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露見
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しおりを挟む「ヴァイオリン・ソナタト短調?」
渡されたCDの、指差された部分を呟く。
「そ。いらんって言いよったけど、まぁ一応思て」
「?」
記憶を遡るが、こんな名前のものを聞きたいなんて言った記憶はなかった。
また、記憶が抜けている時の話だろうかと思い悩んでいると、鷹雄の声がその曲の通り名を告げる。
「悪魔のトリル」
ぎゅっ…と、無意識に全身に力が入るのがわかった。
震える指に力を込めて鷹雄へと返す。
「いや、いらないんだ。もう関係ないから」
「ふぅん?綺麗な曲なんやけどなぁ…~~~~…」
そう言って鼻歌を歌い出す。
「っ!!」
いつも携帯から流れてきていたそのリズムに、葉人は咄嗟に耳を塞いで顔を俯けた。
機嫌よく歌う鼻歌が、指の間を縫って脳へと届く。
震えが全身へと広がり、様子がおかしいことに気づいた鷹雄が肩を叩くと、葉人は真っ青な顔をしていた。
「どっか調子悪いんか?保健室行こ」
険しく眉間に皺を寄せた鷹雄は、そう言って葉人の腕を掴んで引っ張り上げる。
「…だ…大丈夫」
「そんな顔色やないで?」
鷹雄に引っ張られ、ふらりと倒れ込みかけた所を、横から伸びた手が支えた。
「長谷…」
「…俺が連れていく。手間かけさせたな。葉、行くぞ」
ジャージ姿の威は、小さく肩で息をしながら鷹雄へそう言って葉人を引っ張った。
「あっ…」
「ちょ…長谷!?そいつ調子悪いんやで?乱暴したんなよ!」
「……」
背後から聞こえた鷹雄の言葉に、威は何事か返そうとして口を開きかけたが、結局何も言わずに首を振る。
しっかりと掴まれた腕は、葉人が振り払えるような力ではなく、ただ黙ってついていくしかできなかった。
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