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フェネクス
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しおりを挟む「――――っ!!」
ガランガランっと、耳の傍でけたたましくポールが跳ねた。
「ぁ!?」
くらりと視界が歪み、倉庫の床で跳ねた頭がぐわんと音を響かせる。
「―――俺は別格だけどな?」
いつもと違う口調と雰囲気に、は?と尋ね返そうとした声もぐいと掴まれた髪のせいで呻きに変わり、口から出る事はなかった。
「兄ちゃんは千秋の事可愛がっているけど、俺は特別で、俺の言う事を兄ちゃんは何でも聞いてくれるんだ」
小さな子供の言葉のようなそれが鷹雄の口から零れる。
ふらつく頭でさっきからの事を理解しようと努めたが、それも鷹雄に頬を舐められてあっと言う間に霧散してしまった。
「か…み……?」
ハナちゃん
耳元で囁かれた自分の名前。
「―――――っ!!」
ザワザワっと悪寒が駆け上がり、生理的な嫌悪と同時にどうしようもない恐怖が沸いてくる。
『ハナちゃん』
フェネクスが自分を呼ぶその呼び方にカタカタと全身が震え始め、回っていた視界が更に歪むかのような錯覚に陥った。
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