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空白
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しおりを挟む屋上への階段を駆け上がっているうちに、昨日の夜に感じた怒りを思い出して唇を噛む。
もう一度、はっきりともう関わらないで欲しいと言おうと心に決めて屋上への扉を開いた。
びゅう…と耳元を乱暴に通りすぎた風に肩をすくめ、司郎の影が見えた方へと歩く。
「よぉ」
気だるげに座り込んだ司郎が、葉人を見て軽く手を上げた。
「あの…1限に体育があるんで手短に…」
「あ?」
面倒そうに立ち上がった司郎は、葉人へと近づくと手を上げる。
殴られるのかと、咄嗟に身構える葉人の首元に鋭い痛みが走た。
「っ!」
「体操服着たら大変なコトになるぞ」
「あっ外さないで下さいっ!」
ひらひらと振った絆創膏を、司郎はさっと屋上から投げ捨てる。
「貼り替え持ってないんですよ!?」
「一枚くらいで、どうにもならんだろ」
「………え?」
違和感に気付いて司郎を見上げると、眠そうな顔がこちらを向いていた。
欠伸を噛み殺し、ん?と片眉を上げる。
「あ…あの……」
胸元を押さえ、なんと切出して言いか迷っていると、司郎の唇がそっと重ねられる。
「服に収まるようにつけたつもりだったんだが…」
器用にネクタイを緩めてボタンを外すと、司郎は鎖骨に唇を寄せてきつく吸い上げる。
「や…っ…!」
司郎を押しのけて後ずさる。
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