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2024年11月30日以降
高金利の罠
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間もなく新年を迎える。
50歳前後以上の方は
「お年玉はお母さんに預けなさい。銀行に預けておけば利息でもっと増える
んだから」
と言われたのは定番だったのではないか?
今35歳以下くらいの人はまるで実感がないだろうが、バブル崩壊後(と
明確に判明していくのは1993年頃)の1992年くらいまでは日本の政策金利
は
「まともな数値」
であったのである。
1993年以降から急激に金利は下がり、まあその時点で前年までに比べれば
ほぼゼロみたいなもので雀の涙程度の金利も1997年のアジア通貨危機や山一
証券破綻などを経て現在に通じるほぼゼロ金利となった。
1980年代までは日本の銀行の定期預金金利は4~6%台、普通預金口座金利でも
2~3%台程度で推移していた。
その頃の物価もあいまって
「一億円あれば銀行定期預金だけで一生暮らせる」
と言われたものである(まあ当時の一億円は現在の一億円よりはるかに高嶺の花
であった。大卒の初任給で平均18~19万程度。40歳の学校教員の平均給与でも
500万あったかなかったか。プロ野球選手で年俸一億ある選手など皆無で5000万
ですら数えるほど。一億超えたのは1987年の中日落合と西武東尾が初だった
んではないかな~?外国人助っ人は除いて)。
だから2000年代になって金融ビッグバンで銀行などでも投信とか外貨預金など
の販売が、また保険なども投資や資産運用の一部と認識されて売られ始めると
金融リテラシーの低い日本人は海外の高金利金融商品に大きな魅力を感じたので
ある。
2000年代は平均すると勿論日本はゼロ、またはほぼゼロ金利。
対してアメリカはおおむね2~3%台、豪州が4~5%台で、ニュージーランド
が5~6%台、英国が約2%台。
主要銀行で扱われる通貨はこれら四種が多く、次いで歴史がまだ浅かったユーロ、
カナダドルの取引があった。
そのうちFXというものもメジャーになると、先進国ばかりでなく新興国の通貨
南アフリカランド(政策金利約10%前後)、ブラジルレアル(政策金利約12~15%)
メキシコペソ(政策金利約6~8%)、マレーシアリンギ(政策金利約5~7%)、
インドネシアルピー(政策金利8~11%)なども取り扱う証券会社やFX会社も現れた。
そして多くの退職者などがその退職金などでより高金利な通貨の外貨預金や債券
投信に手を出しては損失を被ったのである。
一見、10%の高金利通貨に投資すれば多少為替レートが変動しても数年で物凄い
利益が上がりそうな気がするがどうして彼らの多くは損、又は大損したのか?
理由をあげよう。
①サブプライムショック(2007年)、リーマンショックとその余波(2008年~
2011年頃まで)で各国の金利が大きく下がり、相対的にゼロ金利維持の日本と
の金利差が縮小し、為替相場がどの主要通貨に対しても大きく円高に動いたので
差益を産むどころか損失となってしまった。
②この頃の金融商品があまりにも買い手側振りの設定(外貨預金なら売買の往復
為替手数料が高すぎる、投信なら販売手数料が大体3.15%取られるうえに信託報
酬などのランニングコストの受益者負担があまりにも重すぎた)
③そもそも投信に関して言えばファンドマネージャー自体の腕にも疑問がw
④そもそも新興国の高金利にはからくりがある
といったところである。
現在2024年12月で当てはめると上のうち②は大分解消されている。③について
はケースバイケースになるが当時よりは消費者側の金融リテラシーも上がった分
誤魔化しが通じにくい分、ファンドマネージャーの力量も相対的に上がってきて
いるし①についてはいつでもリスクはあるが恐らく次年度2025年にこのような
ショックは起きにくいと予想される。
だから現在でも通じる高金利通貨投資のリスクは④であり、そもそもこれがいつ
でも常に付きまとうリスクなのである。
ブラジルや南アフリカを例に取ろう。
両国とも政策金利は10%前後はありブラジルは大体10%を超えているのが常
である。
そしてブラジルは南米では国土も広く、資源も豊富で一番経済面で潜在的な
底力を有する国とされている(アルゼンチンはブラジル以上に政情が不安定で
頻繁にデフォルトが起きるなど信用度が低く、ウルグアイは平均的に国民生活
はブラジルよる豊かだが国土が狭く、発展性や将来性の魅力は低い)。
南アフリカは広大で60か国以上あるアフリカ大陸の国々で唯一の先進国に
数えられ、貴重な金やダイヤモンド、プラチナなどを算出する鉱業国でもあるが
長年のアパルトヘイト政策の名残もあって民衆の使う言語は全部で10は超えて
いて必ずしも民意が統一されておらず治安も悪く、国の発展を妨げている。
そしてその政情も市場も不安定な両国は長年常に
「(物価の)インフレ」
に付き合わされている。
アメリカや日本が近年とみに
「インフレ率を平均毎年2%程度を理想とする」
と述べているがそれは経済や政治が安定し、成熟した先進国で言えることであり
南アフリカやブラジルのインフレは毎年二桁10%前後~が当たり前である。
つまりブラジルレアルをある年に10000レアル持っていても今年それで丁度
買えた品物が来年は11500レアルに値上げされていて買えないというのが普通
なのである。
だから仮に銀行に10%定期預けて来年11000レアルを持っていても去年の
10000レアルより現金価値が低くなってしまうのである。
世界で見ればブラジルが珍しい国でなく、アフリカのジンバブエとか第一次
世界大戦後のドイツのように天文学的な数値のインフレ(通称ハイパーインフレ)
でその国の紙幣など紙切れ同然ということは世界の中で起きることである。
因みにブラジルレアルは日本がバブル崩壊に直面し、山一破綻、就職氷河期
などで苦しんだ1997年で「1レアル=約100~105円」だったのが本日現在で
は「1レアル=約24.8円」である。
各国通貨に対してここ30年でみれば円安で推移している円に対してもレアルは
その価値を四分の一以下に落としているのである。
だからいくら年10%の金利があろうがそれ以上に通貨の価値が落ちることが
しばしばでありなかなか利益を回収できないというわけである。
南アフリカもまあ大同小異同じ事が当てはまる。
現在は知名度高いところではトルコリラの取引をする投機者も少なからずいる
ようである(近年のトルコの政策金利は40~50%超というバカげたもの)。
このレベルの金利は最早国家破綻レベルである。
勿論、博打みたいなものなのでトルコリラに投資するのは一攫千金チャンス
もあるといえるがそれよりは多くの場合大損をこいて退散せざるを得ない率の方
が高いと思われる。
高金利通貨に手を出す場合はその一般的リスクとその国の現在の実情をよく
知っておくべきである。
そのうえで投資をするのは面白存在でもある。
筆者は通貨でないが主に株や債券を通じて
「インドネシア、インド、タイ、メキシコ、マレーシア、ベトナム、中国、
ブラジル、コロンビア、ギリシャ」
といった新興国に投じている。
むろんリスク分散としてアメリカやカナダ、豪州、英国、ベルギーといった先
進国企業にも投じている。
理解してリスクを覚悟して一極集中しなければ高金利国への投資も魅力的に
なっていく。
<完>
50歳前後以上の方は
「お年玉はお母さんに預けなさい。銀行に預けておけば利息でもっと増える
んだから」
と言われたのは定番だったのではないか?
今35歳以下くらいの人はまるで実感がないだろうが、バブル崩壊後(と
明確に判明していくのは1993年頃)の1992年くらいまでは日本の政策金利
は
「まともな数値」
であったのである。
1993年以降から急激に金利は下がり、まあその時点で前年までに比べれば
ほぼゼロみたいなもので雀の涙程度の金利も1997年のアジア通貨危機や山一
証券破綻などを経て現在に通じるほぼゼロ金利となった。
1980年代までは日本の銀行の定期預金金利は4~6%台、普通預金口座金利でも
2~3%台程度で推移していた。
その頃の物価もあいまって
「一億円あれば銀行定期預金だけで一生暮らせる」
と言われたものである(まあ当時の一億円は現在の一億円よりはるかに高嶺の花
であった。大卒の初任給で平均18~19万程度。40歳の学校教員の平均給与でも
500万あったかなかったか。プロ野球選手で年俸一億ある選手など皆無で5000万
ですら数えるほど。一億超えたのは1987年の中日落合と西武東尾が初だった
んではないかな~?外国人助っ人は除いて)。
だから2000年代になって金融ビッグバンで銀行などでも投信とか外貨預金など
の販売が、また保険なども投資や資産運用の一部と認識されて売られ始めると
金融リテラシーの低い日本人は海外の高金利金融商品に大きな魅力を感じたので
ある。
2000年代は平均すると勿論日本はゼロ、またはほぼゼロ金利。
対してアメリカはおおむね2~3%台、豪州が4~5%台で、ニュージーランド
が5~6%台、英国が約2%台。
主要銀行で扱われる通貨はこれら四種が多く、次いで歴史がまだ浅かったユーロ、
カナダドルの取引があった。
そのうちFXというものもメジャーになると、先進国ばかりでなく新興国の通貨
南アフリカランド(政策金利約10%前後)、ブラジルレアル(政策金利約12~15%)
メキシコペソ(政策金利約6~8%)、マレーシアリンギ(政策金利約5~7%)、
インドネシアルピー(政策金利8~11%)なども取り扱う証券会社やFX会社も現れた。
そして多くの退職者などがその退職金などでより高金利な通貨の外貨預金や債券
投信に手を出しては損失を被ったのである。
一見、10%の高金利通貨に投資すれば多少為替レートが変動しても数年で物凄い
利益が上がりそうな気がするがどうして彼らの多くは損、又は大損したのか?
理由をあげよう。
①サブプライムショック(2007年)、リーマンショックとその余波(2008年~
2011年頃まで)で各国の金利が大きく下がり、相対的にゼロ金利維持の日本と
の金利差が縮小し、為替相場がどの主要通貨に対しても大きく円高に動いたので
差益を産むどころか損失となってしまった。
②この頃の金融商品があまりにも買い手側振りの設定(外貨預金なら売買の往復
為替手数料が高すぎる、投信なら販売手数料が大体3.15%取られるうえに信託報
酬などのランニングコストの受益者負担があまりにも重すぎた)
③そもそも投信に関して言えばファンドマネージャー自体の腕にも疑問がw
④そもそも新興国の高金利にはからくりがある
といったところである。
現在2024年12月で当てはめると上のうち②は大分解消されている。③について
はケースバイケースになるが当時よりは消費者側の金融リテラシーも上がった分
誤魔化しが通じにくい分、ファンドマネージャーの力量も相対的に上がってきて
いるし①についてはいつでもリスクはあるが恐らく次年度2025年にこのような
ショックは起きにくいと予想される。
だから現在でも通じる高金利通貨投資のリスクは④であり、そもそもこれがいつ
でも常に付きまとうリスクなのである。
ブラジルや南アフリカを例に取ろう。
両国とも政策金利は10%前後はありブラジルは大体10%を超えているのが常
である。
そしてブラジルは南米では国土も広く、資源も豊富で一番経済面で潜在的な
底力を有する国とされている(アルゼンチンはブラジル以上に政情が不安定で
頻繁にデフォルトが起きるなど信用度が低く、ウルグアイは平均的に国民生活
はブラジルよる豊かだが国土が狭く、発展性や将来性の魅力は低い)。
南アフリカは広大で60か国以上あるアフリカ大陸の国々で唯一の先進国に
数えられ、貴重な金やダイヤモンド、プラチナなどを算出する鉱業国でもあるが
長年のアパルトヘイト政策の名残もあって民衆の使う言語は全部で10は超えて
いて必ずしも民意が統一されておらず治安も悪く、国の発展を妨げている。
そしてその政情も市場も不安定な両国は長年常に
「(物価の)インフレ」
に付き合わされている。
アメリカや日本が近年とみに
「インフレ率を平均毎年2%程度を理想とする」
と述べているがそれは経済や政治が安定し、成熟した先進国で言えることであり
南アフリカやブラジルのインフレは毎年二桁10%前後~が当たり前である。
つまりブラジルレアルをある年に10000レアル持っていても今年それで丁度
買えた品物が来年は11500レアルに値上げされていて買えないというのが普通
なのである。
だから仮に銀行に10%定期預けて来年11000レアルを持っていても去年の
10000レアルより現金価値が低くなってしまうのである。
世界で見ればブラジルが珍しい国でなく、アフリカのジンバブエとか第一次
世界大戦後のドイツのように天文学的な数値のインフレ(通称ハイパーインフレ)
でその国の紙幣など紙切れ同然ということは世界の中で起きることである。
因みにブラジルレアルは日本がバブル崩壊に直面し、山一破綻、就職氷河期
などで苦しんだ1997年で「1レアル=約100~105円」だったのが本日現在で
は「1レアル=約24.8円」である。
各国通貨に対してここ30年でみれば円安で推移している円に対してもレアルは
その価値を四分の一以下に落としているのである。
だからいくら年10%の金利があろうがそれ以上に通貨の価値が落ちることが
しばしばでありなかなか利益を回収できないというわけである。
南アフリカもまあ大同小異同じ事が当てはまる。
現在は知名度高いところではトルコリラの取引をする投機者も少なからずいる
ようである(近年のトルコの政策金利は40~50%超というバカげたもの)。
このレベルの金利は最早国家破綻レベルである。
勿論、博打みたいなものなのでトルコリラに投資するのは一攫千金チャンス
もあるといえるがそれよりは多くの場合大損をこいて退散せざるを得ない率の方
が高いと思われる。
高金利通貨に手を出す場合はその一般的リスクとその国の現在の実情をよく
知っておくべきである。
そのうえで投資をするのは面白存在でもある。
筆者は通貨でないが主に株や債券を通じて
「インドネシア、インド、タイ、メキシコ、マレーシア、ベトナム、中国、
ブラジル、コロンビア、ギリシャ」
といった新興国に投じている。
むろんリスク分散としてアメリカやカナダ、豪州、英国、ベルギーといった先
進国企業にも投じている。
理解してリスクを覚悟して一極集中しなければ高金利国への投資も魅力的に
なっていく。
<完>
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