混ぜられる?」

「は、はい…、こ、こうでしょうか…」

「そうそう…。キルシッカお姉ちゃん、その加減を覚えておいてね」
「エルスタイン領都に戻ったら新しい魔道具にするつもりだから…」

「えっ!? そんなことまで考えておられたのですか」

「よしっ! まずはこれで準備は完了だよ」
「次は食材を入れて試してみよう」



みんなが目をキラキラさせて注目する中、調理を始めていきます。

「トリスお姉ちゃん、“ばななん”を数本剥いてくれる」
「シエラお姉ちゃんはその剥いた“ばななん”を凍らせてくれるかな」

「「はい」」

「「シャルル、私は…」」

「そうだね。エリシアとオーリエはシエラお姉ちゃんが凍った“ばななん”を容器に入れたら、ミルクとクリームを10:1ぐらいの割合で同じ容器に入れてくれるかな」

「「はいっ!」」

「エリオンお姉ちゃんは甘味料を少し入れてね」

「分かりました」

「シャルル様、容器に全ての材料が入りました」

「じゃあキルシッカお姉ちゃん、さっきと同じように材料が滑らかになるぐらいまで混ぜてみてくれる?」

「ま、任せてください」

ガコッ…、ガコッ…、グシュ…、グシュ…。

容器の中から音がなくなり、滑らかな液体状になったのが分かると完成です。

「ありがとう、キルシッカお姉ちゃん。このぐらいでいいよ」

「ではシャルル様、味見は私が…」

「メンテール、あなた…」
「「「メンテール先輩、ずるいですよ~」」」

「だって、私のすることが無かったんですもの…」

「まぁまぁ、今は試作だから少量だけど、皆で少しずつは飲めるよ」
「僕の思っていた通りだったらまたすぐに作ったらいいんだから…」

ソニアお姉さんに人数分のコップを用意してもらうと、みんなに行き渡るように注いでもらいます。

「さぁ、みんなで味見してみよう」

ゴク…、ゴクリ…、ペロッ…。

「むふぅ~っ! おっ、美味しいです!」
「「美味しいわ!」」
「「すごいです!」」
「「シャルル、とても美味しいですよ」」

「“ばななん”がこんなに美味しい飲み物になるなんて…」と、ソニアお姉さんも驚きながら飲み干していました。

「ミルクとクリームの量の調整は必要だけれど、ちゃんと“ばななん”の味もしっかりしていて美味しいね」

「シャルル、これなら“ばななん”が傷む前に消費し易くなりますよ」



「もしかして、“よーぐる”もですか?」

「“よーぐる”の場合は“柔らかクリーム”と混ぜてみよう」

ソニアお姉さんに“柔らかクリーム”を作って用意してもらうと、今度はそれに“よーぐる”とミルクを少し入れて混ぜてみます。

ゴク…、ゴクリ…、ペロッ…。

「これも美味しいです!」
「「甘酸っぱくて美味しいわ!」」
「「よーぐる味の“柔らかクリーム”を飲んでいるみたいです!」」
「「新食感です!」」

「“柔らかクリーム”と“よーぐる”を混ぜるだなんて…」

「“よーぐる”の代わりに“ばななん”と“柔らかクリーム”を混ぜてもいいよね。まぁ、それは飲み物ではない気もするけれどね…」

「「本当ですね。それも美味しそうです」」

「ソニアお姉さんもキルシッカお姉ちゃんと同じように混ぜれることが出来たら作れるよ」

「はい、試してみます」

「シャルル様はこれを魔道具にされようと思われているのですね」

「うん、この混ぜる魔道具は色んな食材に利用できるからね」
「果実ごとに新しい味が出来るようになるよ」

「す、すごいです。シャルル様!」

「本当ですね。これを領民が簡単に作れるようになると生活が変わりますよ」

「マイヤさんに頑張ってもらわないといけませんね」

「“シャルルの風”でも手一杯なのに大丈夫かしら…」

「まぁ、この魔道具についてはまだ少し先だよ。第一キルシッカお姉ちゃんみたいに魔法が使える人がいないと大量生産は出来ないよ」

「そうですよね…」

「では、夕食時にお母様やルーシャ様に飲んでいただけるようにしましょう」
「ソニア、頑張ってくださいね」

「はい、オーリエ様」
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