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フェネクス
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しおりを挟む「小田切!」
息を切らせて駆け寄ってきた鷹雄の声に葉人は振り返る。
放課後、威の部活が終わるのを待つ間、葉人は剣道場の入口で待機している所だった。
最初は空手部の見学と言う形で道場内にいたが、悠哉の意味ありげな視線や携帯番号を渡されたり、空手道の部室が傍にあるために落ち着かなかった。
目が離れると心配する威を押し切る形で入口で待つことになった。
ここならある程度の人目もあるし、あれから何も言ってこない光彦にもフェネクスにも何かされると言う事はないだろうと。
「火宮、どうしたの?」
「もー!最悪やねん!土田に倉庫にポール運べって言われてやぁ」
生徒使いの荒い体育教師の顔を思い浮かべて苦笑した。
「一人や無理やと思わん?」
「無理だと思う」
泣きつく顔に仕方ないなぁと立ち上がりかけ、剣道場の方を振り返る。
半分ほど開けられた扉の向こうにいる威は、後輩の指導をしているのか後ろ姿しか見えない。
「…」
倉庫はすぐそこだ。
「…うん、手伝うよ」
「ホンマに?やったぁ!」
はしゃぎながら運動場へ向かう鷹雄について行きながら、葉人はもう一度剣道場を振り返った。
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