放課後教室

Kokonuca.

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嘘1

7

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「つ…辻さん!?」 
「威にメールしてるの?」 

 綺麗に整えられたショートボブの黒髪の間から、きつい目がこちらを睨んだ。 

「あ…っ」 
「待たせて、ごめんね?」 

 ぱっと手を離してこちらに笑いかける亜矢子は、いつも通りの笑顔をこちらに向けた。 

「…う…うぅん……平気」 
「そう、よかった!」 

 えへへ…と笑うと、亜矢子は傍らの花壇に腰かけた。 
 葉人もそれに倣い、少し離れて腰を下ろす。 

「威から…聞いてる?私たちのこと」 
「ぁ…うん」 

 亜矢子を真っ直ぐ見ることができず、手の中の携帯を見つめる。 

「…いきなり……別れたいって言われて、私…何かしたかな?」 

 うんとも違うとも言えず、俯いて言葉の続きを待つ。 

「威から理由とか、聞いてない?」 

 じっとこちらを見つめる視線が居心地悪くて、手の中の携帯を意味もなく弄る。 

「…いや…オレは、何も…」 

 顔を上げることができないまま、自分が原因だとも言うことができずに首を振る。 

「威がね、前に言ってたの。葉人くんは嘘をつくときは下を向くってっ!」 

 そう言うと、亜矢子の手が葉人の手首を握った。 

「…つ、じさ……っ?」 
「細いわね、私と変わらないじゃない」 

 長く手入れのされた爪が、葉人の皮膚に食い込む。 

「あなた、でしょ?」 

 暗い火を燃やした瞳が、こちらを睨み付け、もう一度尋ねてくる。 

「あなたが、威を、とったんでしょ?」 

 知らぬ間に、体がかたかたと震え始めていた。亜矢子はこちらを睨み付ける目を弛めないまま、忌々しそうに喋り出した。



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