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AV
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しおりを挟む「オレが好きなのは、威だよ」と言う言葉が言えずに項垂れる。
他の男との情事の痕跡の残る体で何を言っても説得力なんてない。
「俺は用があるんでな。タケルん家に行ってろ」
威の後ろから司郎はそう言うと運転席へと乗り込む。
威の傍に居ることが出来るのだと、ほっと胸を撫で下ろした。
「…はい……」
小さく呟いた返事に、威が微かに眉間に皺を寄せた。
「…久し振り…だよね」
ひんやりとした威の家は、綺麗に片付けられてはいたが寒々しさも感じる。
その為か、幼い頃から二人が遊ぶ場所は葉人の家が多かった。
両親が共働きで家にいない時間の方が多いせいか、それとも夫婦間の空気のせいか、この家はいつも冷たく感じて葉人は苦手だった。
「…ああ」
最低限の返事に葉人は俯く。
「シャワー…浴びるだろ?」
「う…うん…」
頷く葉人に、威は引き出しから着替えを取り出して突き出してくる。
やや戸惑いながらそれを受け取り、指差されたバスルームへと向かった。
会話がない…
その沈黙の重さに耐えかね、バスルームのドアに手をかけたまま威の方を振り返る。
「た……」
パタン…と音を立てて閉じられた威の部屋のドアが、拒絶の表れのように思え、葉人は緩く項垂れて中へと入っていった。
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