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嘘2
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しおりを挟む「きゃ…っいったいっ!!」
「…そりゃ、そんな鬼みたいな顔してたら男も逃げるって」
うずくまった葉人の鼻先に煙草の煙が掠める。
「離してよっ!あなたは関係ないでしょっ」
そろそろと顔を上げると、くわえ煙草の司郎が亜矢子の腕を捻り上げてこちらを見ていた。
ニヤニヤと笑って、亜矢子を放り出す。
「痴話喧嘩ならさぁ…俺も混ぜろや。なぁ、ハナト」
うずくまったままの葉人を無理矢理立たせ、亜矢子に向き直る。
「あんた、俺にもケンカ売る?」
ぎりぎりと音がしそうなほどこちらを睨み付け、亜矢子はぷぃっと顔を逸らして校舎へと走って行ってしまった。
「女こえー」
亜矢子の後ろ姿を見やりながら、司郎はそう言って煙草を校舎に押し付けて消し、呆然としている葉人の顎を掴む。
「礼は?」
「っ…ぁ…」
はっとなって慌てて顎に置かれた手を振り払い、葉人は司郎から距離をとろうと後ずさった。
「ぅ……な、なんの…用…」
亜矢子から解放された安堵感と、司郎に対する恐怖のない交ぜになった複雑な気持ちで尋ねると、相変わらずのニヤニヤとした笑いを浮かべたまま一歩葉人の方へと足を出した。
思わず葉人の体がびくっと震える。
「ナニ?ハナトは俺が怖いの?」
「あ…当たり前…だろっあんなこと…されて……」
ぽとん…と玉を結んだ涙が足元へと落ち、コンクリートに染みが広がった。
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