140 / 349
アミューズメントパーク
1
しおりを挟む「─────っ」
破裂しそうなほどの音を立てる胸を押さえ、化学室の扉を開け放つ。
ガラリ…と響いた乱暴な音に、光彦が怪訝な顔で飛んでくる。
「なんだ……小田切か?どうしたんだ?」
整えることが出来ないまま、大きく肩で息をして光彦を見上げる。
こちらを見ている驚いた顔が、ゆっくりと涙でぼやけ始めた。
「…ぁ…あの…っ……」
「?…何があったんだ?」
準備室へと葉人を連れ込むと、光彦は椅子に座らせて自分は床に膝をついてその顔を覗き込む。
「どうしたんだ?」
尋ねる光彦の上に、ぽとぽとと滴が降りかかる。
涙を拭いながら「ん?」と尋ねてくる光彦に何も答えられず、葉人は首を振った。
威と悠哉の情交を見てショックを受けた…と、光彦に言うことは出来なかった。
過呼吸を起こしそうな息を止め、心配そうな顔をしている光彦にもたれ掛かる。
「何かあったんだな…」
優しい掌が背を撫で始めると、葉人は詰めていた息をそっと吐き出した。
とんとんとリズミカルに背中を叩かれ、その心地よさにほっと溜め息を吐く。
「…すみません……いきなり…」
ぱたぱたとまだ涙が溢れていたが、なんとか口元に笑みを浮かべて顔を上げた。
「無理することないぞ?」
優しく涙を拭う手に頬を擦り寄せ、こくりと小さくうなずいた。
0
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる