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裏切り
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しおりを挟む何度目かの悪夢の際にはっと目が覚める。
司郎に半ば乗りかかる形で眠っていた葉人は、司郎の顔が思いの他近くにあったせいで驚いた。
「…っ」
驚きの声を上げようとした口を慌てて閉じ、寝ている司郎を起こさないようにそっと体を起こそうとした。
「なんだ?寝れないのか?」
ふう…と吐く息と共に司郎も体を起こす。寝ぼけたような、意識のはっきりしていない顔で葉人の顔を覗きこんでくる。
「ん?…んー……なんだ。小便か」
「まだ何も言ってないですよっ」
「いや、なんかそんな顔してるから」
「してませんっ」
尿意を催したのは確かで…それをあっさりと見破られた羞恥で顔が赤くなるのを感じて葉人は俯く。
「漏らす前に行って来いよ」
欠伸を噛み殺し、葉人を肩にかけるようにして担ぎ上げる。
「わっ!?ちょ……止めてくださいよっ一人で行けます!」
「あ?あぁ…そうか……」
そう言うも、司郎は寝ぼけたままのような表情で葉人をトイレの前まで運んで下ろした。
「ほら、シー…シー……」
うとうととそう言いながらトイレ前の壁にもたれて目を擦っている司郎は、明らかに寝ぼけているように見える。
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