233 / 349
裏切り
7
しおりを挟む『具合は?』
ぶっきら棒なその声が第一声だった。
少し機嫌の悪そうなその声に、けれど安堵の雫がぽろりと落ちた。
「せん…ぱ…い…」
『なんだ?…泣かされてんのか?』
「あっ…いえっこれは…」
『俺が居なくて寂しいからか?』
いえ…と否定しようとした言葉は詰まり、代わりにするりと言葉が零れる。
「うん。寂しい」
『………』
まただ…とぼんやりと思う。
気持ちを裏切って、体が勝手に動くその感覚にひんやりと背筋が凍った。
『いつものハナトじゃねぇな』
「え…だって、言ったでしょ?先輩の事が好きだって」
何を言っているのかと…自身で思う。
急いでさっきの言葉を取り消そうとしたが、やはり体は動いてはくれない。
『……』
ふぅ…と溜息が聞こえる。
『まぁ…いい。そこに居辛くなったら俺のとこに来い』
住所はメールで送る…そう言って電話はぶつりと切れた。
「は…」
十分すぎる時間が経って、やっと意思で動かせるようになった体を起こす。
先程までの事を思い出してカチリカチリと歯が鳴った。
0
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる