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アミューズメントパーク
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しおりを挟むトイレへと駆け込み、冷たい水で顔を洗う。
「…っ……」
冷たい水に冷やされた皮膚の上に、温かな雫が滴った。
鏡の中の、情けない自分の顔を見たくなくてしゃがみ込む。
「っ…たけ…る……ごめ………」
あんな顔をして人を睨み付ける威を、葉人は見たことがなかった。
溌剌とした目をした彼を、あんな風にしてしまった自分が許せなくて拳を床へと叩きつける。
「…ぅっ……」
ごっ…ごっ…と幾度か拳を降り下ろした時、カチャン…と扉の開く控え目な音が響く。
こつ…こつ…
こちらへ歩いてくる足音に、葉人はハッとなると、慌てて手近な個室へ飛び込もうとした。
「────え…っ!?」
視界が真っ白になったと思った途端、どんっと突き飛ばされて洋便器の上へと突き飛ばされた。
「ぅ…いっ…」
強かに打ち付けた胸を庇いながら、視界を遮る何かを剥ぎ取ろうと手を伸ばすと、その手を取られて押さえつけられる。
力ずくで言うことを聞かせようと言う意志に、葉人は小さく悲鳴を上げて身をすくめた。
「やっ…だれ…!?」
頭に被せられた物に、自分の息が跳ね返るのを感じながら、葉人はいやいやと首を振る。
「もう忘れた?」
低く、くぐもった声に背筋が震える。
抗おうとしていた腕から力が抜けて行く。
「……フェ…」
「ハナちゃん、アイツに何言ったの?」
何かを言おうとしたが、歯がカチカチ鳴るばかりで声が出ず、首を振り続けるしかできなかった。
「携帯壊されてぁ、パソコンの中身もぱぁだよ?信じられない」
ぶつぶつと呟きながらフェネクスの手が、力任せにシャツのボタンを引きちぎった。
かつん…と、どこかに飛んだボタンの音が小さく聞こえる。
「何言ったんだよっ!ちくしょう…」
手がベルトへと伸び、乱暴に剥ぎ取っていく。
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