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学校
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しおりを挟む「威!葉人!おはよ…と、兄ちゃん?」
なんでこんなところに?と割って入った千秋ののんきな声が雰囲気を変える。
「どうしたの?留年でも決まったの?」
「うるせぇ。んじゃあな。ハナト、またメールしろよ」
「あ、はい」
そう答えて手を振る葉人と、刺々しいオーラを纏って司郎の後ろ姿を睨む威を見やって首を傾げる。
「何?三角関係?」
冗談が冗談になっておらず、葉人は苦笑するように曖昧に言葉を濁して席へと向かおうとする。
その手を威が掴んだ。
「た…威、離して。先生来るし」
「ちょっと来い」
「やだ…」
「やだじゃない。話す事があるだろう?」
ぶんぶんと首を振る。
その駄々っ子の様な葉人の腕を乱暴に引き、威はチャイムの鳴るその教室を飛び出した。
「やめっ…オレ授業に出たいっ!」
「話がある」
「オレはないよっ!」
じたばたともがく葉人に業を煮やした威がさっと身を屈めて葉人を担ぎ上げる。
いきなり上がった視界に面食らうも、下ろしてくれと暴れる葉人に威は二択を迫った。
「保健室と空手道の部室とどっちで話がしたい?」
「したくないっ!!」
「どっちがいい?」
手を離す気はなさそうな威に、葉人は諦めを持って「保健室」と告げた。
空手道のあの部屋は、裕也と威の情事を初めて見てしまった場所であり、どうにも拭えない嫌悪感があった。
そうなれば答えは自然と決まり、威はその返事を聞いて保健室へ向かう階段を降り始める。
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