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フェネクス
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しおりを挟む「…ほっとけ……いいか…フェネクスって言うのは、………フェニックスの悪魔。つまりフェネクスってのは光の鳥だ」
「…は?」
「光、の、鳥、だ」
司郎の声の固さに返事も出来ずにただ頷く。
「いるだろ?フェニックスに合う名前のヤツ」
「……光…」
「羽鳥、光彦」
そう言った司郎の腕に力がこもり、頭を掴んでいる手は汗をかいているようだった。
「…………」
「分かったか?」
畳み掛けるように言われたが葉人は返事をする事が出来ず、やはり頷いて返す。
「そうか」
「わかったよ」
低く洩らされた声に、司郎はは?と葉人を覗き込んだ。
「先輩が大事にしてるのはオレじゃないって事が」
力任せに腕を突き出すと、不意の事だったせいもあるのかさすがに司郎がよろめいた。
「ハ…」
「フェネクスは先生じゃない」
「ちが…」
「手汗かくくらい緊張しながら、見え透いた嘘つくなんて……」
足元に置いていた鞄を掴み上げ、葉人は制止の言葉も聞かずに図書館を飛び出した。
急に走り出したせいでガンガンと痛む頭の隅で、葉人は何故司郎の嘘が分かってしまったのかと自問自答を繰り返していた。
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