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豹変
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しおりを挟む霞む視界に戸惑い、声を上げようとしたが声が出ず、葉人は驚きながら体を起こした。
ずきりずきりと、どこが…と言えない程全身が痛みに苛まれ、何があったのかを冷静に思い出そうとした。
ぶる…
悪寒が背筋を駆け上がる。
「あ…ぁ?」
声を搾り出しながら思わず自らの体を抱き締めたが、指先に当たるのは空気に晒されてひんやりとした肌とそれにこびりつく白い液体。
乾き、触れるとぽろりと剥がれ落ちるそれがナニであるかわからない程葉人は鈍くはなかった。
重い腰…
怠い体…
痛む下肢
歯形と、縄痕と…凌辱の限りを尽くされた体を見下ろす。
「ゃ……たけ…威、威っ!!」
赤と紫に斑に染まる体に、白いモノを纏いながら葉人は咄嗟にそう叫ぶ。
狭い車内にぐわんぐわんと反響するかのような自分の声が聞きたくなくて両耳を塞ぐ。
「…ゃあっ!!やぁっ!!威っ威!た…っ」
薬で朦朧とした中、自分を抱え上げてくれた幼馴染みの名前を叫んだ。
「たけ…っ!!」
ドアの音がし、飛び込んできた気配が葉人に手を伸ばして引き寄せる。
「威…」
呟き、抱き締めてくる相手の背中に手を伸ばす。
体が訴える痛みを無視して、力の限りしがみつく。
「ぅ…ぅ……っ」
嗚咽と、きつく閉じた瞼の間から涙を溢して泣きじゃくり、自分をしっかりと抱き締めるその胸にしがみついた。
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