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トラウマ
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しおりを挟む「寝ないのか?」
「目が冴えちゃって…」
威の前で着替えるのも抵抗があり、ベッドの端に居心地悪く座っていると、ぽつりと威が問いかけてくる。
「なぁ…怒ってるか?」
「え?」
なんの事かわからずにきょとんとしていると、威はぽつりぽつりと喋り始めた。
「その……亜矢子とのこと…葉になんの相談もしなかったこととか…ほったらかしにしてたのとか…最近、葉がよそよそしいからさ…怒らせたのかなぁってずっと考えてて……」
寂しそうな拗ねたような、そして照れたような威の顔は、長く付き合ってきた中でも初めての表情で、思わず笑みを誘われて表情を崩した。
「気にしてないって言ったら嘘だな。…たまには…昔みたいに二人で遊びたいと思うよ」
「…うん」
「あと…やっぱり付き合うってなる前に相談して欲しかったかなぁ……」
「…ごめん」
しょんぼりとして返事をする威を見て笑っている自分に気づき、葉人は驚いて言葉を止めた。
「どした?」
「オレ……ん…何でもない」
あの日以来こわばったままだった表情が、緩んでいくのがわかる。久しぶりにほっとできているのを実感できる時間だった。
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